ギャルサーから起業家へ【近本あゆみさん】の「結果が出るまで諦めない力」とは?<申 真衣さんの今、話したい人>
申真衣さんのエンパワメント対談連載。今回のゲストは起業家仲間でもありふたりご飯もする同い年の仲良しさん。挑戦は勇気のいること。挑戦を成し遂げるのに必要なのは結果を出すまで諦めない「やり通す力」。起業家として大きな成果を出した申真衣さんと近本あゆみさん。知りたいのは、ふたりの根気強さの源にあるもの。
近本あゆみさんと × 申 真衣さん
やり通す力がビジネスを動かす
「大学時代はコミュニティに属せず、家で夜通しテレビを観ていました」ーー申さん
「中3で道を逸れたい衝動。渋谷に通うギャルに」ーー近本あゆみさん

撮影前から仲良く、会話が弾んでいたおふたり。プライベートでも親交があるそうですが、申さんがあらためて“話したい人”として近本さんをリクエストされた理由から聞かせてください。
申さん:近本さんと知り合ったのは、2年前。子どもの保育園が一緒だったことがきっかけで仲良くなり、ふたりで食事に行ったりもするのですが、いつも話すのは“今のこと”。彼女が高校時代に有名だったことを知ったのもつい最近で、今に至るまでのエピソードをきちんと聞いてみたいと思いました。
近本さん:確かに、お互いの昔話はあまりしたことがなかったかも。私が有名高校生だったかはさておき、ギャルではありました(笑)。
申さん:中学・高校は、雙葉だったんですよね。私のなかで雙葉はギャルも起業家のイメージもなくて、そのギャップがおもしろいなと。雙葉への進学を決めたのは、自分の意思ですか?
近本さん:そうです。女子御三家を見学して、自分で雙葉を選び受験しました。小学校時代はいつも成績が1位。勉強を頑張ることが生き甲斐で自分のアイデンティティでもあったのですが、雙葉に入学してからは上手くいかず。1位がとれないどころか、定期テストでも納得のいく点数がとれず、急に学校がつまらなくなって。中3ぐらいから道を外れたい衝動に駆られ、学校ではなく渋谷に通うようになりました。申さんとは同い年、中高時代はギャル全盛期でしたよね。私は日サロに通うガングロギャルでしたが、申さんはギャルになった経験は?
申さん:関西は、日傘をさしてファミリアのバッグを持つ色白ギャルが主流。私自身は学校の制服がイケてなさすぎて、それをオシャレにアレンジする気にはなれず、普通の学生をしていました(笑)。勉強に関しては自己評価が低かったので、成績が良い自分でありたいという気持ちはありましたが、1位をとれるとは思っていなかったかもです。
近本さん:当時の渋谷には開成、麻布、慶應などの名門校に進学したものの、学校に居場所を見つけられない子が結構いたんです。そういう子同士が自然と集い、毎日遊んでいた感じです。
申さん:若い子が渋谷で遊んでいたら悪い大人が寄ってきそうで、親の立場で考えると心配。
近本さん:両親には心配かけたと反省しています。でも、渋谷は表社会というか意外と健全で、怖い目に遭ったことは一度もありませんでした。「ギャルサー」としてイベントを企画して、大々的かつ積極的に活動していたことも危険に巻き込まれなかった理由かも?ちなみに、ギャルサーでは代表をしていました(笑)。
申さん:噂に聞いていたギャルサーのトップだったとは。でも、当時から引っ張る能力があったんですね。ギャルから学校生活に戻り、大学進学を決めるきっかけは何だったんですか?
近本さん:厳しくも親身になってくれる先生の助言、不良でも仲良くしてくれた同級生の「一緒に大学に行こうよ」という優しさです。私が渋谷で遊んでいた頃も、申さんは道を逸れることなく、真面目に勉強していたんですよね。
申さん:道を逸れたというと、母は私が医者になることを望んでいたので、東大が外れた道になるのかもしれません。「私は東大に行く!」と決心してからは、すごく勉強しました。その合間に、恋愛をしたりもしましたが。
申 真衣さん
『頭がいい悪いではなく勉強をするから頭は良くなる』
ジャケット¥132,000パンツ¥69,300(ともにミラ ショーン バイ チカ キサダ/コロネット)ベアトップ¥33,000(ルームエイト ブラック/オットデザイン)パンプス¥135,300(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ ジャパンカスタマーサービス)ピアス¥1,705,000バングル¥5,324,000リング¥1,188,000(すべてメシカ/メシカ ジャパン)
―――逸れた道がギャルと東大!今は起業家としてつながりのあるおふたり、起業するモチベーションはいつ育まれたのでしょう?
近本さん:早稲田大学在学中に同級生が起業。学生向けの派遣サービスだったのですが、その仕事を手伝ったときに「自分たちで作り上げる」おもしろさを体感したのは大きかったですね。働きたい意欲がグッと高まりました。
申さん:私は大学時代、どのコミュニティにも属せなかったんですよね。サークル活動も東大女子があまり歓迎されない状況があって、授業が終わると家に戻って夜通しテレビを観ているような地味な学生生活でした。
近本さん:意外!でも、大学に通っている間に芸能事務所からスカウトはされたのでは?
申さん:お声がけいただいたことはありますが「東京、怖い!」とすぐにやめてしまいました。近本さんは学生時代に、読者モデルやリポーターとしても活動されていたんですよね。
近本さん:細々とですが(笑)。その経験もあって、自分は表に出るよりも裏でコツコツ作るほうが向いていると気づくことができました。在学中から「いつかは起業」と考えていましたが、そのための勉強としてリクルートに就職。説明会での「若い人にチャンスをくれる」という印象が決め手でした。その通り、本当にいろんな経験をさせていただき、28歳で退職。30歳で海外に向けて日本のお菓子の詰め合わせボックスを毎月届けるサブスクリプションサービスを主とする「Movefast(現・ICHIGO)」を起業しました。インバウンドの爆買いで日本のお菓子が一番人気だったこと、サブスクバブルだったことが起業の着想。働く中で後発ビジネスの難しさを学んだこともあり、起業にあたっては「先発」であることにはすごくこだわりましたね。
申さん:退職から起業までの2年間は、具体的には何をされていたんですか?
近本さん:業務委託という形でフリーランスとして働き、起業資金作りです。ECだと資金調達がむずかしいだろうと思ったので、めちゃくちゃ働いてお金を貯めました。
申さん:2年間で貯めた金額を聞くと、そのフリーランスのビジネスはかなり上手くいっていたと思うのですが、そのまま続けようとはならなかったんですね。
近本さん:私が主に手がけていたのは、ウェブ記事を量産するキュレーションメディア。記事の本数が増えるほど仕事を発注するライターの数も増え、どんどん管理が大変になって。やりがいもあり楽しかったのですが、業務委託なので、仕事内容の制限があるじゃないですか。もっと自由に挑戦してみたい衝動が勝って、潔く辞めました。起業は成功しても失敗しても自分の責任、その明確さも気持ちがいいなと。
申さん:確かに、その気持ちよさはありますよね。サラリーマン時代は何かあったら会社のせい、人のせいにしていた気がします。近本さん率いるICHIGOは、2024年にいちご飴などを手がける会社を買収。すでに成功しているのに現状では飽き足らずに挑戦し続ける姿勢がかっこいいなと思います。
近本さん:それは、私が申さんに伝えたい台詞です!起業してから一番大変だったのは、まさにM&A。これまでやってきたITと新たに加わった飲食では働く人の考え方や価値観がまったく異なり、それをすり合わせ、カスタマイズしていく作業がなかなかに大変で。申さんはそれを何度も繰り返し、乗り越えてきたと思うと、尊敬しかありません。
近本あゆみさん
『親が養ってくれた忍耐力。続けた先の景色に期待し辿り着くまでやり遂げたい』
ブラウス¥64,900パンツ¥86,900(ともにオスロー/フィルム)その他/スタイリスト私物
―――おふたりの今は挑戦だけでなく、それを「やり遂げる力」にあると思います。その力の根底にあるものが、みんな知りたいはずです。
申さん:母がやると決めたらやり通す人で、私が小さいときに何かの本を読んで「勉強しなさい、と言わない」ことを決めたらしく、私たち姉妹は「勉強しなさい」と言われたことが一度もないんです。十数年の子育てで貫き通せるのはすごいなって。それでも私が勉強したのは、小中学校で「勉強が楽しい、得意」と気づき、続けることで武器になるかもと感じたからです。娘たちには「頭がいい悪いではなく、勉強すると頭が良くなる」と話しています。あと、私が今この瞬間話していることが正しいと思えたとしても、時代が変われば「間違い」と感じるようになる可能性がある、とも。
近本さん:勉強は社会に出てからもずっと続く、ですよね。私は親から、忍耐力を養ってもらったと思っています。勉強もそうですが、私の場合はピアノ。4歳から習い始めたものの、全然好きになれなくて。両親は「続けることに意味がある」と、その言葉を無視できずに、結局17歳ぐらいまでレッスンに通っていたんです。でも、続けるうちにピアノの先生と会うのが楽しみになって、鍵盤を触るのが気分転換になって。ギャル時代も気がつくとピアノの前に座っていたり(笑)。続けた先にしか見えないものに期待する、そこに辿り着くまで頑張る忍耐力は、その経験が生きていると思います。
申さん:親に反発しながらも、自分に根付いているものがあるのは子育ての希望かも(笑)。
近本さん:確かに!どうしてこんなに興味深い話を今までしなかったのか。楽しかったです。
申さん:こちらこそ、ありがとうございました。来週のご飯のときに、また続きを!
profile
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近本あゆみさん
1984年生まれ。早稲田大学卒業後、リクルートに入社し国内向け通販新規事業に参加。2013年にリクルートを退社。2015年に海外向けの通販事業を手がける「ICHIGO」(旧Movefast)をパートナーとともに創業し、サブスク型越境ECサービス「Tokyo Treat」をローンチ。2024年「GOOD IDEA COMPANY」を買収。3児の母。
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申 真衣さん
1984年生まれ。東京大学経済学部経済学科卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社。2018年に当時最年少でマネージングディレクターに就任。現在は共同創業による「GENDA」取締役。「NOT A HOTEL」社外取締役も務める。モデル、メディア出演もこなす2児の母。
撮影/土山大輔〈TRON〉 スタイリング/児嶋里美 ヘア・メイク/福川雅顕 取材・文/櫻井裕美 編集/水澤 薫
*VERY NaVY5月号『申 真衣さんの今、話したい人』より。詳しくは2026年4/7(火)発売VERY NaVY 5月号に掲載しています。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。