2児の母【中越典子さん】舞台復帰を視野に「子育て中心だった日々に“私”が膨らんできたような感覚」

ヘトヘトになるほど自分以外の誰かを思い、頑張る毎日から、今年は「私」が広がる一年に。キラキラと自身のこれからを語る姿が印象的だった、俳優の中越典子さん。今の家庭と自分のバランス、年子の兄妹の子育てについてインタビュー。『VERY NaVY』2025年11月号の誌面からご紹介します。
※掲載の内容は誌面掲載当時のものです。
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子どもだって選べる、決められる。
その自由を教えたい

選択肢があることは踏ん張る力につながる
8歳の息子と7歳の娘(※取材当時)、性別も性格もまったく違う年子の子育て。息子は慎重で真面目、泣きながら努力をするようなタイプ。2歳からはじめた塾の宿題も、いつも「やりたくない」と涙目で必死にやっています(笑)。「そんなにやりたくないなら、やめなさい」と言えば、「やめたくない」と答える。はじめたことに対して嫌がる自分が悔しいんだろうなって思います。娘は自己主張が激しく、私と毎日のように喧嘩(笑)。娘の強い口調にどうしたものかと悩んだりもしますが、その裏には例えばお兄ちゃんへのやきもちとか、きっと娘なりの理由があるのかなと。一方で、ラブラブでもある私と娘。ギャル好きな娘にメイクをしてもらい、白を効かせた渋谷系のギャル顔になった写真を撮ってもらいながらキャッキャするのも日常です。
子育てで大事にしているのは「自由」を教えること。私は高校生のとき、すごく不自由さを感じていました。いい家族だったし、恵まれていたとも思っていますが、何か違う、ここから出なきゃと、人生が不安になるような悶々とした日々を過ごしていたのを覚えていて。親元で暮らしていたら不自由なのは当たり前で、思春期だったのかなと思いますが、もしかしたら当時の私は「どんな自由も、自分自身の手で選ぶことができる」、その可能性に気づけていなかったからかもしれません。だから子どもたちには、いろんな場面で選択肢があることを伝えるようにしています。
学校や習い事も、本人の「行きたい、やりたい」がきっかけだったとしても、どこに通わせるかを主体となって決めるのはまだ親の役目。いざ行ってみて馴染めない、合わないとなったとき「無理してしがみつく必要はないよ」という一言があるだけで、心にちょっとだけ余裕ができたり、踏ん張る力が湧いてくるんじゃないのかなって思うんです。以前、息子が仲間はずれを経験。私が出張中に「すごく暗い顔をして帰ってきた」と夫から報告があって、その夜何気なく「何かあった?」と夫が聞くと打ち明けてくれたそうです。子ども同士のよくあることとは理解しつつも、やっぱり親としては心配。その現場を目撃したときは、胸が締め付けられる思いでした。でも、相手の子どもたちを悪く言わないのが私のルール。見守る形で様子を見ていましたが、息子は文句を言わず、その友だちに自分から話しかけたりして、自身の力で乗り越えることに成功。また仲良くしている姿を見たときは「そういう解決の仕方もある!」と感動しちゃいました。
10年後に舞台復帰が目標。「私」が膨らんでいます
夫は家庭のことに積極的なタイプ。なので、子育てにおいても役割分担などは特に決めずに、そのときにできるほうがやるというスタイルです。幼い頃から空手道場で自分より幼い子の面倒を見てきた彼は子どものお世話が得意。忙しく仕事をしながらも赤ちゃんのときからおむつ替え、お風呂、寝かしつけ、キッチンの片付けまでやってくれる気が利く器用な人です。実は、それがイヤだなと思ってしまう時期がありました。キッチンであれこれ作業する夫に、できていない自分が責められているような気分になってしまったんですよね。「どうせ私は不器用ですから」と心の中でグチグチと拗ねてしまったりして(笑)。ちゃんと「助かった」とか「ありがとう」と思えるようになったのは、最近になってからかもです。今年に入り、ずっとやりたかった時代劇のオファーをいただき、夫に「どうしてもやりたい」と、1週間ほど家を空けることになるのを前提に相談。
私を応援したい気持ちがありながら、子煩悩な夫は子どもが寂しがるのではと不安もあったはず。それでも私の「やりたい」を尊重してくれました。留守中は子どもたちとプチ温泉旅行に行ったり、かわいいお弁当を作ったり、いつにもまして活躍してくれた様子。安心して任せることができたのは、器用でマメな夫だからこそ。娘には「ママ、お仕事やらないで」とお願いされるときもあります。その度に「ママは家族と一緒にいて遊ぶのも大好きだけど、自分自身にとって好きなこと、楽しいこともやっておきたいの」と説得。仕事を終えて家に帰ったときの「あー、楽しかった!」という私の言葉と合わせて、子どもたちが何かを受け取り、いつか気づくものがあったらいいなと思います。今年は時代劇に加え、学生時代の友人と企画を立ち上げ、10年後に舞台復帰するという目標も掲げました。子育て中心だった日々に“私”が膨らんできたような感覚。これからの自分に、今とってもワクワクしています。
毎年恒例の里帰りで、少し遠出をして長崎の渓谷に行きました。沢蟹がちょうど出産の時期で、蟹の可愛い赤ちゃんがたくさん。蟬や、ヤモリ、トンボにカエル、生き物や自然との触れあいにはいつも心を満たされています。
今で判断しない。親も子も。
経験で変わっていく

自分自身を振り返り、今に焦らず、長い目で見守りたい
母親になる以前の私は、どこかビクビクしながら仕事をしていました。周囲の目や評価ばかりを気にして、そのせいで現場でも上手く馴染めず。でも、子どもが生まれ、毎日この尊い命を守ろうと必死になり、少しでも良くあって欲しいとクタクタになるまで一緒に遊んで、喧嘩して……。自分以外のことで悩み、不安になり、頑張りすぎた経験から得たものは「私は、私だから」という開き直り。いい意味でテキトーになって、自分自身をマイナスに捉えず許せるようになりました。私の中では、今まで眠っていた細胞が目覚めて生まれ変わったような、それぐらい大きな変化。幼少期は人見知り、中高時代は応援団の副団長、高校卒業前に不自由さに悩み、仕事をはじめて臆病になって、今また変わろうとしている私を思うと、人の成長は長い目で見るものだなとあらためて感じます。息子の慎重で真面目なところも、娘の直球勝負な性格も。いろんな経験を糧にしながら変化していくんだろうなと思います。今だけで判断しない、焦らずに先を見据える視点も大事にしなきゃですね。
オールインワン¥70,400〈コラム〉シューズ¥74,800〈エストネーション〉(ともにエストネーション)ネックレスチェーン¥1,051,600ピアス¥1,107,700リング〈中指〉¥200,200〈薬指〉¥176,000(すべてヒロタカ/メゾンヒロタカ 麻布台ヒルズ)ブレスレット¥83,600(ブランイリス/ブランイリス トーキョー)
Profile
中越典子(なかごしのりこ)さん
1979年生まれ。佐賀県出身。1999年、俳優デビュー。2003年NHK連続テレビ小説『こころ』で、ヒロインの末永こころ役を務め脚光を浴びる。2014年に俳優の永井大さんと結婚。2児の母。Instagram@nakagoshi_noriko.official
撮影/土山大輔〈TRON〉 スタイリング/安西こずえ ヘア・メイク/福川雅顕 取材・文/櫻井裕美 編集/水澤 薫
*VERY NaVY11月号『子育て第2シーズンどうですか?』より。詳しくは2025年10/7(火)発売VERY NaVY 11月号に掲載しています。