【奥菜恵さん】「バスに乗ることもできない」姉妹2人を連れて泣いたことも
『VERY NaVY』の人気インタビュー連載「子育て第2シーズン」に奥菜恵さんが登場。インタビュー前編では、13歳で芸能界デビューし、複雑な心で思春期を過ごしたという俳優の奥菜恵さんに、当時の自分と同じ年頃の姉妹を育てるうえで大切にしていることを教えていただきました。
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子育て第2シーズンどうですか?《前編》
オシャレに夢中の姉妹。
お出かけ準備が
2時間待ちになることも
美容とファッションに興味津々の、中学3年&中学1年生の姉妹。動画などで熱心に研究しているみたいで「ママ、涙袋を作るにはこうやって色を入れるんだよ」と教えてくれたり、見覚えある服だなと思うと私のものを着ていたり。何だかとても楽しそうですが、お出かけしようとなると準備に2時間ぐらいかかります(笑)。
2人とも反抗期と感じる瞬間はあって、たいしたことないところで私に突っかかってくることも多々。長女は小学校高学年で少しずつ始まり、最初の頃はそういう態度をとるたびに注意、お互いバチバチしていました。怒って、口調が強かったかもと反省して、ちょっと寂しくもなって。その空気に私がだんだんと疲れてしまい、理不尽な態度や言葉の解釈を変えてみることにしたんです。きっと彼女たちも自分ではよくわからないモヤモヤを抱えていて、学校や塾という社会でも自分なりに頑張っているはず。心にかかっている負荷を親にぶつけて、本能的に健やかであろうとしているんだって。「甘えてくれている」と思うようにしたら上手にやり過ごせるようになり、娘たちの言動もだいぶおだやかになってきました。今はとても風通しのいい関係です。
ジャケット¥116,600 トップス¥22,000 パンツ¥72,600(すべてマディソンブルー) ピアス¥704,000 イヤリング[左耳・イヤーカフとして使用]¥444,400(ともにTASAKI)
ロサンゼルスの友人宅で
1カ月間のホームステイ
高校受験を控えた長女。まだピリピリする様子もなく、マイペースに勉強を頑張っています。次女は昨年、ホームステイを経験しました。本人が望むならいつかは挑戦させてあげたいと考えていたタイミングで、ちょうど連絡を取り合っていたロサンゼルス在住の私の友人宅でお世話になるという案が浮上。娘も「ママのお友だちのお家に行ってみたい」と、夏休みのあいだの約1カ月間、ホームステイをさせてもらうことに。家族とこんなに長くはなれるのは初めてで、しかも海外。こちらは内心ドキドキでしたがホームシックになることもなく、友人家族と仲良くハッピーに過ごせたみたいです。その間、娘から連絡はほとんどありませんでした(笑)。
帰国後は、やっぱり強くなった気がします。それまでは夜眠りにつくまで側にいて欲しいような感じがあったのに「大丈夫!」と、付き添いがいらなくなったというか、おことわりされるようになりました。そういった一手間がどんどん減っていくのが成長なんですよね。
「バスに乗ることもできない」
姉妹を連れて涙したことも
これまでで一番大変だったのは、今の夫と出会う前にひとりで子育てをしていた時期かもしれません。2人を連れてベビーカーで出かけようとバスを待っていたとき、やっと到着したバスが大混雑。ベビーカーをたたむ余裕もなく、子どもたちのご機嫌がどんどん悪くなり「私ってバスに乗ることもできないんだ」と、ポロポロと泣いてしまったことがありました。
2人目を出産してから、仕事をセーブした子育て中心の生活。産後のホルモンバランスの乱れの影響もあると思いますが、当時は同世代の友だちはみんな仕事をしていて、いろいろ相談したり「わかる!」と大変さを共有できるママ友があまりいなかったのも涙してしまった理由なのかもしれません。トンネルを抜け出すことができたのは、話を聞いてくれる、価値観が合う、子どものことをすごく大切に真剣に考えてくれる夫のおかげです。
Profile
奥菜 恵(おきな めぐみ)さん
1979年生まれ、広島県出身。1992年デビュー、俳優として数多くの映画やテレビドラマ、舞台などで活躍。再生医療に着目したコスメブランド「ni -Ni n」のプロデュースでも話題に。6月22日よりケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出の舞台『ナイロン100℃ 49th SESSION〝江戸時代の思い出〟』に出演。
撮影/佐藤航嗣〈UM〉 スタイリング/池田 敬 ヘア/左右田実樹 メーク/島田真理子〈UM〉 取材・文/櫻井裕美 編集/水澤 薫