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Interview

2021.11.11 UP

10代の妊娠・出産という難役に挑戦。『命のバトン』主演鈴木梨央さんインタビュー

いま赤ちゃんを出産する女性の「100人に1人は10代」という数字をご存じですか?  中高生の子を持つ親にとって、我が子の“妊娠”は決して非現実的な話ではありません。罪悪感から親に言えない、誰にも相談できない。解決策を知らないがために起こる赤ちゃんの遺棄や虐待死などの悲劇から、一人でも多くの命を守るために知ってほしいことがあります。

11月18日にBS1で放送されるドキュメンタリードラマ『命のバトン ~赤ちゃん縁組がつなぐ絆~』には、胸に留めておきたい命に対する大切なメッセージが込められています。

今回、主演の鈴木梨央さんにインタビューを行いました。

決して他人事ではない高校生の“予期せぬ妊娠”

高校生で思いがけず妊娠、親に打ち明けられずに中絶を選択できる時期を過ぎてしまう主人公の桜田結を演じるのは、鈴木梨央さん。名演技で小さいころから注目されてきた梨央さんが妊娠する役!ということにも、その成長の早さにやはり他人事ではないと実感させられます。

 

「初めて台本をいただいたときは、自分が結の気持ちにどこまで寄り添えるか不安な気持ちもありました。でも繰り返し読んでいくうちに、結の感情や気持ちの変化がどんどん見えてきて、その想いに寄り添いたい、私が演じることで予期せぬ妊娠をした結の心のうちや、赤ちゃん縁組について多くの方に伝えたいという気持ちが大きくなっていきました」と梨央さん。

守られるべき命を守り
思いがけない妊娠をした女性に寄り添う
“赤ちゃん縁組”

“赤ちゃん縁組”とは、愛知県の児童相談所や民間団体などが行なっている新生児の特別養子縁組のこと。思いがけない妊娠をした女性が何らかの事情により赤ちゃんを育てることができない場合に、育ての親(養親)に託す取り組み。10代の妊娠、性暴力被害、経済的な理由など、生みの親が育ての親に赤ちゃんを託す理由はさまざま。『命のバトン』は、“もしも自分がその立場だったら”と感情移入のしやすいドラマに、特別養子縁組で絆を結んだ家族のドキュメント映像を織り交ぜ、“命の尊さ”と多様な家族の形を当事者の立場から真っ直ぐに訴えかけるストーリーとなっています。

 

「もし自分が結だったら、妊娠という事実をどう受け止めたらいいか、親にどう伝えたらいいか、すごく悩むだろうなと思います。倉科カナさんが演じる児童相談所の職員・千春さんと出会い、結は誰にも伝えることのできなかった想いを初めて打ち明けることができる。千春さんが結の気持ちに寄り添って、励ましてくれて背中を押してくれたからこそ、結は命を授かった“母親”として現実と向き合うことができたんだと思います。ドキュメンタリーの映像では、養親に育てられた方の胸の内が語られていて、生みの親に会いたいという消せない想いなど簡単には割り切ることができない複雑な感情があるのだと知ることができました」。

 

母や助産師さんから話を聞き
挑んだ撮影。
「実際に赤ちゃんを抱っこすると
今までの経験したことのない感情が込み上げました」

高校生で妊娠・出産を経験するという、むずかしい役に挑んだ梨央さん。出産シーンは本物の産婦人科にて行われ、梨央さんの迫真の演技は「本当に出産しているみたい」と幾多の出産に立ち会ってきた助産師さんをも驚かせたといいます。

「今も親に育ててもらっていて、これまでは子どもの役を演じてきましたが、逆の立場“親”の気持ちを考えて演じるのは初めての経験。妊娠や出産は想像してもしきれないので、母や助産師さんに話を聞きました。母からは、お腹が大きくなるにつれて“ここに命がある”と実感して、早く会いたいという気持ちがどんどん強くなったと私がお腹の中にいた頃の想いを聞かせてもらいました。撮影期間は3週間ぐらいだったのですが、実際に赤ちゃんを抱っこさせていただいているうちに、自分でもびっくりするような感情がこみ上げてきたんです。演じるというより溢れ出るような感覚で……。言葉にするのはむずかしいのですが、“親ってこういう気持ちになるんだ”と両親の想いが少しだけわかったような、そして結の気持ちにも向き合うことができたような気がしました」。

16年間生きてきて、改めて実感。
「私が生まれてきたことも
奇跡なんだって」

『命のバトン』のなかで印象的だったのが、赤ちゃんが産まれることは“奇跡なんだよ”という台詞。

「このドラマを通じて、私自身が生まれてきたことも当たり前ではなく“奇跡”で、たくさんの人たちの愛に支えられてみんな生きているんだなと、改めて気づかされました。予期せぬ妊娠だったとしても親子が救われる方法はある、助けてくれる人がいる、それによって守られる命があるということをこの作品から多くの人に知ってもらいたいです」。

最後に。学業と俳優業の両立を頑張る梨央さんを支えているものとは?と質問をしてみました。

「小学校のとき1/2成人式があったのですが、そのときに両親から手紙をもらったんです。そこには“厳しく言ってしまうのは梨央のことを想うからで、でも何があっても味方だからね”と書かれていて。嬉しくて心強くて、ちょっと悩みがあったとしてもその言葉を思い出すだけで頑張れるんです。自分のことを想う人がいてくれるって、とても幸せなことだと思いました。どんな形であっても、お互いを想い合える家族がいるってすごく素敵で、『命のバトン』からもそんなメッセージを受け取ってもらえたら嬉しいです」。

お話を伺ったのは…

◉鈴木梨央(すずき・りお)さん

鈴木梨央(すずき・りお) 2005年2月10日生まれ、埼玉県出身。NHK大河ドラマ『八重の桜』で綾瀬はるか扮する山本八重の幼少期を演じ、名子役として注目を浴びる。その他、NHK出演番組「連続テレビ小説 あさが来た」「大河ファンタジー 精霊の守り人 2/最終章」「ひきこもり先生」。ドラマや映画、CMの他、声優など多方面で活躍中。

 

\ドキュメンタリードラマ『命のバトン ~赤ちゃん縁組がつなぐ絆~』放送予定日はこちら/

BS1 1118日(木)〈前編〉午後800850〈後編〉午後900950

BS1 11月23日(火・祝)前編 午前11:00~11:50、後編 午後0:00~0:50 (再放送)

出演:鈴木梨央、倉科カナ他。
番組HP https://nhk.jp/inochinobatonこのドキュメンタリードラマは“子どもを取り巻く課題を解決するために、わたしたちにできることを一緒に考えていきたい”という想いから立ち上がった、NHK名古屋放送局のプロジェクト「#わたしにできること ~未来へ1歩~」の活動から企画されたもの。プロジェクトHP https://www.nhk.or.jp/nagoya/ippo/

 

取材・文/櫻井裕美 編集/羽城麻子

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