【中学受験相談】
マイペースな性格の子だと 中学受験には向かないですか?
VERY NAVYの人気連載・おおたとしまささんの『悩めるママのための、受験進路相談室』が『中学受験生を見守る最強メンタル!』というタイトルで書籍化! 過熱する中学受験や受験をとりまく現状に悩むママたちに向けて、「どんなにしんどいときでも子どもを動揺させない心の柔軟性を見つける」36の心のエクササイズを提唱しています。今回は、そんな書籍に掲載されたお悩みの一部を公開します。
<Wさんの場合>
【家族構成】
夫、息子(小4)、娘(5歳)
【今回相談する子どもの状況】
息子(年中から小3までZ会、小3春期講習からSAPIXに通塾)
[習い事]サッカーチーム(週4)、そろばん(週2〜3)、英語(週2)、塾(週2)
【相談内容】
子どもはマイペースな性格です。勉強するのは嫌いではないですが、計算ミス、覚えない、わからない問題は直ぐに諦める、問題をきちんと読まない……塾のテストでどんどんクラスが下がっていってます。それでも、全く気にしません。「同じ学校に一番上のクラスに行っている子がいるんだけど、その子は考え方が凄いんだよ」と楽しそうに話してくれるほど、人は人、自分は自分。毎日が楽しいそうです。
私は中学受験経験者で、受験はそんなに甘くないと思っていますし、途中でやっぱり受験をしたいと思っても間に合わないと思うのでやめたくありません。でも、毎日息子を怒ってしまって私も辛く、反省する日々です。
W(相談者): 新小4年の最初のテストで成績が下がって焦りました。でも、今回のコロナ休校で勉強時間がとれたので、この間のテストでは少し成績が上がって、本人の自信もだいぶついてきたところではあるのですが……。一番の悩みは、マイペースな子どもにどうやって受験勉強っていう長いスパンでの目標設定をしていくかということです。メモしていいですか? 受験ノートを作っていて。
オ(おおたさん):すごいですね、そのノート、見たいです。
W:毎日やるべきことを書いていたんですけど、もっと見える化しようと思って、こっちが新しく用意したもので、何をどれだけやったかをノートにつけて、反復練習を何回やったかとか全部書いて。
オ:噂には聞いていたけど、実際にやってる人は初めて会いました。
W:でもこれも使い勝手が悪くなって、今はExcelで何ページから何ページまでやるって管理して、それが今は一番いい状態ですね。何をどうできてないかとか、どの理解度が少ないかとか、毎日記録しています。
オ:学校がない間は、どれくらい勉強していたんですか?
W:朝は1時間。これは学校がある時も元々やっていて。今回の休校期間中には、午前中2時間くらいと午後3時間くらいで、夕食後に1〜2時間くらいかな。
オ:すごいですね。トータル7〜8時間はやってるということですよね。
W:でも、これを本人が納得してこなさせなきゃいけないのが、すごく大変で。
オ:まずお母さんはしっかり目標を決めたいんですよね。それから、ただこなすだけじゃだめで、本人が納得しなきゃいけないとお考えなのですね。
W:何事もまず目標設定をして、いろんなことを達成してきているので。たとえば、小学校1年生の時に硬筆でクラスの代表に選ばれて、2年生でも選ばれたいというので、もっときちんと一文字一文字確認しながら練習するっていうのを何時間もやらせました。本人が「もうできない」って言っても、「もっと頑張るんだ」「あなたの目標は何だったの?」ってやらせて。そしたら東京都の賞に出してもらって。そういった目標を掲げて、練習してっていうのがいままでのパターンでした。私自身がそういうやり方しかわかってないんだと思うんです。
オ:お母さんが、そういうやり方しか知らないとおっしゃっているけど、お母さんも中学受験したんですよね?
W:はい。ただ、私はスポーツをやっていたので、受験勉強を始めるのがすごく遅かったんです。で、途中で投げ出した経験があって。一度投げ出して、でもやっぱり6年生になって受験したいって言い出して受験した経緯があるので、子どもが受験をやめるって言ったことをどうしても受け入れたくないんですよ。
オ:お子さんが受験をやめると言った?
W:どんどん成績が下がる一方なのに本人はマイペースなので、それならこのままやめた方がいいんじゃないかって私から言ったら、「ママがそう言うならやめるよ」って言われたんですけど。「ママは絶対やめてほしくないけど、本当に別のことをしたいならやめるっていうのも一つの選択肢だし、本当の気持ちを聞かせてほしい」と言ったら、「やる」って。性格が本当にマイペースなので、「自分がこれをやるんだ!」っていうのがあまり伝わってこないんですよね。習い事もこれだけこなせるっていうことは、本人がボーッとしてるんですよ。きちんとしてる子だったら、こなせないと思う。
中学受験が人生の一部だとするのなら、スポーツやビジネスみたいに単純なものじゃないのかもしれないですね。
オ:2つ質問していいですか。まず、お子さんにとっての究極の目標は何ですか? 要するに、今いろんな目標を目の前に設定してクリアしているけど、それはどこに行き着くためなのか。
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Profile
おおたとしまさ
教育ジャーナリスト。1973年東京都生まれ。東京外国語大学中退、上智大学英語学科卒。リクルートから独立後、育児・教育分野で活躍。執筆・講演活動を行う。
著書は『中学受験生に伝えたい 勉強よりも大切な100の言葉』(小学館)など60冊以上。
http://toshimasaota.jp/
イラスト/Jody Asano コーディネート/宇野亜紀子 編集/羽城麻子