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2020.03.16 UP

ジョルジオ・アルマーニ氏の考える「紺」とは……? スペシャル・インタビュー!

日本で行われた記者会見の際、「ネイビーは人との適切な距離を保ってくれる色だ」と、ジョルジオ・アルマーニ氏。その話を深く知りたく、追加インタビューをリクエスト! 誌面では掲載しきれなかったコメント全文、特別に紹介します。

ジャケット¥340,000パンツ¥170,000バッグ¥165,000(すべてジョルジオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン)イヤーカフ【上から¥39,000¥28,000¥45,000¥22,000¥39,000¥38,000¥39,000(すべてヒロタカ/ヒロタカ 表参道ヒルズ)

Q.01 ――
“ネイビーは人との適切な距離を保ってくれる色”のお話を詳しくお聞かせいただけますか?
それこそがあなたがいつもネイビーの洋服を着ている理由につながると思っているのですが。

[アルマーニ氏・A]
おっしゃる通りですね。たしかに私は、ほとんどいつもネイビーを着ています。私の定番のアウトフィットは、ネイビーブルーのロングまたはショートスリーブのTシャツ(多くの場合、素材はカシミア)、それに合わせてダーク系のトラウザー(ネイビーが多い)と履き心地の良いスニーカー(普段はホワイトが多い)。ときにはそこに、ソフトな仕立てのジャケットを加えます。ジャケットのカラーは間違いなくネイビーです! これらは私の普段着であり、私が自分で快適と感じる服です。しかし、「ネイビーは人との距離を確保できるカラーだ」と私が言う場合、そこで私が言っているのは、そのカラーがそれを着る人の個性を打ち消さず、むしろそれを際立たせてくれるクラシックで自然なカラーだ、という意味です。したがってそこでは、服ではなく人こそが主役となり、必然的に服を身に着ける人の個性が前面に出てくる。これが私の言う他者との「距離」です。つまりネイビーを身にまとうことで、人々は自分らしくあることができるのです。彼らは自分自身を偽るためにその服を着てはいません。その人の個性がそこにはっきりと見えています。その人は自信に満ちあふれ、しっかりとした自らのスタンスを持っています。そこに他者との「距離」が生まれるわけです。しかしだからと言って、彼らはアグレッシブにそれを主張しているわけでなく、むしろリラックスして、自然な形で自分を表現しているだけです。

[来日した際のアルマーニ氏。ネイビーのニットに身を包んで@アルマーニ銀座タワー。]

Q.02 ――
日本ではネイビーは「フォーマルな色」という印象があります。
イタリアではどうでしょうか?

[アルマーニ氏・A]
イタリアでは、ネイビーはフォーマルシーンとカジュアルシーンの両方をつなぐカラーであることは間違いありません。これもまた、このカラーの持つ中立性のなせる業(わざ)です。ネイビーは、フォーマルなウェアだけにとどまらず、Tシャツやスウェット、テクニカルアウターなど、リラックス性の高い服でもその機能を発揮します。実際、スポーツウェアに関して言えば、ネイビーはここ数年来、私がイタリアのオリンピックチームのウェアデザインに採用してきたカラーです。この夏の東京オリンピックでも、イタリアのナショナルチームはネイビーを着ることが決まっています。私がオリンピックとパラリンピックチームのアスリート向けにデザインしたトラックスーツやジャージ、Tシャツ、ポロシャツも、ネイビーカラーです。ここで使っているネイビーブルーは、スポーツの世界でイタリアのナショナルイメージに結びついているブルーカラーよりもかなり暗めの色です。よく知られた例では、サッカーのイタリア代表チームは「アズーリ」の呼称で呼ばれていますが、その名はユニフォームのカラーであるあのブルーから来ています。このアズーリは、かつてのイタリア王家のサヴォイ家のシンボルカラーに由来するカラートーンであり、イタリアのスポーツチームが好んで身に着けるカラーです。私がナショナルチームのウェアをデザインするにあたって採用した深いブルー、後に「アルマーニ ブルー」と呼ばれるダークブルーのトーンは、いわゆるアズーリとは異なるブルーですが、それを着るアスリートだけでなく、一般の人々からも好意的に受け止められていると私自身は認識しています。このカラーによって、イタリアのオリンピックアスリートたちの外見がしっかりと引き立てられています。もともとイタリア人の多くはネイビーカラーを好みますね。おそらくその好みは、私たちの国を取り巻く海への愛から来ているのではないでしょうか。なんと言っても、ネイビーブルーとエクリュの組み合わせは、船乗りや航海の世界では古来より定番のカラーですから。しかしあるいは、このカラーが愛されるのは、「それが非常にエレガントに見えるから」というごくごく単純な理由かもしれません。私たちのイタリアには、文化的なものや洗練されたものをこよなく愛する気風があります。

Q.03 ――
今回のクルーズコレクションで発表されていた深いブラウンも、
洗練されて肌がキレイに映りそうでとても素敵だと感じました。
ブラウンもネイビーと似たような魅力があると思うのですが、
黒や白とは違う、この色たちの、
大人の女性への利点や作用がありましたらお聞かせいただきたいです。

(アルマーニ氏A)
ネイビーブルーと同様、ダークブラウンは自己主張しすぎないカラーであり、汎用性が高いと言えます。私がネイビーブルーを愛してやまないのは、この特質があるからです。光沢あるベルベット生地から豪華なカシミヤ、さらにはシンプルなコットンに至るまで、これまで私は多くの素材にネイビーブルーを使用してきました。ブルーという色は、いわば個性の要素が加味されたブラックとも呼びうるものです。他のカラーとの組み合わせも容易で、シンプルさの中に洗練されたエレガンスを備えています。クルーズコレクションに私が取り入れたダークブラウンにも、これと同様の特性があります。根本のところで、私はナチュラルでニュートラルな色、つまり、あまり主張しすぎず、ことさら注目を喚起しないカラーを好む傾向がありますね。もちろんやろうと思えば、赤など主張の強いカラーと併用したり、仮にそれがイブニングウェアであれば、それをクリスタルで飾ったりもできなくはありません。ただしそこでもやはり、私のファッションデザイン全般に通底する大きな前提が揺らぐことはありません。私としては、服そのものではなく、それを着る人自身が主役でいて欲しいのです。ですからその意味でも、ネイビーやダークブラウン、そしてもちろんブラックも―― これらの落ち着きを備えたカラーは、気取りがなくエレガントでスタイリッシュなルックスを生み出すのに使える理想的なカラーであり、男女を問わず、それを身に着ける人々を輝かせる力を持っています。

撮影/伊藤彰紀〈aosora〉 スタイリング/斉藤美恵 ヘア/西村浩一〈angle〉 メーク/島田真理子〈UM〉

 

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