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“5人に1人が出会ってる”【マッチングアプリ】子育て世代はどう向き合う?

コンサバな自分とのジレンマ

──たとえばVERY読者はどのような距離感で付き合うとよいでしょうか?

松本 リリィさんがおっしゃっていた「他の男の人を求めるんだったら私はまず離婚する」というのがマジでそうだな、と刺さったんですが、ご自身もある程度稼いでらっしゃるんだろうし、旦那さんの経済というのはやはり大きいと思うので、そうなると、ちょっとひと時の息抜きにアプリを使って、一緒にお茶を飲むぐらいの異性のお友達を作ってみたらいいんじゃないですか、という感じですかね。

──公式見解ですね?

松本 本音じゃないですw。

LiLy VERYのコンサバな感じって私の中のコンサバでもあるんです。私が育児をとおして葛藤しているのはコンサバな自分とのジレンマなんです。私は学歴で人を見ないけど、子どもには有利だからちゃんとした学校に入れたいと思ったり、常にそのコンフリクトがあります。離婚するときも、レスを理由に子供たちの最高のパパである人と離婚していいのだろうか、という罪悪感にのたうち回りました。結果的には今も元夫と離婚前と変わることなく一緒に育児をしているので大丈夫だったんですが、そりゃあ当時は不安でした。だからVERY読者の中のコンサバな方たちの、自分では脱げないコンサバがわかるんです。親から、おばあちゃんから、社会からの刷り込みからもきているし、根深いものです。

ただ、親としての多様性、結婚の多様性をもっと認めていくべきだと思います。子どもたちのためにも。お受験面接で両親が揃ってないと受からないから離婚しないとか、そんな片親家庭への差別を暗黙の了解として掲げる学校で我が子を学ばせたいか?って腹が立つんです。でもわかるんですよ。子どもにいい学校行ってもらったら親として任務を果たしたような気分になるし、何よりなんだか子どもの未来に対して安心するという気持ちも。

──VERYは先日新聞で「結婚だけが人生じゃない」と全面広告を。

LiLy 私、その広告、最高!って叫びました、見たとき。私は全然VERYタイプじゃないのに娘たちへの性教育ノベルの連載をさせていただいたり、こうして企画に呼んでいただいたり、異なる価値観の人を積極的に取り入れていくVERYのそういう知的なところが大好きなんです。読者も知的な女性の集まりだと思っています。だからこそ、VERY読者のママたちが日本の未来の価値観を変えずに誰が変えるのって言いたいです!

──「幸福度世界ナンバーワン」のフィンランドについて取材したとき、あの国では40代、50代の男女も普通にマッチングアプリを使っているということでした。マッチングアプリというのは……。

LiLy いいも悪いも、もはや普通のものだと思う。これからずっとあるもの。子どもたちの世代もやっていくもの。自分が今住んでいる〝世界線〟がバグる感覚が面白いんだと思います。普段の生活では出会えない人と出会える、普段の肩書から互いに解放され、普段つけている仮面が剝がれ、人間の裏側が垣間見えるといった楽しさがある。ただ、生活基準や世界観はなかなか一致しないから、互いに本命として考える人と出会うのは難しいとも思います。やっぱり同レベルの人というのは、自分の周りにいるものですから。

松本 パートナーがうんぬんというよりも、「いま、さみしい」ってなったら「いま、調達、ウーバーイーツ」って思ってやってましたから。

LiLyさん

作家。1981年、神奈川県生まれ。ニューヨーク、フロリダでの海外生活を経て、上智大学卒業。2006年に恋愛エッセイでデビュー後、女性心理の赤裸々な描写で女性からの圧倒的な支持を得る。2022年までVERYwebで性教育ノベル『Girl Talk with LiLy』を連載。著作多数。中学1年の男児、小学5年の女児の母。

『オトナ白書 平成ギャルから20年、
令和の東京、40代へ』

(宝島社)

『オトナミューズ』の長期連載最新刊。40代を迎えた「お母さん」と官能小説を執筆するLiLy、コンサバとアンチコンサバの振れ幅を生きる日常をスケッチ。

『BAD SEX』

(幻冬舎)

対談でも紹介された女性のための官能小説『SEX』の続編。

松本千秋さん

1980年、東京都生まれ。映像制作・編集の仕事を経て24歳で専業主婦に。27歳で離婚を切り出し、33歳で別居、37歳で離婚。2019年、『38歳バツイチ独身女がティンダーをやってみた結果日記』で「♯コミックエッセイ大賞」に入賞し漫画家デビュー。現在は『トーキョーカモフラージュアワー』シリーズが大ヒット中。

『38歳バツイチ独身女が
マッチングアプリをやってみた
(ヤバい)結果日記』

(幻冬舎)

(ヤバい)が付いている黄色いほうが続編。バツイチ38歳が50人近くの年下美男子とマッチし続ける一見イケメンパラダイスアワーだが、のめり込んでいるようで達観している妙にリアルな読後感も。

『ニュートーキョー
カモフラージュアワー 4』

(少年画報社)

テレビやSNSで話題沸騰の恋愛ショートオムニバスシリーズ最新刊。「このエピソードは私のこと」と没入型中毒者続出!

断片的な匿名読者調査メモ1

高校生時代は文通(!)きっかけで人と会っていた。リクルートの『じゃマール』を使って。今、娘がそんな方法で誰かと会うと言いだしたら全力で止めるw。

既婚者向けアプリでは、婚活アプリと同じで、見た目の好み、趣味、性格の合いそうな人を探すこともできる。自然な出会いよりも効率よく気の合う人と出会えるはずだけど。

やはり抵抗が。人の妻、母だから? でも、結婚したら一人の人と添い遂げるべきと思ってるわけでもない。倫理観だけではなく、事件などのニュース見ると怖いというのも。

アプリの話を友人にしても、シーンと。使っていても言わないだけなのかも。

夫婦であっても、年月や子どもの有無で関係が変わってきたら、お互いに割り切った別の相手がいてもいいんじゃないか、そのほうが結婚生活がうまくいくのでは、と思うことも。

N.Sさん(39歳) 会社員 子ども2歳 女の子

断片的な匿名読者調査メモ2

友達が出会い系アプリで浮気。位置情報アプリでホテルにいるのが特定されてちょっとした修羅場。アプリって面倒だなという先入観。

1歳児を育ててる友人から、「デートしたい、とにかくデートがしたい、夫以外と」とLINEがくる。その気持ちはわかる。ドキドキしたり心が高揚する瞬間が日常生活の中からすっかり失われている。

既婚者向けアプリを1個、登録しただけでメッセージが山ほど。今のところ、実際に誰かと会う予定はない。夫を含め、これまでの出会いも偶然であって必然や運命の出会いではなかった。運命みたいな気がしてたのは錯覚だということに気づいた。元彼と結婚してたら今頃……みたいな「たられば」を考えることもなくなった。東京にこれだけ男の人がいることもすっかり忘れてた。今の結婚生活がすべてではない、と考えられると、「私の人生大失敗」みたいな総括を30代くらいでしないで済む。

M.Fさん(35歳) 専業主婦 子ども5歳

編集後記

VERYはマッチングアプリの利用を推奨するわけではありません。大事なことなのでリードに続いて2回書きました。

さて、人生に意味はあるのか、という話です(話を大きくしました)。なんらかの成果・作品を、あるいはDNAを残すこと、世の中に爪痕を残すことが人生の意味でしょうか?

エントロピー熱力学第二法則に則って、宇宙には必ず「熱的死」が訪れます。それ以前に、巨大化した太陽に地球は呑み込まれるし、それを待たずに戦争か資源の枯渇によって人類は滅びているでしょう。何かを残すことが意味だとすれば、人生に意味はありません。

おいしいものを食べたときの満足感、思い切ったショッピングの高揚感、幼い子どもの寝顔を見つめる幸福感……数分後には消えてしまう、けれどもたしかにそこにあったエモさこそが、つらいことや悲しいことも含めて、人生の意味、なのかもしれません。

アプリでマッチした刺激的なパートナーと過ごした時間も、多くの場合、日常に戻れば消えてしまいます。一度だけの人生、それを必要とするかしないかは、それぞれの価値観、人生の優先順位の問題。アプリを使うか使わないかにかかわらず。

撮影/吉澤健太 取材・文/フォレスト・ガンプ Jr. ヘア・メーク/宮本由梨
*VERY2023年5月号「私たちとマッチングアプリの距離感」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。

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