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【中学受験】乗り越える鍵は『親のメンタル』にあり!先輩ママの体験談

期待や不安、反省に後悔、希望と絶望の間で常に揺れ動く中学受験親のメンタル。どんな時も子どもの前では「親は俳優になって」と言われても、そううまくはいかないもの。おおたさんの新刊『中学受験生を見守る最強メンタル!』は親のメンタルにフォーカス。上手な整え方のポイントはどこにあるのでしょうか。

 

中学受験を終えたから語れる
「受験中のメンタルの保ち方」
座談会

過去の連載に登場し、今年受験を終えた二人のママが再集合。受験中のメンタルのアップダウンを中心に語ってもらいました。最後に笑うための秘訣は……早めに爆発しておくこと⁉︎

Hさん

中1と小5の男子ママ。勉強よりもスポーツや恋愛が得意なリア充全開の長男を頼もしく思いながらも、周りの中受熱もスルーできずサポート加減に悩む。おおたさんとの対談で方針が固まり最後までマイペースを貫き、第三志望の付属校に進学。

Kさん

中3男子と中1女子のママ。兄の受験を経て穏やかに挑むつもりだった妹の受験、最大の敵は夫だった。野球に打ち込む娘と学歴至上主義の夫の間に挟まれ、「無理させたくない」気持ちが揺らぐが、最終的には娘が志望した女子校に進学。

パニックになって塾に電話
校舎長のアドバイスは

「お母さん、早すぎます」
   Kさん

小6夏にやってきた
早すぎる母のメンタル崩壊

おおた まずお二人の相談時の状況を整理すると、Hさんの場合は勉強の他に得意なことがたくさんある息子さんで、課金すれば成績は伸びるしやめたら下がるという状況で、どこまで親がサポートすべきか悩んでいて。Kさんの娘さんは男子と一緒に野球に熱中する負けん気の強い子だけど、旦那さんからのプレッシャーもあってもっと勉強させた方がいいのかと揺れ動いてましたよね。

H おおたさんとお話しした後にやっぱり自分は間違ってなかったと思って、それなりに課金もしつつ6年の夏まで野球もサッカーも続けて、志望校も広げませんでした。最終的に5校受けて2校合格して今は第三志望に通っていますが、すごく学校生活を楽しんでるので何よりだなって。

K 娘もずっと野球と両立して11月から受験に集中しましたが、全然できないなりにやる気に満ちていました。長男の時は小6の8月に一度メンタルが崩壊したんです、私。校舎長に「お母さん、早すぎます」と言われた経験があって。でも、一回爆発したら落ち着きました。

おおた ちょっと待ってください。ご長男の時爆発した話は後で聞くので、とりあえず娘さんのお話を(笑)。

K はい。だから、娘の時は特にメンタルの波はなく、むしろ夫に腹が立っていて。娘には息子の学校が合うと思っていたけど、夫が今も息子の進学先に納得してないと。息子の第一志望なのに。娘もお兄ちゃんの学校は受けられないと察していて、自分で志望校を見つけました。2月1日に合格したので2日以降はチャレンジして、全部玉砕(笑)。長男の時に、どれだけ説明会に行こうと勝手にご縁を感じていようと落ちるとわかったので、二人目はあっさり「終わったね」って。

おおた ご相談では夫との関係に苦しんでいて、息子さんの学校を「あんな学校」と言われたことにKさんは傷ついてましたよね。娘さんの進学先にお父さまは?

K もう大満足。娘の受験は夫に任せたんです。説明会も夫が行って色々納得したというか、子どもも頑張ったってわかったんじゃないかな。長男の時は夫と息子がバチバチだったので私がワンオペせねばならず、周りも見えなくなってすごく辛くて。反抗期もあって息子ともなかなか話ができなかったんですけど、最近やっと落ち着いて成績も急に上がったんです。「こんなに成績が良くなるなら、高校受験でもよかったね」と言ったら、「いや、この学校だから頑張れたんだ」って。本当に学校が好きなんだって。すごく救われました。夫はまだ私を恨んでるみたいですけどね。

メンタルの保ち方は
占いと神頼み⁉︎

おおた 本人の第一志望に合格して、自分で納得した時に火がついて勉強するなんて何よりですよね。で、息子さんの時に壊れたというのは?

K 「もうこんな成績じゃあどこも受からない!」ってパニックになって、校舎長に電話して「どうしたらいいんですか⁉︎」って詰め寄ったり……。

おおた その爆発したエネルギーが子どもに向くことは?

K めちゃくちゃありました。成績が下がれば「こんなんでどうするの‼︎」って。小学校の中受率が高くてみんな優秀で、上手にサポートしてる親も多くて。私も頑張らせなきゃと思いつつ、息子がそこまで耐えられない葛藤もあって。一人目だから夢も見るし、どこか受かるだろうと思ったり、どこも受からないかもと不安になったり。模試も受けまくって「こんなに受けてる人いませんよ」と塾に言われてました。

——そういう時の心の支えは?

K 占いと神頼みでした。一人であちこちお参りも行ったし、長男を軽井沢まで連れて行って、矢を投げさせてましたね(笑)。でも、前回の取材での、おおたさんの「それでいいんじゃない」という言葉で一番心が晴れました。周りは誰も「いいんじゃない」なんて言ってくれないから。

おおた みんな良かれと思って、「こうした方がいいよ」とアドバイスしますからね。

K 先輩の体験談を聞いても、我が子には当てはまらないし。おおたさんの言葉ってとにかく受け止めてくれるというか、自分たちの受験はこれでいいんだと思える。受験生の親には、アドバイスよりもただ話を聞いてくれる存在が必要なんじゃないかなと思います。

不安やイライラは
吐いても飲み込んでも辛い
それなら飲み込んで

親だけ辛い方がいい
   Kさん

適度な距離で俯瞰する
くらいがちょうどいい

H 私が気をつけていたのは、子どもと適度な距離を保つこと。気になったらギャーギャー言って止まらなくなるから。気づかなければ怒りようもないから、極力見ない。

—— 模試はさすがに見ますよね?

H 見ますねぇ。偏差値はここ、合格の可能性は低い、受験まであと何日、どうする? 出願校増やす? って。君が決めたことをママもパパも応援するよと。息子の決めたことに文句は言わず、自分のご機嫌とりは買物やマッサージ。仕事も溜めないように終わらせて、家も綺麗に保って環境を整える。塾の間にママ友と飲み会をしたり、次男と過ごすのも癒しになりました。

K ギャーギャー言わずに飲み込むと自分に返ってくるんですよね。吐いても飲み込んでも辛い。でも、吐いたら子どもも辛くなるから、飲み込んで自分だけが辛い方がマシかも。

H メンタルを保つという意味では、情報に振り回されすぎないのも大事だと思います。正しく取捨選択する。巷には怖い体験談もたくさんあって、第一志望に滑り込んでも不登校になったり、受験中に崩壊してしまう家庭もあったり。入学して終わりじゃないから。一歩引いて俯瞰するのがちょうどいいのかな。

おおた 一人目でそれができるのはすごい。ほとんどの人はギリギリまで諦められなくて、親が頑張ればどうにかなると思っちゃうから。

K 自分の子のポテンシャルって、認めたくなくてもそのうちわかるじゃないですか。それでも期待しちゃう。だけど、期待の上限を止めるというか現実を見る、その繰り返しですよね。

我が子の手をいつまで
引くつもりですか?

——この記事が出るのは11月初旬で、中学受験では“魔の時期”とも言われますが、どう過ごしていましたか?

K 娘は野球を引退して受験モードで、できないなりにやる気はあったので、そういう意味では娘に助けられました。12月に娘が「これじゃあ、どこにも受からない」ってメソメソしてたら、失敗した!と思ったかも。

おおた 野球に納得したら勉強にスイッチが入るかもと話してましたけど、その通りでしたね。Kさんがちゃんと子どもの目の輝きを見極めた。

H 息子は淡々として成績も特に変わらず。なんとか堪え忍んだ感じだけど、自分なりにやりきった感はあるので、今はテストや宿題も自分で頑張ってますね。中学受験を通して自立してほしいと思っていたのが叶いました。

K 本人がやる気にならないと駄目だとよく聞くけど、自分でスイッチ入るのなんて何年後かわからないんだからって親の欲が出ますよね。でも、やっぱり自分でやらないと駄目なんだと実感しますよね。

H 結局、小学生のうちはサポートしたとして、それをいつまで続けますかっていうことなのかな。私は就活支援の仕事をしていて、本人じゃなく親が電話かけてきたりするんですよ。大学生になってもやるの?って。あと、子どもの勉強を見てたら面白くなってきたっていう親もいるけど、自分のことをしてる方がメンタルにはいい気がします。仕事なり趣味なり。

おおた その境地に辿り着くにはそれなりの心の振れ幅を経験する必要があって、最初からそう振る舞おうと頭で思ってもついていかない。お二人は小手先じゃない苦い経験をしたからこそ、最後に腹を括れたんだと思います。

K じゃあ、爆発するなら早めがいいかもしれないですね(笑)。

Profile

おおたとしまささん

教育ジャーナリスト。1973年東京都生まれ。いい学校とは何か、いい教育とは何かをテーマに教育現場のリアルを描き続ける。著書は『中学受験「必笑法」』『勇者たちの中学受験』など80冊以上。
http://toshimasaota.jp/


おおたとしまささん著
『中学受験生を見守る最強メンタル!』好評発売中!

NaVY連載「悩めるママのための、受験進路相談室」から中受親の悩みの定番12本をピックアップし、悩みと上手く向き合うためのメンタルエクササイズを解説。読後は揺るがない心が手に入るはず。『中学受験生を見守る最強メンタル!』¥1,760(おおたとしまさ著/光文社)

撮影/草間智博〈TENT〉 イラスト/Jody Asano 取材・文/宇野安紀子 編集/羽城麻子

VERY NaVY12月号『「受験中のメンタルの保ち方」座談会 おおたさんと考える中学受験〝親のメンタル〟が難しい!』より。詳しくは2023年11/7発売VERY NaVY12月号に掲載しています。*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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