ロジェ ヴィヴィエの一点もの、日本初公開。ゲラルド•フェローニ氏にインタビュー
2026年パリのオートクチュール コレクションで発表された、ロジェ ヴィヴィエの特別なコレクション「ピエス ユニーク」が日本で初公開。今回の「アトリエ アニマリエ」に込めた想いを、この特別な展示会に合わせて来日したデザイナーのゲラルド・フェローニ氏に伺いました。
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発表された「ピエス ユニーク」は11点
メゾンのアイコンである『エフロレッセンス ジュエル バッグ』をベースに、レオパード、ゼブラ、ジラフなどのアニマルモチーフを、ビーズやクリスタル、フェザーの刺繍など、さまざまな手法で表現。自由な遊び心に溢れた全11点。
── 「アトリエ アニマリエ」はどのような発想から生まれたのでしょうか。
「アニマリエは、ロジェ ヴィヴィエのアーカイブのなかでもコアなテーマのひとつで、世界中で多くの人に愛されています。なぜ今改めてフォーカスしたのかと聞かれると明確に説明するのは難しいですが、常に頭の片隅にある存在でした。また、アニマルモチーフはとても力強く、いろいろな捉え方ができる点も魅力です。そうした要素が、今回のコレクションにつながっています」
── 今回のコレクションのなかで、特に印象に残っているアイテムやエピソードがあれば教えてください。
「世の中にほかにひとつとないものを作るのが『ピエス ユニーク』。どれもが美しいものなので、ひとつを選ぶのは難しいけれどストーリーがあるとしたら、グリーンが印象的な“パラディ・ノワール”です。現在はパリの美術館に所蔵されているシューズをベースにしています。実は私自身も初期のポートレートで、このシューズを頭に載せて撮影したという繋がりがあります」
「また、レオパード柄をモチーフにした“ポートレ・デュ・ジャガー”は、模様をひとつひとつ手作業で描いていて、完成までに約70時間を要しました。非常に細かな作業で、制作のなかでも特に大変だった工程のひとつです」
── これまでのコレクションも自然や象徴的なモチーフ、構築的な表現などアプローチが多彩ですが、そのなかで、ご自身がぶれないと感じている部分は?
「コレクションごとにテーマやアプローチは変わりますが、まずはアーカイブを大切にすること、それをいかに現代的に、モダンに解釈し直すかということです。そして “センス・オブ・ユーモア”。ユーモアをもって変えていくというところはすごく大切にしています。もともと自分のことをすごくシリアスな人間だと思っていないので(笑)」
── ユーモアやアイデアはどのような時にひらめくのですか?
「もちろん自分のキャラクターから出ている部分はあるのですが、ロジェ ヴィヴィエ自体が人生の楽しさや喜びを大事にするブランドです。ファッションは本来喜びをもたらすものだと思うので、自分の個性だけではなくて、ブランド全体が楽しさや幸せを映し出すものだと思います」
── どのようなときにクリエーションの喜びを感じますか?
「クリエーションにおいて最も楽しいのは、やはり最初の瞬間です。デザイン画を描き、それをもとにアルティザンとどのように形にしていくかを話し合いながら、実際に形になっていく過程はとてもワクワクします」
── 今回の来日を通じて、日本の女性やスタイルについてどのような印象を持たれましたか。
「日本は大好きで、日本の女性も本当に魅力的だと感じています。街で見かける方々からも多くのインスピレーションを受けます。ひとつの言葉で定義するのは難しいのですが、みなさんそれぞれが自分らしい表現をしていて、とても洗練されている。自分のスタイルを確立しているところに、美しさを感じます」
── この滞在期間中、嬉しい出来事があったそうですね。
「実は、桜をしっかり見ることができたのは、今回が初めてなんです。20年ほど日本に来ているのですが、こんなに美しいタイミングで見られたのは初めてで、とても嬉しかったです。幸せな気持ちになりました」
窓の外に広がる桜を眺めながら、「やっと見られた」と和やかに語っていた姿が印象的だったゲラルド氏。今年の桜が、この後のインスピレーションにつながるかもしれません。
Profile

ゲラルド・フェローニ氏
「ロジェ ヴィヴィエ」クリエイティブ・ディレクター。イタリア・トスカーナで靴職人の家系に生まれる。「ミュウミュウ」「プラダ」「ディオール」のシューズ、レザーグッズ、アクセサリー部門で10年以上の経験を積んだのち、2018年に現職に就任。コレクションに彼の楽しく装飾的な意匠を吹き込み、現代的なデザイン言語で創設者の遺産を進化させている。