承認欲求のための……
LiLy さっき、「不倫をするくらいなら離婚するほうが筋が通っている」みたいなことを言ったけど、私がそうしたというだけで人にもそれを押し付けたくはないです。実際、離婚できないケースっていっぱいあるから。既婚者の場合でも男性用風俗は黙認されている風潮がありますが、女性で性欲が満たされなくて苦しんでる人、本当に多い。夫に抱いてもらえないっていう女としてのみじめさ、切なさ。または夫とセックスしたくないけど性欲はある、という悩みもある。私はnoteで会員制の「オトナの保健室」という相談室を主宰していて、女として満たされない苦しみの話題がよく出るんです。アプリは、実際トラブルになるリスクが高いから、女性用風俗は今後もっと普及していくように思います。
松本 さっきの既婚者アプリを使った友達は、旦那さんに相手にしてもらえないっていうよりも、彼女も旦那さん相手にセックスをすることに、もう興味がない。お互いにスイッチが入らなくなっちゃって「私、この先の人生、死ぬまで誰とも触れ合わないで終わるのか、と思ってやった」と言ってました。
LiLy 離婚する前、私もそう思ってました。当時32歳くらいだったのですが、自分の性欲さえなくなれば家族は幸せなんじゃないかってところまで思い詰めてしまって、瀬戸内寂聴さんとか読んで、出家も視野に入れましたから。不倫は本当にしたくなくて、出家が視野に入ったらメンタルちょっと落ち着いた夜があったり、それくらい思いつめて。
松本 女性って、最終手段に出家という手がよぎること、多々ありますよね。
LiLy それは自分の中にいる〝オンナ〟のコントロールが難しいからだと思う。〝オンナ〟って病だと思っていて。いつまで枯れないんだろうっていう恐怖。性欲もなくなって〝オンナ〟が大人しくなってくれたらピースかなとも思うけど。
松本 でも、時期によりますよ。私、今、すごく性欲ないんですよね……。
──アプリで知り合った方の一人と真剣交際されてると先日伺いましたが。
松本 ええ。困っちゃってサプリ飲んでますもん。何か効かないかなって。
LiLy アプリマンガの時期は性欲がありそうだったけれど、女性の性欲も波がありますよね。
松本 あの時期は最大ありましたね。
──あったりなかったりする。
松本 習慣化しないと止まるみたいな。コロナ禍で引きこもっていたのがよくなかったのかな? 今、せっかくパートナーがいるのにそういうスイッチが入らなくて。
LiLy それはパートナーになっちゃったから?
松本 いま、原因を探り中。何かセックスというブームが去ってる感じ。もしかしたら、漫画家になったことで仕事で承認欲求が満たされちゃってるから。前は承認欲求のためにセックスしてたのかも……。
LiLy 中村うさぎさんのエッセイがまさにそこを鋭く書いていてすごく面白くて。最近、『女という病』とか『私という病』とか読んでるんですけど、やっぱり承認欲求はキーワードなんですよね。
──アプリをダウンロードして、ワーッとLIKEがきて、というのでは承認欲求は満たされませんか?
LiLy うーん。男友達曰く、Tinderでは男の人は写真も特に見ないで8割にいいねして、マッチしてから考える、と。
松本 Twitterにはいますけどね。裏垢で下着姿の画像で「いいね」とか「よろしくお願いします」がバーッてつくのを集めて楽しんでいる女性たちが。
『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた(ヤバい)結果日記』