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【留学体験】インター在学中の単身留学、11歳長男も親も大きな経験に

コロナ禍に思い立って参加した海外キャンプの説明会が転機に。初めて両親と離れた環境で過ごすなか、新たな可能性を広げ、逞しく成長している11歳の男の子とママの奮闘記です。

Vol.30 小学校3年生の9月から現在も留学中【Mさんの場合】

Vol.30 小学校3年生の9月から現在も留学中【Mさんの場合】

【留学した国】
イギリス
【留学した学校】
オックスフォードの私立校
【方法】
日本のエージェントを通じて(イギリスと両方の会社で運営されている会社)
【ステイ先】

【費用】
年間約830 万円(学費、メンター代、電話代、寮費込み)

「ダメだと思ったら帰ってきたらいい」をお守りに、
小学生の息子をイギリスに送り出しました

行くまで

幼稚園は関西にあるインターナショナルスクールに通っていたのですが、「小学校から私学に行かせたい」という夫の意向もあり、小学校受験を経験。とある私立校にご縁があって制服の採寸まで済ませていましたが、私自身迷いがあって…最後の最後で出した結論はインターへの進学でした。インター進学を選んだ理由は、息子の性格が〝お利口〞だったから。〝お利口〞と言葉にすると誤解を招くかもしれませんが、冒険するよりも、とにかく言われたことはきちんとする性格で。そんな性格だからこそ「もっといろんなタイプの人たちと触れ合って、自主性や自分の可能性や世界を広げてほしい」と思ったのが一番の理由です。

息子が2年生になったタイミングで、コロナ禍に突入。3年生になってもZoom授業が続きオフラインでのコミュニケーションがとれない状況を打破しようと、夏休みに東京で開催されたスイスのサマーキャンプ説明会に参加。そのタイミングで信頼できるエージェントに出会ったことで、「オフラインでお友達と過ごせる学校に行ってみたい」と、とんとん拍子でイギリス留学を決めました。コロナ禍だったこともあり、入試は基本オンラインで、学校によりボリューム感はまちまち。並行して行われた校長先生とのオンライン面接に関しては、どの学校もとてもフレンドリーで、ボーディングスクールに関して心配がないかどうか、入学したら何がしたいかなど、人柄を見ていただく機会のような感じでした。そのなかでご縁があったボーディングスクールに入学を決定。イギリスでは新学期が9月だったこともあり、決めてから出発まで1カ月ほど。そのタイトさのおかげで寂しさに浸らずに済んだのかもしれません。と言っても、まだ8歳の息子と離れることは私以上に夫にとっても辛いものに…。今でも、一時帰国してイギリスに戻っていく息子のお見送りの度に涙しています。

ワクワクで決めた留学ですが、出発が近づくにつれ、息子の心にも不安が生まれ始めたのを感じ、夫と息子と3人で決めたことは「本当にダメだと思ったらすぐに帰ってきたらいい」ということ。その言葉をしっかりと息子に伝えたことで、息子はもちろん、親の私たちの心のお守りとなり、笑顔で送り出しました。

行ってから

渡英して1週間経っても、息子から連絡がなく焦る毎日。小学生なのでもちろん携帯電話は禁止。息子自ら公衆電話から連絡するしか声を聞く術がなかったんです。新しい環境に飛び込み、電話することだけでも8歳の子にとっては大きなチャレンジ。10日目にして初めて電話がかかってきて息子の声を聞いた時はとても嬉しかったことを今でも覚えています。しかし、安堵したのも束の間。息子の口から出た言葉は、涙ながらの「僕、できると思ったけどやっぱり無理かもしれない…」。10日間、どんな気持ちで踏ん張っていたんだろうと思うと涙が止まりませんでした。息子の頑張りは痛いほど分かっているので、親としては息子を常に肯定し、結論は彼に委ねるようにしてきました。出発前の「本当にダメだったら帰ってきたらいい」という言葉が、辛いとき「もうちょっとできるかも」というポジティブな踏ん張りになったようです。

言葉の壁や寮生活を乗り越え今は11歳になり、いわゆる思春期に突入。一人の人として接するように気をつけています。相談には乗るけれど、判断は自分。それに伴う責任も理解したうえで考えられるようになったことは、離れてみて一番の変化です。留学前は〝やらなきゃいけないから〞やっていたバイオリンも、今では朝時間を使って自主練している様子。オーケストラやバンドにも入り、楽しんでいるようです。

傍にいるとどうしても転ばぬ先の杖を4本も5本も持たせてしまうような親だったからこそ、子どもの留学は私にとっても大きな経験になりました。帰国の際にはまず身長の変化に驚きつつ、客観的に物事を考え話す姿に成長を感じます。今の私の小さな楽しみは、学校のHPにチラリと写る息子の姿を見つけること(笑)。スマホ画面を拡大して、その表情が笑顔いっぱいであることに、充実感と成長を実感。心からエールを送っています。

撮影/根本真𥙿美 取材・文/田中幸恵 編集/羽城麻子

*取材内容は、留学当時の情報になります。

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