内田恭子さん流・軽井沢の楽しみ方「何をするわけでもない、そういう時間って大事」
知性のある上品なファッションと聡明なキャラクターで人気の内田恭子さん。VERY NaVYで、彼女が愛する「モノ、コト、場所」を通じてその〝審美眼と価値観〟を知るエッセイ連載。今回は内田さんが軽井沢で過ごす夏休みについて語ってくれました。
内田恭子さんの
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今年の夏も暇さえあれば、軽井沢で過ごしています。大きく広がる空と山、たくさんの緑に囲まれて心も体も解放されて軽くなります。私が住んでいたのはシカゴの郊外で、裏庭の向こうは林。鹿やアライグマが出没するような所で育ってきたので、緑が多い場所にいると懐かしい気持ちになり、とても落ち着くのです。そして、日々東京のど真ん中で育児に仕事に頑張っている自分をよくやってるよねえ、と労ってあげるのです(笑)。
そんな軽井沢の夏。とは言っても散歩以外ほとんど出歩くことはない。子どもたちは近所の友達がタイミングよくいたらそのまま遊びに行ってしまうし、私も家のことを終わらせたら、後はゆっくり。ここぞとばかり本に没頭します。この夏は山崎豊子さんの『不毛地帯』を読破し、登場人物の描写や構成力の深さや、ぐいぐい引き込まれる世界観に圧倒され、一人熱くなるという、なんとも平和な時間を送っています。
さて、軽井沢の夏の楽しみのひとつはたくさんの友人が集合しているところ。一緒にゴルフをしたり、ご飯を食べたり。こちらだと家族単位でみんな集まれるから、とても賑や か。人数も多くなるから、そういう時は誰かの家で、女性陣はキッチンでおしゃべりしながらお料理を作り、男性陣はBBQを焼き焼き。東京でも近所に住んでいるのに、軽井沢で会っている方が多いね、なんて人たちもいるから面白い。でもここで集まる時はみんな社会の役割から解放されている時だから、必然的にとても優しい時間が流れるのです。
そして私が最も好きな時間は、夜ご飯の後に外の暖炉に火を入れ、家族でゆっくりと過ごす時間。夏だけではなく、真冬の極寒な時期以外は、ブランケットにグルグル巻きになりながら、火にあたる。子どもたちが寝た後も、そのまま夫と二人でお酒を飲みながら、特に何を話すわけもなく、ぼーっと火を見つめる時間。時々薪がバチンと弾ける音に、心地よくなって隣でうたた寝していた夫がビクッと起きるのも微笑ましくなってしまう。何をしているわけでもないのだけど、こういう時間ってとても大事だよね、なんて思ってしまうわけです。
Profile
内田恭子さん
1976年生まれ。フジテレビのアナウンサーを経て、結婚を機にフリーランスに。現在は幅広いメディアで活躍する一方、上品かつ高感度なファッションも話題に。12歳と9歳の2児のママ。
モデル・文/内田恭子 撮影/須藤敬一 構成/松井美雪 編集/羽城麻子