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「もしも娘が理系に進みたいと言い出したら?」戸惑う親たちへ教育現場のリアルボイス

理系進学を推進する女子校も登場
私たちが子供の進路のためにできることって?

理系を志している娘に対する不安、まずは現状に詳しい教育現場の声を参考にしてみては。近年、理系進学者を大きく伸ばしている山脇学園中学校・高等学校の西川史子校長に、保護者が抱きやすい戸惑いや向き合い方について伺いました。

1.親が決めつけて選択肢を狭めない

「かつては『あなたは算数が苦手だから文系ね』『理系は男社会だから』といった言葉が当たり前に交わされていましたが、今はAIやデジタル化が進み、理系的素養は将来どんな分野に進む人でも欠かせないものになっています。早い段階で『あなたは文系』と決めつけた発言をする親御さんもいらっしゃいますが、子供の可能性を無意識に狭めてしまいます。まずは固定観念をリセットし、自由に進路を見つけられるように導いてあげることが大切です」

2.「理系出身は就職が難しい」はむしろ逆

理工系やデータ分野の人材はあらゆる業界で求められており、研究職に限らず幅広い選択肢があります。医療・教育・環境など、人の暮らしに直結する領域でも理系の力は生かされます。女性の理系人材は今も少なく、企業や大学でも歓迎される傾向が強まっています。『理系だから就職が心配』と思う方もいるようですが、むしろ、理系を選ぶことで将来の選択肢は広がる一方。『理系だから』『女子だから』ハンデがあると思う必要はありません」

3.ステージに上がって外の世界を親も見る

「企業や大学のプログラムやコンクールなど、最近は、中高生にも発表や挑戦の場が数多く設けられていて、積極的に参加するように勧めています。学校から外の世界に踏み出すことで、生徒は自信をつけ、先入観を超えていきます。ご両親も、ぜひその『ステージ』を一緒に見てほしいと思います。外から見ているだけではわからない理系の面白さにきっと気づくはずです。女子生徒たちが堂々と活躍する姿を見て、不安が期待に変わる親も多いです」

4.「失敗しても大丈夫」と思わせる

10代の子供たちは柔軟で、興味のあるものに出会うと自ら伸びていきます。『好き』を見つけた子は、多少の失敗でも揺るがない強さを持ち、木の幹のように太くしなやかな芯を育んでいくのです。親子ともに未知の進路に不安を覚えるかもしれませんが、『うまくいかなかったらどうしよう』ではなく『失敗しても大丈夫』と思える環境が大切です。親の役割はレールを敷くことではなく、挑戦のあとに帰ってこられる場所をつくることだと思います」

5.好きなことを見つけるために仕掛けを日常に

「子供が『理系に進みたい』と口にするとき、すでに何かしらの『好き』や興味を見つけていることが多いもの。子供は『しなさい』と言われたことはやりたがらないものなので、親ができるのは、その芽を伸ばすきっかけを日常の中にさりげなく用意すること。オープンキャンパスに同行したり、講演会を一緒に聞いたりするだけでも構いません。『理系に向いているか』はテストだけでは測れません。好きなことを深める機会をそっと支えてあげてください」

◆理系に進む生徒を増やすための山脇学園の取り組みって?

女子生徒が理系進路を自然に描けるよう、理数教育に力を入れてきた山脇学園。算数一科・理数探究入試などの入試改革も進め、理系志望の割合は年々増加。大学・企業との連携や探究活動を重ね、生徒の興味や可能性を引き出す環境整備などの取り組みが評価され、2024年にはSSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校に認定。

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