【留学体験】スイスからイギリスへ。幼少期のサマーキャンプが良い体験に
友達にも会えない、部活もない…… 窮屈なコロナ禍から脱出するように飛び出したスイスでのサマーキャンプをきっかけに、幼い頃から興味を持たなかった留学を、驚くほどの速さで決意した男の子のお話です。
Vol.27 中3から現在も留学中
【Mさんの場合】

Vol.27 中3から現在も留学中
【Mさんの場合】
【留学したときの学年】
スイス・中学3年生9月〜、
イギリス・高校1年生9月〜
【留学した国】
スイス、イギリス
【留学した学校】
Leysin American School(スイス)、
Tasis The American School(イギリス)
【方法】
個人で
【ステイ先】
寮
【費用】
スイス約1,400万円/年、
イギリス約1,000万円/年
(学費、寮費、渡航費など含む)
「嫌々だった幼少期のサマーキャンプが、
今のベースになっていて感謝してる」
という息子の言葉を嬉しく思いました。
行くまで
小さい頃から毎年サマーキャンプに行かせていた我が家。小学校になってからの行き先はアメリカやアジアなど様々。そんな経験をしていたにもかかわらず、息子は一向に留学に興味を示すことはありませんでした。息子が中3の春、コロナ禍で緊急事態宣言が発令されたことで我が家の状況は急展開。外出もままならずオンライン授業の日々を送っていた頃、スイスなら対面のサマーキャンプを受け入れているという情報を知り、6月から夏休みまでの期間を休学してスイスのサマーキャンプへ。そこでの経験が息子の留学スイッチを押したようで、8月に帰国した際には「9月以降もスイスの学校に通える試験にパスできたから、このままスイスにいたい」とのこと。彼の意思は強く、当時籍を置いていた日本の中高一貫校を1年休学することになりました。翌年6月に帰国した際も留学を続けたい気持ちは変わっていませんでしたが、「(今いるスイスの学校は、世界の富裕層が集まる学校なので)違う環境で勉強したいから、イギリスに行きたい」と、留学先の変更を希望。急なリクエストだったので、ひとまず在籍していた学校に内部進学し、留学準備のために英語学校に通い始めていた矢先、試しに受けたイギリスの学校に合格。試験はスイスでの成績表のほかオンライン面接とエッセイでした。資格を1年保留し翌年から編入する選択肢もありましたが、日本の学校の恩師からの「一日でも早く行ったほうがいい」という勧めもあり、スイスから帰国して3カ月後の9月にはイギリスへ旅立つことになりました。
行ってから
イギリスでは学年を落とさず高校1年にあたるyear11へ編入、6割が寮・4割が自宅通学のインターナショナルスクールへ。将来は留学してほしいと思っていた私も、いざとなると子離れする心の準備ができず「寂しいから行かないで」とお願いしてしまったほどですが、世界の英語教育の低年齢化は思った以上に進んでいると感じることもあり、うちの場合はこのタイミングで正解だったかなと思っています。現地の学校は多様性に富み、例えばロシア人とウクライナ人の生徒が友人だったり、出身国の通貨やニュースについて会話することで、リアルに実感できる環境。クラブ活動もさかんで、レベルの高さを感じています。先日、息子から「小さい頃のサマーキャンプは嫌だったんだけど、その経験が今のベースになっていて、今は良かったと思っている」と初めて感謝の言葉を聞きました。実は、私自身も息子と同様、小さい頃のサマーキャンプが嫌だったんです(笑)。でも、そこでの経験が大人になり大きく影響したので、息子も同じように思ってくれたことを嬉しく感じました。学校では楽しく過ごしているようですが、長期休暇に帰国するたび息子は「あー、戻りたくない」と言い出すので、私は「じゃあ日本に帰ってくれば? ママは大歓迎だよ!」と答えるようにしています。「頑張れ」と言うより、いつでも帰れる場所があるんだよと伝えるほうが、息子の力になると思うんです。
撮影/前 千菜美 取材・文/鍋嶋まどか 編集/羽城麻子
VERY NaVY10月号『実例・我が家の留学体験記』より。詳しくは2023年9/7発売VERY NaVY10月号に掲載しています。*取材内容は、留学当時の情報になります。