ジョルジオ・アルマーニ氏の考える「紺」とは……? スペシャル・インタビュー!
日本で行われた記者会見の際、「ネイビーは人との適切な距離を保ってくれる色だ」と、ジョルジオ・アルマーニ氏。その話を深く知りたく、追加インタビューをリクエスト! 誌面では掲載しきれなかったコメント全文、特別に紹介します。
ジャケット¥340,000パンツ¥170,000バッグ¥165,000(すべてジョルジオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン)イヤーカフ【上から¥39,000¥28,000¥45,000¥22,000¥39,000¥38,000¥39,000(すべてヒロタカ/ヒロタカ 表参道ヒルズ)
Q.01 ――
“ネイビーは人との適切な距離を保ってくれる色”のお話を詳しくお聞かせいただけますか?
それこそがあなたがいつもネイビーの洋服を着ている理由につながると思っているのですが。
[アルマーニ氏・A]
おっしゃる通りですね。たしかに私は、ほとんどいつもネイビーを着ています。私の定番のアウトフィットは、ネイビーブルーのロングまたはショートスリーブのTシャツ(多くの場合、素材はカシミア)、それに合わせてダーク系のトラウザー(ネイビーが多い)と履き心地の良いスニーカー(普段はホワイトが多い)。ときにはそこに、ソフトな仕立てのジャケットを加えます。ジャケットのカラーは間違いなくネイビーです! これらは私の普段着であり、私が自分で快適と感じる服です。しかし、「ネイビーは人との距離を確保できるカラーだ」と私が言う場合、そこで私が言っているのは、そのカラーがそれを着る人の個性を打ち消さず、むしろそれを際立たせてくれるクラシックで自然なカラーだ、という意味です。したがってそこでは、服ではなく人こそが主役となり、必然的に服を身に着ける人の個性が前面に出てくる。これが私の言う他者との「距離」です。つまりネイビーを身にまとうことで、人々は自分らしくあることができるのです。彼らは自分自身を偽るためにその服を着てはいません。その人の個性がそこにはっきりと見えています。その人は自信に満ちあふれ、しっかりとした自らのスタンスを持っています。そこに他者との「距離」が生まれるわけです。しかしだからと言って、彼らはアグレッシブにそれを主張しているわけでなく、むしろリラックスして、自然な形で自分を表現しているだけです。
[来日した際のアルマーニ氏。ネイビーのニットに身を包んで@アルマーニ銀座タワー。]
Q.02 ――
日本ではネイビーは「フォーマルな色」という印象があります。
イタリアではどうでしょうか?
[アルマーニ氏・A]
イタリアでは、ネイビーはフォーマルシーンとカジュアルシーンの両方をつなぐカラーであることは間違いありません。これもまた、このカラーの持つ中立性のなせる業(わざ)です。ネイビーは、フォーマルなウェアだけにとどまらず、Tシャツやスウェット、テクニカルアウターなど、リラックス性の高い服でもその機能を発揮します。実際、スポーツウェアに関して言えば、ネイビーはここ数年来、私がイタリアのオリンピックチームのウェアデザインに採用してきたカラーです。この夏の東京オリンピックでも、イタリアのナショナルチームはネイビーを着ることが決まっています。私がオリンピックとパラリンピックチームのアスリート向けにデザインしたトラックスーツやジャージ、Tシャツ、ポロシャツも、ネイビーカラーです。ここで使っているネイビーブルーは、スポーツの世界でイタリアのナショナルイメージに結びついているブルーカラーよりもかなり暗めの色です。よく知られた例では、サッカーのイタリア代表チームは「アズーリ」の呼称で呼ばれていますが、その名はユニフォームのカラーであるあのブルーから来ています。こ