【イライラ、落ち込みetc.】パパの不調は『男性更年期』かも!診断と解決策を専門医が解説
名前を聞いたことがあっても、詳しくは分からない「男性更年期」。「まさか自分が…」と、他人事と思っているうちに不調に襲われる男性は少なくないようです。パパの体調不良は、家族みんなの一大事!まずはママが知識を持って、パパをサポートしてあげましょう。
※掲載中の情報は2023年『VERY NaVY』4月号掲載時のものです。
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青木良文さんが緊急提言!
「それ、もしかしたら男性更年期かも?」
ファッション&占いエディター
青木良文さん
ファッションと占いのコンテンツを担当するエディター。仕事のかたわら、自らも占いを実践し、そこで得た気づきと実感を『VERY』の公式サイト「あおきさん占い。」にて発信中。多くのファンを獲得している。
「最近、パパが
変わってしまった!」
悩む女性が増えています
日頃から女性のお悩みを伺う機会が多いのですが、最近、パートナーであるパパの不調を訴える方が非常に増えているように感じます。その内容も、「パパが頻繁に子どもを怒鳴るようになり、家族で一緒にいるのが苦痛になった」や「気力が低下して、会社に行けなくなってしまった」など深刻なものが少なくありません。
一方で、最近、私自身がアラフィフ世代となり、耳にするのが「男性更年期」。調べてみると、うつ病と共通する症状も多いそうで、もしかしたら、みなさんの旦那様も、自覚がないまま、男性更年期障害に苦しまれているのではないかと思ったのです。
コロナ禍がもたらした
生活の変化で
男性のストレスが増加⁉︎
占いの観点からみれば、西洋占星術では、2020年に「風の時代」が到来。約200年ぶりと言われる劇的な社会の変化が訪れたと言われていますが、それについてはみなさんも、コロナ禍を通じて、肌で感じていらっしゃるのではないかと思います。
そんななか、環境の変化に強いのは適応力に優れた「女性性」とも言われ、逆に言えば「男性性」にとっては、苦しさを抱えやすい時期なのかもしれません。個人的には、ここ数年で増えたリモートワークも、本質的に「外に出て狩りをする性」である「男性性」を抑圧したのではないかと考えています。更年期世代のストレスも、コロナ禍でより溜まりやすくなっているのではないでしょうか。
パパの不調に
向き合うことで
家族みんなが幸せに!
何より、パパの不調は一緒に暮らす家族にも大きな影響を及ぼします。さらに風水では、2023年は「縁」を見直すことが、あらゆる運気をアップするポイントになるそう。夫婦のパートナーシップは、人生最大の「縁」と言っても過言ではありません。その「縁」をアップデートしていくためにも、パパの不調に一緒に向き合ってあげられると素敵ですよね。
男性更年期について知り、パパを支えてあげる先には、家族みんなの幸せが輝いているはずです!
何がサイン? 原因は?
「男性更年期障害」
についてもっと知りたい
女性の更年期障害と違って、認知度がまだ低い男性更年期障害。約20年前から専門医として男性更年期障害を診察されてきた泌尿器科医の今井伸先生にお話を伺いました。
伺ったのは…
聖隷浜松病院リプロダクションセンター長
泌尿器科医
今井 伸先生
日本泌尿器科学会専門医、指導医。専門は男性更年期障害、性機能障害、男性不妊。 男性性との一生の向き合い方をまとめた『射精道』(光文社新書)が好評発売中。
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女性だけじゃない!
男性にも
「更年期障害」があるんです
一般に『男性更年期障害』と呼ばれる体調不良は、正式名称を『加齢性腺機能低下症(LOH症候群)』といい、日本では2000年頃から知られるようになりました。男性の更年期は泌尿器科の担当。また、原因は男性ホルモンであるテストステロンの低下で、一定の基準を下回ればLOH症候群と診断します。男性は、女性の閉経のように一気に性ホルモンが減少するタイミングはなく10代後半から緩やかに下がり続けますが、ストレス等の要因でガクンと落ちるとそれが発症の引き金に。性欲や勃起力など性機能低下のほか、身体的、精神的と、症状は多岐にわたります。年齢的な目安はつけにくいのですが、当院を受診される患者さんで多いのは40代後半〜60代。40歳を超えてイライラが続く、不安が強い、疲れが取れない、性生活を避けるようになったなど、何らかの不調が出た場合は、まず泌尿器科を受診してみることをお勧めしたいですね。
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パパのイライラや落ち込みを
うつ病と決めつけるのは危険!
LOH症候群には様々な症状があるため、ほかの病気と見分けがつきにくいのは女性の更年期障害と同じです。LOH症候群はうつ病と合併していることも多く、うつ病で治療を受けていても症状が改善しない場合や、性機能症状もある場合は、LOH症候群の可能性も。疑わしいときは、まず泌尿器科でテストステロン値を測定し、LOH症候群か否かをクリアにしましょう。また、男性の場合は更年期を認めたがらない方が比較的多いよう。特に、体育会系気質の方は何歳になっても若い頃と同じパフォーマンスを求めがち。車にたとえるなら、アメ車のように馬力のある男性は、元のテストステロン値が高い代わりに、少しのガス欠でもダウンしやすい傾向があるので、注意しましょう。
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男性更年期障害は
男性ホルモンの減少が原因!
診断は、血液検査によるテストステロン値の測定とAMSスコアによる自覚症状の申告をもとに行います。AMSスコアとは、精神や心理、身体、性機能に関する17項目を5段階評価する、国際的に使われている質問票のこと。拙著やネット上に掲載されているので、受診を迷うなら、まずは自己採点してもいいかもしれません。また、治療方法は男性ホルモン(テストステロン)補充療法。当院の場合は、2〜4週間に一度の間隔で注射による投薬を行い、状況次第で市販の軟膏剤を組み合わせながら3ヵ月〜半年間ほど継続。AMSスコアを基準に、ご本人の自覚症状の改善を目指します。
家族みんなで考えたい
パパの「男性更年期障害」に
妻としてできることとは?
ここまでの内容に「思い当たる節があるかも…」と感じたら、パパにそっと手を差し伸べてみましょう。サポート方法や予防のための心構えをご紹介します。
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クリニックに
行くことを勧めてみよう
上のチェックリストにあるような症状や、AMSスコアで当てはまることが多数ある! そう感じたら、泌尿器科の受診を勧めてみましょう。ただし、診察は男性更年期障害の専門医にお願いするのがベター。「日本メンズヘルス医学会のホームページに掲載されている病院が安心です」(今井先生)。また、なかなか病院に行く時間が取れなかったり、受診に前向きになれなかったりする場合は、薬局で売られている軟膏剤を試してみる手も。ただし前立腺疾患や癌があるなど、使用できない人もいるので扱いは慎重に。迷ったら専門医に相談しましょう。LOH症候群であれば、1週間ほど使用することで何かしらの変化を感じられるそうです。
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パパの生活習慣に
ちょっと気を遣ってみて
LOH症候群の予防は、何より生活習慣を整えることだそう。「ホルモンをうまく循環させるには、夜寝て朝起きる生活リズムが肝心。昼夜逆転など無茶をし続けていると、あるときガクンとホルモン値が落ちてしまう可能性も。夜は部屋を暗くして6〜7時間程度は眠りましょう」。また、メタボはEDなど諸症状の要因にも。「我慢しすぎてストレスを溜めるのも逆効果。牛肉やウナギなど、〝食べると元気が出るもの〟も適度にいただき、バランスのよい食事と運動を心がけて」(今井先生)
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実はランニング好きの
パパは注意!
コロナ禍を機にランニングを始めたパパは多いかもしれません。適度な運動は健康維持に不可欠ですが、実は「月間走行距離が200㎞を超えると、距離の長さに反比例してテストステロン値が下がる」という調査結果も。「40歳以上の激しい有酸素運動は、テストステロンが枯渇してしまうことも。症状がなければ気にしなくて構いませんが、疲労、イライラ、不眠など不調が出てくるようなら距離を縮めてもらいましょう。なお、筋トレについては特に制限はありません」(今井先生)
取材・文/村上治子 デザイン/On-Point Design 編集/佐々木陽子
VERY NaVY5月号『見過ごしがちなサインに気づいてあげて!パパの不調は、男性更年期かもしれません』より。詳しくは2023年4/7発売VERY NaVY5月号に掲載しています。*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。