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内田恭子さん「私がすっかりハマった“風変わりな先生”と漢方」

知性のある上品なファッションと聡明なキャラクターで人気の内田恭子さん。VERY NaVYで、彼女が愛する「モノ、コト、場所」を通じてその〝審美眼と価値観〟を知るエッセイ連載。今回は内田さんが頼る漢方について伺いました。

内田恭子さんの

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私と中田先生との出会いはかれこれ8年前ほど。当時私は次男を産んだばかりで、体が完全に疲労しきっていた時。まだオムツがとれない長男を抱えながらの乳児のお世話で、もともとキャパの狭い私には、当時の記憶がほとんどない(笑)。ただ毎日夕方になると一度横になって体を休めないと、夜まで体力がもたないほど辛かったのだけは覚えている。そんな私を見て、出版社に勤めていた友人が「素晴らしい処方をしてくれる、クセ強めの漢方の先生がいるから。恭子好きだと思う」と中田先生を紹介してくれたのが始まりだった。

 

初めての診察の時。ドアを開けて、先生の前の椅子に座る私の一挙手一投足を見ながら、「うん、うん、うん。あーなるほどね」と、ひとりで頷いている先生。「うんうん。ね、もうね、スイッチが入りっぱなしなのよ」と、いきなり意味不明。すでにクセ強め。挨拶もそこそこに話を聞くと、私は体を休めるためのスイッチのオンオフの切り替えが全くできていなく、常にオンの状態らしい。だから体は無意識のうちにずっと緊張しっぱなし。それが脈を測る前から見るだけで分かるらしい。「内田さんの体はね、軽自動車。なのにいつもアクセル全開でいくから最初の出だしはいいけれど、エネルギーがもたないのよ。ポルシェじゃないんだから、そんなにずっととばせないから」「あの……私、ポルシェがいいんですけど」「軽なんだから、そんな持続力ないから」と、とりあえず無理をしないこと。軽は軽らしくしておくこと、ということを初回は口をすっぱくして言われたのだった。

 

そんなこんなで先生の処方してくれる生薬を飲み始めてから、驚くほど私の体調は安定し、今に至る。漢方というと、長く飲み続けなければ効果がでないようなイメージがあるけれど、ズバリの処方をしてもらえば驚くほどの即効性がある。私が副鼻腔炎になった時も、抗生物質を一切使わずに漢方だけで症状がピタリと治まってしまったのである。また季節によっても処方が変わる。梅雨になると人の体も水分が多くなるから余分な水分を出すものを、夏になると冷たいものを摂りすぎて体が冷えるから胃腸を温めるものをと、微調整がありがたい。おかげで私も自分の体のちょっとした変化に敏感になったり、体調が悪くなる前に対処するなど、日常的に自分の体に目を向けるようになってきた。「とにかく養生」と先生にいつも言われるのも分かる。体と心は確実に繋がっている。元気に笑顔で毎日を過ごしたかったら、まさに養生すべき。歳を重ねるほど痛感する。もう軽自動車と言われても文句は言わない。軽の私を受け入れようではないか。そしておばあちゃんになるまで、その軽を大事にしてあげようじゃないかという気持ちになってくる。

 

話は中田先生に戻り、先日も、夜中にポテチを平らげた翌日の診察で「昨日暴食したでしょ? 顔が浮腫んでる」と言われ、恐れ入った。とにかく頭が良すぎて、発想が斬新すぎて、先生の言うことの半分は理解不能。イエス様は元をたどれば薬剤師だったと言われても、全くピンとこない。でもそう考えられる理由を先生は嬉々と話す。天才=奇人って言うけれど、先生は全くのそれですね、と言うと、にやりと不敵な笑みを浮かべる。やっぱり奇人だ。でも、奇人好きの私は、漢方と先生の処方にすっかり魅了され、今も月1の診察で先生と半分理解不能な会話をやりとりする。あ、でも最近は2/3くらいは理解できるようになったかも。とにかく今日もこうやって元気にやりたいことをやって笑って過ごしていられるのは、漢方のおかげなのです。

Profile

内田恭子さん

1976年生まれ。フジテレビのアナウンサーを経て、結婚を機にフリーランスに。現在は幅広いメディアで活躍する一方、上品かつ高感度なファッションも話題に。11歳と8歳の2児のママ。

モデル・文/内田恭子 撮影/須藤敬一 構成/松井美雪 編集/羽城麻子

 

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