【留学体験談】スイス留学を経てアメリカ有名大学へ「将来の夢は〝世界一の人脈を持つ起業家〟」
海外留学を選択する子どもが増えている今、気になるのはその先で何を学び、どんな力を身につけていくのか──。子ども本人のリアルな体験談をお届けします。
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「将来の夢は〝世界一の人脈を持つ起業家〟」
小澤えがおさん(20歳)Egao Ozawa
アメリカ/The Loomis Chaffee School卒業
僕の名前は「えがお」ですが、小学生までは本当にシャイで「笑わないえがおくん」と呼ばれていました。それが今のような社交的な性格になったのは、留学をしてから。スイスでの富裕層との交流で、自分の殻を破りました。
自分に自信もついた中3の頃、より勉強に力を入れるため、アメリカの学校に転校しました。直後にコロナによって日本に強制帰国となり、深夜の3時ぐらいまでオンラインで授業を受ける生活に。同じ時期に思い切って生徒会長に立候補して当選した経験が受験で評価され、高校はThe Ten Schoolsの1つに入学することができました。アメリカのボーディングスクールは、私立大学への進学準備校という側面が強く、周りが一流大学を目指していたので、僕も有名な大学に入りたくて、必死に勉強しました。
ボストン大学に入学してからは、ビジネスと経済を専攻しながら日本で会社を登記し、5名のエンジニアとセールス向けの電話AIを開発しています。最初は空調服をアメリカで販売することを考えましたが、在庫を抱えるビジネスは資金調達に苦戦して一旦断念。今は、いつか父を超えるような起業家になることが夢です。
アメリカの大学の費用は年間約1,500万円。僕は今年からボストンで友だち6人でシェアハウスをするのですが、家賃は月に1人約25万円です。決して少なくはない金額だからこそ、かけてもらった教育費ぐらいは返せるようになりたいです。
留学プロフィール
小学校 港区立青南小(小4まで)
■ 小学校(9歳〜)
スイス/La Garenne International School
■ 中学校(12歳〜)
スイス/Collège Beau Soleil
(14歳〜)アメリカ/The Fay School
■ 高校(16歳〜)
アメリカ/The Loomis Chaffee School
■ 大学(19歳〜)アメリカ/Boston University
スイスへ留学したきっかけは?
父が英語で苦労した経験から、息子には英語を身につけて欲しいと思っていたようで、小さい頃からスイスのサマーキャンプに参加していました。最初はまったく英語が話せず「Stupid」を、キューピッドと聞き間違えて喜んでいたぐらいでした(笑)。
アメリカへの転校を決意したのはなぜですか?
スイスの学校は富裕層の後継者の子が多く、勉強を本気で頑張ろう!というより社交が盛んでした。僕は親からの「学生らしく、勉強にも力を入れろ」というプレッシャーもあり、本格的に勉強するためにアメリカ行きを決意しました。
高校生活の勉強はどうでしたか?
授業の内容も大学レベルの先取りで、本当に難しかったです。特に中国や韓国の学生はとても優秀で、さらに並み外れた努力をするので、これには勝てないな、と。世界の競争力を肌で感じました。彼らと同じ土俵で勝負する就活より、起業を意識するようになったのはこの頃です。
高校生活で一番大変だったことは?
アメリカの大学受験ではGPA※1とSAT※2、そして課外活動の実績やエッセイの内容が非常に重視されます。中でもエッセイは、25校の大学に出願するために、合計で300枚を超えるほど、何度も書き直し、練り上げました。テーマは僕の名の通り、「人を笑顔にすること」について。
高校生活中は、どんな課外活動をしましたか?
国連のイベントで広報をしたり、論文を発表できるプラットフォームを立ち上げたりしました。夏休み中は日本国内のベンチャーキャピタルやNPOでのインターンシップも体験しました。noteというサービスで留学体験記も書きました。
FARTHER’S VOICE
子どもにしてあげられる大切なことの一つは「環境を与えること」だと思います。留学は生活力やたくましさを育ててくれ、価値観も大きく広がります。そんな環境で成長している息子が、帰国するたびに人としての変化を見せてくれるのは、本当に嬉しいことでした。留学費用を稼ぐために親としてがんばるぞ、という気にもさせてくれました(笑)。
取材・文/古川ケイ イラスト/ボンジュール トモコ 編集/磯野文子
*VERY NAVY 11月号「私たちの“留学リアル”」より。詳しくはVERY NaVY 2025年11月号に掲載しています。
※1 Grade Point Average/各科目の成績を数値化し、その平均を算出した成績平均点
※2 Scholastic Assessment Test/アメリカの大学が合否判定に使用する共通テスト
※3 アメリカ北東部において、歴史と伝統があり、入学が難関であるエリート志向の名門ボーディングスクール10校のこと