【人気スタイリスト長澤実香さんに聞く】 DIORの「黒」と「白シャツ」
人気スタイリストの長澤実香さんに、 NAVY読者がもう少し深く知っておくと、もっとファッションが楽しめそうなブランドをフォーカスしていただき、毎月紹介していく連載、BRAND NEW STYLE styling by MIKA NAGASAWA。今回のブランドはDIORです。身近な色もアイテムも、DIORの手にかかればさまざまな表情をもつ、新鮮なものに生まれ変わります。
DIORの黒は「強さ」だけじゃない
ディオールの黒は、とにかく軸がエレガント。威圧感とは違う緊張感や隙きのなさ、背筋を伸ばしてくれる良さがあります。私の中で黒は、さまざまな表情を持つ奥行きのある色という印象です。上品な黒もあれば、すごくミステリアスな黒もある。もし黒が苦手な人がいるとしたら、それは黒の強い面ばかりを見ているのかもしれません。黒という色は品やしなやかさも兼ね備えているので、ぜひ強さだけじゃない黒を知ってほしい。そういう思いも込めて、今回は黒をピックアップしました。今まで黒に馴染みがなかったなら、NAVY世代には黒✕ネイビーの配色をおすすめします。個人的にも好きな組み合わせで、信頼性とモード感のバランスを楽しめる大人ならではのスタイリングだと思います。黒の良さを知ってしまうと、その奥深さ、多様性に魅了されてしまう。一色なのに多色。そんな表情の多さが黒の魅力です。上から「ディオール ボビー」スモール¥396,000「30 モンテーニュ」¥528,000※クロージャ―部分に仕様変更あり「ブック トート」¥770,000「ディオール ボビー」ミディアム¥451,000(すべてディオール)
白シャツを制する者はスタイルを制する
クリーンな白いシャツは、着る側も見る側も気持ちのいい、不動のアイテム。
白シャツ1枚で様になる女性はやはりかっこいい。
10年後、20年後の自分を想像して、そのために必要なアイテムをひとつずつ揃えていく。その中のひとつが、白シャツなのだと思います。すごくベーシックなアイテムなのに、最強の武器でもある。白シャツを制するものはスタイルを制するのだと思います。
ブランドによって白シャツの打ち出し方は全く違っているのですが、ディオールの白いシャツは、着る人によって印象が変化します。たとえば、ボーイッシュになったり、エレガントになったり。ディオールにとって初めての女性デザイナーであるマリア・グラツィア・キウリ自身、白シャツをよく着ていますが、アクティビストやフェミニストとしても語られることが多い彼女のつくる白シャツにはメッセージが込められている。長い間、男性社会だったオートクチュールの世界で、女性である彼女がディオールをどう表現していくか、その冒険にはとても注目しています。
白シャツとデニムって、ある意味ユニフォーム的な存在ですよね。だからといって変わらなくていいのかというと、もちろんそうではない。体型だって10年前と今では変化していますよね。メイクと同じで、更新していくことが大事なんです。
左からシャツ¥165,000デニムパンツ¥159,500半袖シャツ¥154,000ノーカラーシャツ¥165,000(全てディオール)
撮影/長山一樹(S-14) スタイリング/長澤実香 取材・文/西澤未来(LVTN) 編集/永吉徳子
Profile
スタイリスト 長澤実香さん
多くのファッション誌や広告、ベビー服ブランド「Hijiki.」のディレクションと、多岐にわたって活躍。目指す女性像やものに宿るストーリーが垣間見えるスタイリング提案は絶大な説得力あり。