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実は究極の推し活!50代からの「アート」は“楽しむ”のが正解

龍淵絵美さんとキュレーターの沓名美和さん

興味はあって美術館には行くけれど、いま一歩距離が縮まらないアートとの関係。『VERY NaVY』で好評連載中の「50代のロールモデルがいない⁉︎」では、Amy(エイミー)さんこと龍淵絵美さんが日本のアートシーンでご活躍の沓名美和さんをゲストにもっと身近で気軽なアートの世界を道案内。嗜むより、楽しむのが正解です。

Artは究極の推し活!?

Amy Tatsubuchi × Miwa Kutsuna

この日、対談が行われたのは沓名さんのオフィス。背景には俊輔フランソワのペインティング作品が。「その時々の気分で自宅やオフィスに飾る作品を交換。空間の印象がガラリと変わる楽しみがあります」。

Zoomの背景に映るアートは私の「名刺」になる

エイミー(以下、A 近年、ラグジュアリーブランドとアーティストのコラボレーションが増え、NaVY世代の関心事となっているアート。「自宅にアートを」という熱が高まりながらも、一歩を踏み出せない人が多いそうです。アート界でご活躍の沓名さんにお話をお伺いできるとは、なんという贅沢♡ 壁に飾られたアートも素敵です。シンプルな空間に明確な個性が生まれますね。

沓名(以下、K これは便器をそのまま作品に用いることでアートの価値を問いかけた、マルセル・デュシャンをオマージュした俊輔フランソワの作品です。アメリカではコーポレートアートといって、企業が自身の理念やイメージにつながるアートをオフィスのロビーに飾ったり、コレクションしたりしています。自宅に飾るアートも同じで、気分や考えにあった作品を探すと選びやすくなるかもしれません。最近は、Zoomの打ち合わせの背景に映るアートから、その人らしさや今の気分をキャッチすることも。

A 資産目的でアートを選ばれる方も多いように思いますが、私は価値が上がろうが上がるまいが「自分の好き」を優先したいタイプ。沓名さんの旦那さんは、日本の現代アートシーンを牽引されてきた南條史生さん。そんなご夫妻の私的なアートの選び方が、とっても気になります。

K ふたりとも、わりと直感的。夫は先端的で時代を表すような作品を選ぶことを好むようですが、私はもっと生活寄り。自宅で楽しむ作品は「この作品を家に飾ったらどう見える」とか、「生活の中で魅力を堪能したい」とか、暮らしとリンクしている感じです。今飾っているのは「ネオン」の文字を使い写実的表現の元にコンセプチュアルな作品に取り組んだ横山奈美さん、先天性の四肢疾患で両足を切断しセルフポートレートを通じ自分と正面から向き合うことで価値を転換させたアーティストの片山真理さん、「身体」という根源的なテーマを原点とした若手作家の川内理香子さんの作品など。皆さん私が手に入れた当時より、人気も価値も上昇しています。

私のアートの入り口はファッションフォト

A アップカミングなアーティストの作品に出合い、ファンとして購入。その作品がのちに人気急上昇といった、推し活的な楽しみもありそうです。

K 自分が才能を信じたアーティストの作品が評価されると、やはり嬉しいです。手に入りにくくなる寂しさはありますが。

A まさに推し活ですね!

K いいですね。アートは作法から入ると文法を学ばなければならず、むずかしく感じてしまうかも。ファッションはいろんなトレンドに挑戦して自分らしいスタイルを見つけていくと思いますが、アートもたくさん触れて、暮らしの中に取り入れることで距離感が縮まる。好きとか興味が大前提にあって、そこから魅力を掘り下げていくのがいいのかもしれませんね。

A 確かに。私はオシャレが大好きなので、マーク・ボスウィックのファッションフォトが入り口でした。

アートは作法から入るとむずかしくなるし、つまらなくなる

K 私も自分の部屋に最初に飾ったのは森山大道さんの写真です。美大時代に同級生の作品を確か56万円で購入したことも。

A 最近はアートとの距離感が縮まり、購入を後押しするようなスポットが増えています。沓名さん、次頁で一緒にナビゲートお願いします♡

Kutsuna’s Art Collection

「身体」という根源的なテーマが原点の、沓名さんも注目する若手作家の川内理香子さんの作品。

「横山奈美さんは誰かに書いてもらった文字をネオン管で再現、それをペインティングで忠実に描いています」。

日本を代表する現代美術家のひとり、宮島達男さんの作品は結婚記念に購入。

トランスリアリティ(現実の向こう側の現実)をテーマに、自撮りする女性をクールにキュートに描く、山口真人さんの作品。※すべて沓名さんのオフィスで撮影。

Profile

龍淵絵美さん-Emi Tatsubuchi-・沓名美和さん-Miwa Kutsuna-

龍淵絵美さん
ファッション ディレクター。モード誌のエディターとして出版社勤務を経てフリーランスに。現在は「エル・ジャポン」のコントリビューティング ファッション マーケティング ディレクターをはじめ、ブランド・ディレクションのコンサル業でも活躍。14歳、11歳の姉妹のママ。Instagram@amy_tatsubuchi

沓名美和さん
現代美術史家、キュレーター、ディレクター。多摩美術大学を卒業後、東アジアの美術を深く学ぶために韓国、中国に留学。中国清華大学にて博士号を取得。2021年富士吉田市「織りと気配」、2022年上海「Powerlong Museum」キュレーションなど、多彩に活躍。夫は南條史生さん。Instagram@miwakutsuna

撮影/中田陽子〈MAETTICO〉 ヘア・メーク/Hitomi〈Chrysanthemum〉 取材・文/櫻井裕美 編集/磯野文子
*VERY NAVY 10月号「50代のロールモデルがいない!?」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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