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新型コロナで変わる、教育の未来

〜最終回〜

子供は、大人が思う以上に逞しく、そして可能性を秘めた存在です。これからも、私は教育にかかわるものとして、そして親としても、その可能性を開花させる一助となれればと思っています。

 

 この1年、私たちは子供の教育に、どれほど心配になり、悩んだことでしょう。新型コロナウイルスの蔓延の中で、教育活動には多くの支障がでました。子供たちも、親も、そして先生たちも大きな不安の中で過ごした1年間。子供にとっては、二度とない、その年にしかできない活動も、中止や規模縮小が余儀なくされ、小さな心を何度も痛めてきたと思います。そしてその子供たちを支える親の立場でも、思い、悩んだ、苦しい1年でもありました。

 

 その中で、長年、課題として認識されながら、なかなか改善されなかったこと、前進しなかったことが少しずつ動き始めています。オンライン授業に象徴される教育のICT化や、小学校の一学級の人数を減らし「35人学級」に移行することなどは、その象徴です。大学入試の在り方や9月入学導入などは、根本的な改善を期待するところにまでは到達しませんでしたが、改めて日本の教育の特徴を認識する中で、今後、より子供の能力を発揮し、伸ばす教育になるための改善を期待していきたいと思います。

 

 また、コロナ禍でも小学校での外国語教育(英語)やプログラミング、道徳の教科化、高校でのカリキュラムの改革など、今の時代に必要な教育の内容を、少しずつでも取り入れていく動きもありました。教育とは、常に、その時代に合った制度や内容に、変え続けていくことがとても大事です。

 

 その「時代」という認識をどう持つか。私は親としての最大の使命は、ここにあると思っています。子供が社会で活躍する時代を先読みできるかということです。例えば、今、5歳の子供であれば、その子が社会に出るのは、ざっと20年後。中高生なら10年後ぐらいですね。その時に、日本の社会はどうなっているか、できればそれを世界の動きと合わせて考えてみてほしいと思っています。私たちは、ついつい、目の前のこと、自分のことで精いっぱいになってしまいます。子育てだけをしているのではなく、家事も、仕事も、あるいは親の介護などもあるかもしれません。毎日毎日が慌ただしく過ぎていきます。それでも、子供の成長に一番の大きな責任を負っているのは、親であることは、まぎれもない事実。自分の持つすべてをかけて、子供に必要な教育を、長期的な視点を持って考える。大変ではありますが、これができることは、親としての醍醐味でもあると、私は思っています。

 

 当連載も、正にコロナ禍のもと走り続けてきました。連載を始めた当初は、想定外の状況に原稿を書きながら悩むこともありましたが、それでも子供たちが逞しく日々過ごしている様子を耳にする機会も多く、それ自体が私の大きな励みにもなりました。子供は、大人が思う以上に逞しく、そして可能性を秘めた存在です。これからも、私は教育にかかわるものとして、そして親としても、その可能性を開花させる一助となれればと思っています。

 

Profile

細川 珠生

政治ジャーナリスト。聖心女子大学英文科卒業。政治全般や地方自治、教育に関する知見を活かし各方面で活躍。三井住友建設株式会社社外取締役、星槎大学非常勤講師なども務める。16歳男子の母。明智光秀の末裔。著書に『私の先祖 明智光秀』、本郷和人氏との共著『明智光秀10の謎』(いずれも宝島社)など多数。
https:// blog.excite.co.jp/tamaohosokawa

編集/羽城麻子

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