大学付属校に通う娘がある日「退学して留学したい!」
親子の出した答えとは
[実例・我が家の留学体験記]
周囲からは恵まれていると思われがちな留学ですが、親から離れて頑張る力は、本人の意思があってこそ成立するもの。今回は、自らの意思で16歳の夏にアメリカの地へ渡り、今も果敢に挑戦しているお子さんを持つお母さまにお話をうかがいました。
Vol.9 高校1年で3年間留学【Tさんの場合】
Vol.9 高校1年で3年間留学【Tさんの場合】
小学校受験をして大学附属校に進学。中学を卒業して退学後、アメリカのボーディングスクールへ。
【留学したときの学年】
高校1年生8月~
【留学した国】
アメリカ
【留学した学校】
Maine Central Institute
【方法】
トフルゼミナールを通じて
【ステイ先】
寮生活
【費用】
年間約500万円(学費、手数料込み)
留学は、本人の「行きたい!」という気持ちさえあれば、乗り越えられると娘を通して実感。親が行かせるのではなく、本人の意思が大切です。
行くまで
小学校受験を経験し、大学附属校へ通っていたので、親としては、大きなアクシデントが起こらない限り、そのまま進学してくれることを安堵しながら過ごしていたのですが、娘が中3の春、学校OGの講演会でお話を聞いてきたことから、我が家の進学プランに大きな異変が! 学校を途中退学して留学し、その後国連に勤めているというOGの方に感銘を受けて帰宅し「留学したい!」と、彼女のボルテージは最高潮。その後も留学したい熱が持続し、説明会にも親子で足を運んでみることに。年齢が上がれば上がるほど、学力のハードルも費用も上がると聞き「どうせ行くなら早いほうがいいですよ」というカウンセラーの方の言葉にも後押しされ、中3の9月には、附属高校には進まず、現地校の卒業を前提とした留学をする決意が固まっていたものでした。今回、留学でお世話になったのはトフルゼミナール。希望の国や部活、趣味などを伝えた上で、本人の希望にも添う学校を3校ほどご提案いただき、スカイプ面接を受けた後、アメリカ・メイン州の私立共学校が留学先として確定。翌年、中学卒業とともに9年間お世話になった付属校を退学し、8月の出発まで英語のスキルアップの準備を。親としては想像していなかった道に進むことに多少躊躇する気持ちはありましたが、本人の気持ちがとても強かったこと、また、小学生の頃からずっと同じ環境の箱の中にいることが、少し息苦しくなっていたのかな……とも。娘が“留学”を思い立ってから僅か数ヶ月の間に全てが決まり、翌年の夏にはあっという間に旅立っていった娘のスピード感には驚かされたものでした。
行ってから
留学先は、自宅から通うローカルの生徒と、アメリカ内でも遠方から来ている生徒や留学生がステイする寮が備えられた学校に入学。張り切って出発したものの、急にホームシックになるのではないかと案じていた親心に反して、全くそんな様子もなく、時おりLINEで近況報告が舞い込んでくる程度。寮には、中国、韓国、スペインやイタリアなど、多種多様な国からの留学生とグローバルな交流を深めたり、中学の頃から続けていた演劇部の延長で、“ハイスクールミュージカル”さながらの演劇部に所属したりと留学ライフを謳歌している様子でした。寮の委員にも自ら立候補し、ボランティアにも参加。また、夏休みやクリスマスホリデーの他にも短いお休みがありましたが、学年の違う僅かな日本人留学生と、何時間もかけながらバスを乗り継いで国内旅行を楽しむなど、水を得た魚のようにアクティブに過ごしている姿は頼もしいとさえ感じました。留学の相談に初めて行った際の、「留学は本人の“行きたい”とう気持ちさえあれば乗り越えられます」という言葉に、娘の留学を通して改めて実感。親もとを離れてハングリーに努力することは、10代半ばの子どもにとって過酷なこと。我が家の娘はまさに気合い勝ちではないかと。現在、高校の最終学年を控え、日本の大学に帰国生受験をするための準備中ではありますが、強い本人の意思がある限り、何が起こっても恐れるものはないのかな、と思っています。
撮影/相澤琢磨 取材・文/鍋嶋まどか 編集/羽城麻子
取材内容は、留学当時の情報になります。