【(NO) RAISIN SANDWICH】CEO 平野紗季子さん「ポッドキャストは実は立候補」VERY NaVYで申真衣さんと対談
『VERY NaVY』で、現代における女性活躍のアイコンとして期待される申 真衣さんのエンパワメント対談連載。2025年11月号では、フードディレクター・エッセイスト 平野紗季子さんと対談しました。
*掲載中の内容は誌面掲載時のものです。
平野紗季子さん × 申 真衣さん
”自分の人生を自分で切り拓いていく”ということ
「自分でチャンスを積極的に取りに行く姿勢がかっこいい」ーー申さん
「ポッドキャストもやりたい!と立候補しました」ーー平野紗季子さん

人生における次のステージへの扉は、勝手には開かない。やりたいことを選ぶ、やりたくないことを手放す、悩まず決める、違うと思ったら潔く引き返す。彼女たちが魅力的な理由は「切り拓く力」にありました。
―今回のゲストの平野さんとは、申さんがファンだったことから交流がはじまったと聞きました。
申さん:そうなんです。平野さんが大学在学中にブログを発信していた頃からのファンで、インスタグラムをはじめたときに平野さんを見つけてフォロー。ある日相互フォローになり、まさかのDMで食事に誘われるという推し活的に夢のような展開となりました。
平野さん:真衣さんをメディアで拝見して、ふとインスタをチェックしたら「え、私フォローされてる!」となって。その活躍の様子に、いつか直接お話しできたらと思っていました。私はコミュニケーション能力が高い方ではなくひとりで予約して行くレストランも多いのですが、行きたいお店が2名からだったりすると、とりあえず相手を決めずに予約。その日が近づいてから「誰と行きたいかな」と考えるのもまた好きで、真衣さんにも「翌週どうですか?」と急なタイミングでお誘いしちゃいました。日程が迫っていると相手も断りやすいのでは?と勝手な理由を考えたりして。
申さん:一度目は都合が合わず、もう一度声をかけてもらえたときは本当に嬉しかったです。とりあえずレストランを予約して、あとから一緒に行きたい人を考えるスタイルはいいかもですね。いつもの枠を超えた人と食事を楽しむきっかけになりそうです。
平野さん:そう言ってもらえてよかったです。申さんは会社経営の大先輩、私は自分の会社を「これからどうしよう」とリアリティを持って相談できる人があまりいなかったので、食事をしながらお話が聞けたのはすごくありがたかったです。「おいしい、おいしい」とコース料理を堪能したあと「これから仕事」と風のように去っていく申さんの後ろ姿を見て、憧れが100%になりました。
申さん:去るのが早すぎていけませんね(笑)。あっという間の楽しい時間でした。古参のファンにとって、平野さんがどんどん活躍の場を切り拓いていく様子は、見ていてとてもワクワクします。才能を持った人が偶発的に成功したように思われている方がいるかもしれませんが、平野さんは会社を辞める決断や「(NO) RAISIN SANDWICH」の起業もご自身で会社を登記されるなど、自分で切り拓いて形にしていく人。ビジネスを広げていくチャンスを積極的に取りにいく姿勢が素敵です。
平野さん:嬉しいです。
申さん:しかも人気番組に成長させる力。平野さんの前進する気概は持ち前のものですか?
平野さん:会社員の経験も大きいかなと思います。入社したタイミングでブログが書籍化、「次の本を書きませんか?」とお声がけいただくも、仕事が忙しすぎて引き受けることができず。やりたいことができず、そうでないことをやらなければいけない状況をどうしてもポジティブに捉えることができなくて「自分で歯車を回していこう」とマインドを切り替えました。でも会社員として5年間働いたなかでは学びがたくさんあって、企画書の書き方など、その経験は今の働く筋肉です。
申 真衣さん
『悩みは長引かせずとりあえず決める。私は止まるより、動く』
シャツ¥35,200(アカネ ウツノミヤ)ピアス¥4,235,000右手リング¥792,000左手リング¥1,320,000(すべてブチェラッティ)シューズ¥95,700(ジアボルギーニ/ショールームロイト)パンツはスタイリスト私物
―一度目の会食から、平野さんの連載のゲストに申さんが登場したりと、素敵な関係性が続いている様子のおふたり。最近のコミュニケーションで印象的だったことはありますか?
平野さん:ついこの間も相談に乗ってもらいました。ビジネスソルジャー界隈では真衣さんは女神のような方で、私にとっては守護神的な存在でもあったりします。
申さん:平野さんがだいぶ忙しそうだったので、ファンとしては心配で「誰かを雇う計画はあります?」と私から聞いちゃったんです。
平野さん:すごく救われました。私が抱えている問題に対して、自分の手の届く範囲で自由にやる、より会社然とした形にして複数人でがっちりやるパターンもあるなど、いろんな提案をしてくれつつ、最後には私との対話を踏まえたうえでの真衣さんの意見をはっきりと伝えてくれるんです。普通の雑談とは全然違う感覚。真衣さんは仕事でもプライベートでも、どっちに決めたらいいかわからない」と、しばらく悩んでしまう状況ってあったりするのでしょうか?
申さん:わからなくても、とりあえず決めます。仕事においてはお金の条件だけはさかのぼって変えることはできませんが、それ以外はわりとあとからでも動かすことができる。やってみて違うなら変えればいいのかなって。
平野さん:結婚や出産など、女性にとっての人生の岐路的な決断のときもですか?
申さん:離婚するかもしれない前提で結婚しました。何かを決断するときはいつもバックアップを用意。財産分与とか細かいことを書面にして、夫に「これにハンコ押さないと子作りしません」と。でも、VERYの取材でこの話になり原本を探したら見つからずでした。
平野さん:えー、いい話。幸せな証拠ですね。私は真衣さんのように潔く軽やかに生きたいなと思いつつ、なかなか決められずに悩みが長引いてしまうこともあり。
申さん:決めないことも、決めます。今、決断するのは無理だから3カ月後にもう一度考えようとカレンダーに予定として記入、そのときがやってきたらまた考えることに。一旦置くことで他にその時間が使えるので無駄がなく、心も健やかでいられるのかなと。
平野さん:悩みもスケジューリングするって、はじめて聞きました!それができない類いのものかと思っていたのでびっくりです。
申さん:同時にあれこれ悩むことができない性格。とくに年齢を重ねると悩みの種類も数も増えてくるので「決められるエネルギーがあるときにやろう!」と悩みも予定を組んだほうが、私自身がラクなんだと思います。
平野さん:真衣さんから感じるのは、自分で人生をオウンする強さ。それは昔からですか?
申さん:小学生の頃から変わった人でありたいとか、誰かの期待を裏切りたいと思っちゃうタイプでした。高校時代に髪のサイドを刈り上げて帰宅したときの、親の驚愕の表情を覚えています。平野さんはどうでしたか?
平野さん:自分の好きなものがはっきりしすぎて、
平野紗季子さん
『自分の好きなものを守るためには自分が強くなければいけない』
衣装はすべて平野さん私物
―食べ物の話にたどり着いたところで、多忙なおふたりが“忙しくても食べたい、大好きなもの”を教えてください。
申さん:私は酸っぱいもの、脂っこいものが好きです。例えば、唐揚げにレモンとか。
平野さん:私はいろいろありすぎますが、忙しいときはやっぱり甘いものが食べたくなります。特にドーナツ。何人たりとも傷つけない口当たりと、わかりやすい甘さ。あの何も考えなくともスーッと染み入る感じとか「ありがとう」って思います。
申さん:おいしいって、幸せですよね。平野さんは高級なものからコンビニまでと好きな食べ物の幅が広いですよね。グルメもファッションもその世界を知るほどに“好きの領域”って狭くなるような気もするのですが。
平野さん:権威的・排他的な食の世界には、
申さん:ポッドキャストでいろんなゲストの方と会話が弾む理由がそこにあったんですね。6年目の『味な副音声』も応援しています。
平野さん:真衣さんもぜひゲストに!
profile
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平野紗季子さん
1991年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。小学生の頃から食日記をつけ、大学在学中に食日記のブログが話題となり、文筆活動を開始。パーソナリティを務めるPodcastの人気番組『味な副音声』の書籍『おいしくって、ありがとう 味な副音声の本』(河出書房新社刊)が好評発売中。菓子ブランド「(NO) RAISIN SANDWICH」CEO。
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申 真衣さん
1984年生まれ。東京大学経済学部経済学科卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社。2018年に当時最年少でマネージングディレクターに就任。現在は共同創業による株式会社「GENDA」の取締役。「NOT A HOTEL」社外取締役も務める。モデル、メディア出演もこなす2児の母。
撮影/嶌原佑矢〈UM〉 スタイリング/山本有紀 ヘア/井手賢司〈UM〉 メイク/Yumi Endo〈eight peace〉 取材・文/櫻井裕美 編集/水澤 薫
*VERY NaVY11月号『申 真衣さんの今、話したい人』より。詳しくは2025年10/7(火)発売VERY NaVY 11月号に掲載しています。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。