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【留学体験】日本でのいじめ・不登校を経て「留学して本当によかった」大きな学びとは?

7歳でオーストラリアから帰国後、理不尽ないじめに遭ったことがきっかけで不登校となってしまったSさんのお子さん。南半球に留学し、自分らしさを取り戻すまでの道のりをお話しいただきました。

Vol.19 高校1年から現在も留学【Sさんの場合】

Vol.19 高校1年から現在も留学【Sさんの場合】

【留学したときの学年】
高校1年生4月〜
【留学した国】
オーストラリア→ニュージーランド
【留学した学校】
Avalon College(1年)→Howick College
【方法】
海外教育研究所を通して
【ステイ先】
寮生活→ホームステイ
【費用】
年間約400〜500万円
(学費、手数料、エア代込み)

日本でのいじめ・不登校を経ての
留学。認めることの大切さを学び
「留学して本当によかった」と
語ってくれました

行くまで

 我が家の長男は、当時夫が一念発起で自費留学したオーストラリアのメルボルンで生まれ育ち、7歳で帰国。その後、都内の公立小学校に通い始めたのですが、日本語が上手く話せなかったからでしょうか、ぶたれたり蹴られたりのいじめに遭いました。どうにか息子に笑顔で小学校に通ってもらいたい一心で、のびのびできる地方へ移住を決意し、全校で100名以下の小さな小学校へ転校。やっと平穏に暮らすことができていたのですが、中学になると他人と違うといじめられるような雰囲気に息苦しさを感じ、息子は不登校に。その後は、キャッチアップはしていたものの、学力を伸ばすのが難しい状況に。この先の進路を考えなければならない中3にさしかかった時、おおらかに暮らしていたオーストラリアにいた頃の息子の姿を思い出し、生まれ育った地への留学を思い切って提案したことが高校留学のきっかけでした。息子も留学に前向きな気持ちを持ち始めたことで、夫が探し出してきた海外教育研究所に留学を相談。色々な学校を見るのも良いのではないかと考え、選択肢をオーストラリアからオセアニア圏に広げ、最終的にはニュージーランド・オークランドの公立高校へホームステイで滞在する形で留学を決定。親としては、単身留学させることに迷いはなかったものの、最後にもう一度本人の気持ちを確認したところ「僕は大丈夫」と強い決意の言葉を聞くことができました。小学校からの9年間、息子にとっては自信を喪失せざるを得ない出来事がありましたが、「あなたはオーストラリアで現地の幼稚園まで出ているんだから、できないなんてことはない。自分を信じて、自信を持って行ってきなさい!」と送り出しました。

行ってから

 南半球の新学期は翌年の2月から。まずは中学卒業後の4月から英語力をつけるために、メルボルンの語学学校に通う寮生活から息子の留学が始まりました。トラブルやホームシックの連絡は特にありませんでしたが、心配だったので夫の夏休みを使って様子を見に現地を訪れた際、寮のビリヤード台の周りを仲間とグルグル走り回る息子の姿を見て涙がこぼれるほど安堵しました。9月ニュージーランドへ移り高校生活がスタート。長期休暇で帰国するたび、逞しく成長しているのを実感。直接の感謝の言葉はありませんが、私の手料理に「ありがたいな」と呟いたのが印象的でした。コロナ禍で長期帰国できなかったり私が不安になったりした際には、あえてメールではなく手紙で、「二度と帰ってこない若い時間を精一杯生きてほしい」とメッセージを送ったこともありました。大きなトラブルが起こることなく高校課程を無事修了し、現地で第一志望のカンタベリー大学に入れたことは、息子なりに頑張っていたんだなと思いました。南半球に息子が旅立ってから今年で5年目。「これまでの4年間で何を学べた?」と聞いてみたら「他者を認め自分を認める。認め合うことを学ぶことができた」とのこと。いじめや不登校を経験した我が家の息子の場合は、異文化が当たり前の国へ留学する選択を通して再起できました。言葉は少ないものの「留学してよかった!」のひと言だけで親としては充分。不安はやはりありましたが、「自分で決めて全力を尽くせば必ず道は拓ける」という気持ちで見守り続けることができ、今は息子にも感謝しています。

撮影/相澤琢磨 取材・文/鍋島まどか 編集/羽城麻子

VERY NaVY5月号『実例・我が家の留学体験記』より。詳しくは2022年4/7発売VERY NaVY5月号に掲載しています。
取材内容は、留学当時の情報になります。

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