【留学体験】高校から留学、現地で“理想と現実のギャップ”から学んだ『感謝』とは?
高校への内部進学ではなく本人の意志で留学を決断。食生活の違いやステイ先の環境など沢山のことを乗り越え、現地でのボランティア活動等を通して、逞しく成長している女の子のお話です。
Vol.28 高1から現在も留学中
【Hさんの場合】

Vol.28 高1から現在も留学中
【Hさんの場合】
【留学したときの学年】
高校1年生
【留学した国】
カナダ
【留学した学校】
バンクーバー郊外の私立共学高校
【方法】
現地エージェントを通じて
【ステイ先】
ホームステイ
【費用】
初年度約600万円、
以降年間約500万円
(学費・ホームステイ代・エージェント費など含む)
カナダで理想と現実のギャップを
経験したからこその
「留学の機会を与えてくれてありがとう」
行くまで
通っていた小学校が語学に力を入れていたこともあり、本人も英語が好きになり小1から地元の英会話スクールに。夏休みには国内外のサマースクールに通うなど、英語に触れる機会を多く作ってきました。留学のきっかけになったのは中3の夏休み。日本で新規開校するボーディングスクールのプレオープンキャンプに1カ月参加したことで、「今の学校を辞めて、留学したい」と感じたようでした。親としては、大学生になったら留学するかもしれないという心づもりではいたものの、小さいころから学校大好きな娘は内部進学するものと思っていたので、「交換留学などで1年試してからにしてみては?」などと提案しましたが、娘の意志は思った以上に強く、「普段から深く考えて行動できる彼女なら…」と気持ちを汲んで留学させることに。具体的に準備をスタートしたものの、当時はコロナ禍真っ最中で留学できる国の選択肢が少なく、治安や生活のしやすさ、第2外国語で学んでいたフランス語も学べる国をと考えてカナダに焦点を絞り、ひたすらネットでエージェント探し。国内のエージェントにも何社か足を運びましたが、最終的に日本人が運営している現地エージェントを選択。対応が速く、留学初心者の我が家に留学のいい点悪い点を丁寧に説明していただいたことや現地にいる安心感などからお世話になることを決めました。学校選びでは公立高校も考えましたが、付属校育ちの娘のことも考えて、ホームステイ先が学校関係者である私立校を選択。今までの学校と方針が似ている点も決め手でした。アプライの際には中学の成績、個人調書を提出し、ZOOMで1時間ほどの面接。食べ物の話や好きな科目など娘の英会話力で何とか乗り越えられ、晴れて入学の許可をいただけたことで、中学卒業後6月から娘のカナダへの大冒険が始まりました。
行ってから
中学卒業後、高校へは進学せず新生活の準備として6月に出発して最初の3カ月は語学学校へ。まずは高校のステイ先とは違うホストにお世話になりましたが、そこで娘は新型コロナウイルスに感染。日本なら病院に行き、処方された薬を飲み、親に看病されるのが当たり前だった娘にとって、病院に連れていってもらえず(医療費が高いカナダでは病院に行かないケースも多いそう)、食事も日本のようにおかゆが出ることもなく、加えて感染を防ぐため部屋から出ないで欲しいと言われ、日本から持参した解熱剤で泣きながらしのいでいると聞き…親として不安で仕方なかった日々もありました。9月からは晴れて新しいホストのもとで高校に進学したのですが、新しい環境でのストレスからか5キロ以上痩せてしまったという連絡を受け、いてもたってもいられず…ただ、娘の「今帰国してしまったら、もうカナダには戻れないかもしれない」という思いをうけ、私が現地でキッチン付きホテルに滞在し食事を作ったこともありました。娘が思い描いていたであろうキラキラした留学生活の理想と現実のギャップを実感しながら、どうしても参加したいと言っていた学校主催のメキシコでのボランティア旅行に参加したことで、世界の貧困という問題を肌で感じて、今まで当たり前だった日本での生活と今回の留学の機会に〝感謝〟できるようになったようで、帰国した際には感謝の言葉を素直に伝えてくれたり、家事を率先してやってくれたりなど以前とは別人のように。ステイ先ではキッチンが使えるようで、料理の腕も上達。ホストのお子さんにも時々料理を作っているようです。今年の夏、初めて帰国した時には、仕事終わりの私のために夕飯を用意して待っていてくれるまでに。慣れない環境のなか、自分で選んだ道を信じて頑張る娘を、心から応援するばかりです。
撮影/前 千菜美 取材・文/鍋嶋まどか 編集/羽城麻子
*VERY NaVY11月号『実例・我が家の留学体験記』より。詳しくは2023年10/6発売VERY NaVY11月号に掲載しています。*取材内容は、留学当時の情報になります。