高校2年でカナダに2年間
留学Mさんの場合
[実例・我が家の留学体験記]
親の海外赴任で帰国生となる子どもたちの進路は、一見恵まれているようでいて、実際は選択肢が少なかったり迷うことも多々。今回は、海外赴任後単独でカナダの高校に留学したケースをご紹介します。
Vol.7 高校2年で2年間留学【Mさんの場合】
Vol.7 高校2年で2年間留学【Mさんの場合】
中国駐在を経て、家族と日本には戻らずカナダ留学へ。2年間の留学期間を経て、カナダのトロント大学へ進学。
【留学したときの学年】
高校2年生9月~
【留学した国】
カナダ
【留学した学校】
Elgin Park Secondary School
【方法】
トフルゼミナール
【ステイ先】
ホームステイ
【費用】
年間約250万円(学費、手数料込み)
海外に慣れていたはずの娘も親元を離れた生活の厳しさを留学で実感
行くまで
我が家は主人の仕事の関係で娘が幼い頃から高校生になるまで、海外赴任と国内の転勤を繰り返す生活でした。アメリカ→香川県→千葉県を経て中学3年生の頃に中国の江蘇省に駐在することになり、現地のインターナショナルスクールへ。
その後、3年の駐在予定が2年で帰国することになり、当時、高校2年生だった娘の進路に親子でとても迷いました。日本に帰国して編入できる学校も考えましたが、正直、日本の勉強を最初からやり直すことにも親子で不安が。海外の学校も視野に入れていたので「このまま海外で頑張ってみたい!」という娘の意思を尊重し、娘だけ日本に戻らず、他国へ留学の道を選びました。中国で在学中だった高校は、インターではあるものの生徒は全員中国人だったので、中国語での授業が中心。なので、中国語はある程度マスターできていましたが、英語のスキルはそこまで上がらない状況でした。海外留学の情報がなかなか得られないなか上海の駐在員向け教育情報サポートセンターEDUICを通じて情報を入手。トフルゼミナールを紹介され、相談を重ねたうえで、カナダの公立高校への留学を選択しました。親としては、私立校より学費がリーズナブルな点、中国語を引き続き学べる環境にある点(カナダは中国人に人気の留学先なのです)は学校を選択する際大きな理由でもありました。ある程度は英語が話せ、海外生活に慣れていることが考慮され、公立校の中でも、通常なかなか受け入れてもらえない学力重視型の進学校に編入できることになりました。留学後は高校2年生にあたるグレード11からのスタート。卒業まで2年、初めて親元から離れてホームステイでの海外生活のスタートを切ることになりました。
行ってから
ステイ先のホストは仕事を持つシングルマザーの家庭だったので、時差ボケで娘が朝起きたときには家に誰もおらず、母親がいつも家にいるわけではないことを早々に実感。自分の想像とは全然違っていた寂しさで初日から泣きながら電話をかけてきました。また、残された我が家は我が家で、弟2人を率いていた3人きょうだいの長女が1人欠けたことで、きょうだいバランスが崩れるなど娘だけでなくお互いが家族の大切さを実感しました。学校生活では、最初は発言が少ないと批判されることもあり、英語で行われる授業についていくために、ほとんど寝ずに勉強をし、学校に行くこともあったそうです。
留学1年目でも娘の自立を実感しましたが、2年の留学を終えて帰国した娘は、完全に自立した大人のようにさえ見えました。留学前、将来の目標をまだ持っていなかった娘に対して「それはどうして?」と言われてしまうほど、海外の子ども達はきちんと夢や目標を持っていたので、娘自身も自立への意識がひとしおだったのでしょう。高校卒業後の進路に関しては、カナダの大学に残ることを自分で決断。大学への出願など必要な手続きも気がつけば全て自分で済ませていました。今年の6月に無事卒業をしましたが、新型コロナの影響で卒業式やプロムなどすべて中止に。最後の楽しいイベントを経験できなかったことはとても残念ですが、9月からの新生活を迎え、ますます頑張ることでしょう。寂しさを乗り越えながらも勇気を出して留学を後押ししてよかったと思います。
撮影/相澤琢磨 取材・文/鍋嶋まどか 編集/羽城麻子 デザイン/attik
VERY NAVY 11月号『実例・我が家の留学体験記』から
詳しくは2020年10/7発売VERY NAVY 11月号に掲載しています。
取材内容は、留学当時の情報になります。