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教育ニュース

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2020.12.07 UP

2022年度に高校で新設される3つの教科、
そのポイントを解説!

子供たちが社会に出るこれからの時代、世界と戦うためには、「主体的・対話的」かつ、「探究」する力が必要です。

 

 高校生の教育となると、とかく大学入試ばかりが注目されますが、高校で実際に勉強する中身についても、色々と変わってきています。このコーナーでも時々出てくる「学習指導要領」というのは、学習の内容、時間などのいわば「ガイドライン」のようなものですが、高校の教育も、この「指導要領」を基準に組み立てられています。10年を一つのめどに改訂され、小・中・高は1年ずつ、その改訂の時期がずれています。今年度は小学校、来年度は中学校、再来年度、つまり2022年度に高校の教育が改訂された内容に移行するということです。そこで、今回は高校の教育で何が変わるのか、そのポイントをご紹介したいと思います。

 

 注目すべき点は、いくつかの新設の教科があるということです。例えば、「公共」という科目。現在の「現代社会」から変わるものですが、選挙権が18歳以上に引き下げられたのを機に、より「主権者」という視点に立って、社会について学ぶという内容に再編されました。選挙の仕組みを学ぶだけでなく、社会のテーマを取り上げてディベートをする機会などが具体的に設けられるのが、この教科になります。

 

 また文系・理系問わず、歴史や地理が必修となったことも、今回の大きな改訂です。必修科目は「歴史総合」「地理総合」となりますが、この背景には興味深い理由があります。現在の世界規模の課題でもある気候変動、GPS(全地球測位システム)を活用した社会変革に対応するためには、地理的知識(単に場所だけではなく、天候などの自然現象から地政学的な知識を含む)が必要であることから、現代に必要な地理の勉強に力を入れる必要があるというのが一つの理由です。また歴史についても、小・中学校ですでに勉強した内容の繰り返しではなく、世界史と日本史の融合や文化的な要素を取り入れた歴史教育など、グローバル人材としても歴史は必要とされているということも理由の一つとされています。

 

 全般として、高校の新学習指導要領では、「探求」が一つのキーワードになっています。選択科目では、これまで「日本史A・B」や「世界史A・B」とされていた科目名が「日本史探究」「世界史探究」に、理数系でも「理数探究」や「理数探究基礎」、小・中・高にわたって設置されている「総合的な学習の時間」も、高校では「総合的な探究の時間」となるなど、「学習」という言葉が持つイメージから、より踏み込んだ深い学びをすることを、高校での学習のねらいにしていることが読み取れます。

 

 これまでの日本の教育である「知識の詰め込み」、具体的には暗記重視の、画一的な教育から、主体的・対話的な、個々の子供たちの特性を生かした教育への変換を目指しているのですが、長い間の日本の教育の特性を一気に変えることは難しいのも事実です。また、高校の勉強内容は、どうしても大学受験を視野に入れてしまうので、受験科目として問われていないことについては勉強しない傾向が強くなってしまいます。でも、子供たちが社会に出るこれからの時代、世界と戦うためには、「主体的・対話的」かつ、「探究」する力が必要です。つまり知識や情報を整理して、自分なりの考えを持つという力ですね。その意味からも、高校教育の変革は、的を射たものになっていると、私自身は考えています。

 

 探究する力は、小さいころから、親子の対話でも十分身につきます。年齢に合わせた方法で、子供の「じっくり考える力」を身につけてあげたいですね。

 

Profile

細川 珠生

政治ジャーナリスト。聖心女子大学英文科卒業。政治全般や地方自治、教育に関する知見を活かし各方面で活躍。三井住友建設株式会社社外取締役、星槎大学非常勤講師なども務める。16歳男子の母。
近著に『明智光秀10の謎』(本郷和人共著、宝島社)。
https:// blog.excite.co.jp/tamaohosokawa

編集/羽城麻子

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