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【中学受験相談】
中学受験について消極的な夫…家庭内の足並みがそろっていません

VERY NAVYの人気連載・おおたとしまささんの『悩めるママのための、受験進路相談室』が『中学受験生を見守る最強メンタル!』というタイトルで書籍化! 過熱する中学受験や受験をとりまく現状に悩むママたちに向けて、「どんなにしんどいときでも子どもを動揺させない心の柔軟性を見つける」36の心のエクササイズを提唱しています。今回は、そんな書籍に掲載されたお悩みの一部を公開します。

Hさん

<Hさんの場合>

【家族構成】
夫、長男(小6)、長女(小2)、次女(保育園年少)

【今回相談する子どもの状況】
長男 小3の2月〜小4の1月までは早稲田アカデミー→小5の夏期講習から現在まで 栄光ゼミナールに通塾。

【相談内容】
私は中学受験経験者。中高一貫女子校から付属の短大へ進学しています。一方の夫は、地方出身者、中学受験については消極的。小3の2月、長男が「塾に行ってみたい」と言い出したことでスタートした中学受験でしたが、自ら勉強する意識が低くて、母親である自分がかなり口出しをしてしまいます。わたしがガミガミ言うので、家庭内の雰囲気も悪化。塾の先生が変わって長男のやる気も低下したところで一度リセットすべく、小4の1月で退塾しました。

仕切り直しで小5の夏から別の塾で受験勉強をスタートさせたのですが、やっぱり口を出してしまうし、夫は「お金は出すけど、今からそんなことさせて何になるの?」と言い出す始末。家庭内の足並みがそろっていないのが気になります。

H(相談者):夫が協力的じゃないんです。夫は地方出身で、中学までは公立で、高校は私立の男子進学校に入って、塾にも一度も行かないで国立大学に入って、理系で、今も本人がやりたい仕事をやっているんです。だから、「勉強なんて、本人がやる気になればやるよ」っていう感じ。

オ(おおたさん):具体的にいま何に困っています?

H:子どもの面倒は基本的によくみてくれるのでいいんですけど、学校見学とかに来てほしいよなぁとは思ってます。学校について、私とじゃなくて息子と話してほしい。息子が今興味を持ってることに興味を持ってほしいというか……。

オ:お母さんとしては、何のために中学受験をしているのか理解してほしい。そのきっかけとして、いい学校を見れば、少しは気持ちも変わるんじゃないかっていう意味ですよね。

H:はい、そうなんです。うちの夫は、自分がやりたいことがなければどこに行っても意味がないと思ってるんですけど、そんなの11歳の子どもにあるわけないじゃないですか。

オ:自分のやりたいことがなければどこに行ったって意味がないと言うなら、私立に行く意味は、反抗期を含む最も多感な時期を高校受験に邪魔されず、6年間のゆったりした時間の中で、本当の自分と向き合えること。昔の地方の学校であれば高校受験と思春期の両立も問題なかったのでしょうけれど、今の都心の高校受験でトップ校を目指そうと思ったらその余裕はなかなかない。中学受験を知らない人がよく言うのが「私立一貫校っていい大学に行かせるために行くんでしょ」ってやつで、「そこじゃないよ」っていう。お母さん自身は中学受験を経験し、私立中高一貫校の良さも身に沁みてわかっている。だとしたら、そもそもなぜ中学受験をするかという根本の価値や、お母さんにとって私立中高一貫校の何が良かったのかっていうのを、改めて説明してあげてもいいのかもしれないですね。

H:なるほど。

オ:ここから先は夫婦関係の話になりますけど、すぐにわかってくれることを期待しちゃいけないんですよ。「説得モード」になるとたいてい空回りしちゃうので。伝えたいことを予めできるだけ端的にまとめておいて、それを伝えたら、相手が「?」な顔をしていてもそこでおしまいにする。そうすると、彼の中で、反芻しながら少しずつ理解するから。説得するんじゃなくて、あくまでも自分の価値観として伝える。それに1oo%同意してくれなくていいっていうスタンス。これは夫婦のコミュニケーションの大原則。そうすると、忘れた頃に意外と協力的になってくれたりするから、その変化は見逃さないでください。そこでやっぱり「ありがとう」を伝えることでいい循環に入っていく。それが夫婦関係を少しずつよくしていくコツかな。

今、価値観がぶつかり合ってるけど、それは中学受験がなくてもいずれどこかでぶつからなきゃいけなかったこと。

H:子どもから塾に行きたい、受験したいって言ってきたから始めちゃったので、そこのすり合わせもしたことないし。うちはなんでもお互い関与しない感じなので、子どもの受験とかで初めて、お金も手間暇もかかるっていうことになって、初めてぶつかるっていう。

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Profile

おおたとしまさ

教育ジャーナリスト。1973年東京都生まれ。東京外国語大学中退、上智大学英語学科卒。リクルートから独立後、育児・教育分野で活躍。執筆・講演活動を行う。
著書は『中学受験「必笑法」』(中公新書 ラクレ)など60冊以上。
http://toshimasaota.jp/

イラスト/Jody Asano コーディネート/宇野亜紀子 編集/羽城麻子 デザイン/attik

 

VERY NAVY6月号『おおたとしまささんの悩めるママのための、受験進路相談』から
詳しくは2020年5/7発売VERY NAVY6月号に掲載しています。

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