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【中学受験相談】
中学校受験をするメリット、デメリットとは?

VERY NAVYの人気連載・おおたとしまささんの『悩めるママのための、受験進路相談室』が『中学受験生を見守る最強メンタル!』というタイトルで書籍化! 過熱する中学受験や受験をとりまく現状に悩むママたちに向けて、「どんなにしんどいときでも子どもを動揺させない心の柔軟性を見つける」36の心のエクササイズを提唱しています。今回は、そんな書籍に掲載されたお悩みの一部を公開します。

<Tさんの場合>

【家族構成】
夫、長男(小3)、次男(9歳)

【今回相談する子どもの状況】
小3男子 小1のころから続けている公文は、算数と国語ともに現段階でG教材。中学受験をするならば、3年生の2月からという情報を得て、焦っているところです。

【相談内容】
将来は生物関係の研究者になりたいと話している息子。目標があるので、研究者を目指せるような大学に進学するための学習環境が整っている中学がいいのではないかと感じています。一方で、今の中学受験や子どもたちの現状を知り、中学受験をする方向でよいのか尻込みしています。子どもの心身が受験に耐えられるのか、正直、心配です。今、不安のほうが大きい状況ですが、中学受験をすることのメリット、デメリットなど、率直なご意見を聞きたいです。

この問いに向き合うこと自体が、自分の教育観を相対化していくプロセスなんですよね。

T(相談者):息子は3年生で、1年から国語と算数だけ公文に通ってG教材(中1相当)まで進んでいます。子どもの頃から生き物がすごく好きで、将来は研究みたいな仕事をしたいなと言っています。そういう目標があるのならば、中学受験して学習の環境が整っているところに行かせてあげたほうがいいんじゃないかなと。ただ、私には中学受験の経験がないので『二月の勝者』という漫画を読んだりもして、ちょっと腰が引けています。2月から塾に通うことは決めていますが、学年が上がるとどんどん回数も増えて、時間も遅くなるはずです。そういう生活に息子を突入させて、精神的に大丈夫だろうかという心配があります。

オ(おおたさん):知的好奇心も強いっていうことだから、中学受験でも高校受験でもいい結果を出すと思う。だから、中学受験をしないと不利になるみたいに考えなくていい。強迫観念になっちゃうから。そのうえでメリット・デメリットの話になるんですが、そういう質問ってすごく多いんですよ。そして実は聞かれて一番困る質問で……。だって何をメリット・デメリットととらえるかってその人の価値観じゃないですか。この問いに向き合うこと自体が、自分の教育観を相対化していくプロセスなんですよね。塾に入ることはすでに決めていらっしゃるけど、そこに不安があるのは当然のことです。こういう選択をしたけど、これって子どもに合ってるのかしらって不安になりながら、子どもの様子をよく観察して、少しずつ調整をしていくことの連続が子育てだから。中学受験に限らず、自分は正しい選択をしたって思っちゃうと、その正しさに子どもをあてはめちゃうので。逆に聞きますけど、お母さんが感じる、中学受験のメリットはどういうことだと感じますか?

T:受験を経てきた子たちは学力が一定なので、そういうスタートラインっていうか、ちょっと上の勉強を、大学に向けての勉強をしていってくれるのかなって。あとは息子はこだわりも強いタイプなので、偏食がすごくて、給食よりお弁当のほうがいいなとも感じています。さらに身体的に少しハンデがあったりするので、いじめのことも不安で、私立のほうがいいのかなと。

オ:なるほど。逆にデメリットはどのあたりに感じますか?

T:たとえば、小学校まではクラスでも上位にいたのがそうではなくなることによって気持ちが落ちてしまうとか。あとは通学ですね。いいところを目指せば目指すほど遠いんですね。電車使って1時間とかかかるので、体に負担じゃないかなとか思ったり。

第一志望に受かる子もいますけど、多くは第二志望以下になる。そこで第一志望じゃなければ負けなのか、失敗なのかって言ったら、そうじゃないと思うんですよね。

オ:私立だからって全部が楽園というわけじゃないし、経済的なこととか学力的なことで言えば均一性は高いんだけど、いろんな地域からいろんな文化のなかで育った子どもたちがお互いに「お前も受験勉強、頑張ったんだよな」っていうリスペクトを持って集まってくるから、個性が認められやすいっていうのは、私立のほうが総じてあるでしょうね。でも、今聞いていてちょっとひっかかったのは、大学受験に有利なんじゃないかっていうところです。大学受験のために選択したとなると、合格していい中学に入って、今度は6年後にいわゆるいい大学に入らなかったら、中学受験した意味がなくなっちゃうじゃないですか。すごく中学受験の意味を矮小化しちゃってると思います。ちょっと余計なお世話になると思うけど、僕の中学受験観をお話ししていいですか?

T:はい、お願いします。

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Profile

おおたとしまさ

教育ジャーナリスト。1973年東京都生まれ。東京外国語大学中退、上智大学英語学科卒。リクルートから独立後、育児・教育分野で活躍。執筆・講演活動を行う。
著書は『中学受験生に伝えたい 勉強よりも大切な100の言葉』(小学館)など60冊以上。
http://toshimasaota.jp/

イラスト/Jody Asano コーディネート/宇野安紀子 編集/羽城麻子

 

VERY NAVY 4月号『おおたとしまささんの悩めるママのための、受験進路相談』から
詳しくは2021年3/5発売VERY NAVY 4月号に掲載しています。

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