多くのママを悩ませる産後の体型戻し。妊娠前のスタイルに戻したい気持ちはありつつ、無茶なダイエットは避けたいところ。「いつから運動や筋トレ、ストレッチをはじめていいの?」「効果的な食事方法は?」「骨盤ケアはどうしたら?」など、先輩ママのアイデアとともにきれいに元の体型に戻す方法をお届けします。
産後ダイエットはいつから始める?
「産後ダイエットはいつから?」について伺ったのは
本田由佳先生
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任准教授。女性健康科学者・博士(医学)。健康計測器メーカー在職中に、東京大学大学院医学系研究科母性看護学・助産学分野客員研究員として、妊娠・出産についても深く研究。女性や子どもの体組成・体形・骨と生活習慣等の研究などに携わる。慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム 産後ママSOSプロジェクトリーダー。
産後ダイエットのスタートは1カ月健診後からが目安
出産後、すぐにダイエットを始めたい! と思うかもしれませんが、その気持ちはグッと抑えて。産後ダイエットは通常のダイエットと違って、注意しなければいけないことがたくさんあります。よく言われるように、産後すぐの体は交通事故並みのダメージを受けているもの。産褥期(さんじょくき)と呼ばれる産後6~8週間は、赤ちゃんのお世話以外、体を休めることを最優先にしてください。
リラックスのために体を動かしたい人も、1カ月は激しい運動は禁物で、1カ月健診で問題ないとされてから始めると安心です。メンタル的にもホルモンバランスが乱れるせいで、イライラしがちだったり、気持ちが憂鬱になりやすいタイミングなので、自分のケアは甘やかす方向でOK。血行不良でむくみが取れない、というのであれば20分くらいパパなどに預けてゆっくりお風呂に入る時間をとったり、マッサージをしてもらったり、とまわりのサポートを前提に考えていいんです。少しずつ赤ちゃんとの生活に慣れてきた2~3カ月後から体重や体型と向き合い始めましょう。
産後ダイエットはいつまでが勝負?産後6カ月までがリミットって本当?
一般的に、妊娠・出産時に広がった骨盤が3カ月~半年かけてゆっくり戻っていくと言われています。この時期に適切なケアをすると、骨盤がきれいに元に戻り、妊娠前の体型以上にきれいなボディラインを手に入れられることも。そのことからこの「産後6カ月リミット説」ができたのかもしれません。
とはいえ、6カ月を過ぎていても大丈夫!むしろ、焦って1カ月に3kg以上の無理なダイエットをしてしまうと、疲れやすくなったり、爪や肌がボロボロになったりしてしまいます。おすすめの目安は1カ月に1〜2kgダウンというペース。子育ては体力勝負なので、赤ちゃんとの日々は思っているよりエネルギーを消費しています。焦らず、心と体必要な栄養をしっかり摂って、無理のないダイエットをしましょう。
本田先生のアドバイスをさらに詳しく!
産後ダイエットは食事が決め手!3つのポイント
妊娠中は赤ちゃんのためにといろいろ食べていたら結果的に太りすぎてしまった、という人も多いと思いますが、やはり食生活を見直すことが一番。ただし、慣れない赤ちゃんとの暮らしは想像以上に体力を消費しているもの。特に母乳育児中は無理な食事制限をすると母乳が出にくくなったり、詰まる原因になります。
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和食中心に高タンパク低カロリーを心掛けて
理想は、高タンパク・低カロリーでありながらも食物繊維やビタミンを摂取できる和食がベスト。とはいえ、寝ているだけの赤ちゃんならまだしも、動き出すとゆっくり食事もできないですよね。
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野菜、炭水化物などもバランス良く
サッと食べるときも、むやみに食べるのではなく、汁物→野菜→肉・魚などのタンパク質→炭水化物という順番を意識すると、血糖値が急激に上がりにくく、太りにくくなります
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水分補給を忘れずに
つい忘れがちな水分も食事の前やお風呂上りのほか、赤ちゃんが寝たらまず水を飲む、など習慣づけを。水分が足りない体は巡りが滞りやすいので、痩せにくいだけでなく、逆にむくみや疲れを引き起こす原因にもなります。
VERY読者も上手に食事制限を実践中
産後の体型戻しがうまくいかないのは骨盤のせい?
体重は戻ったのに、以前のデニムが入らない…というのもよく聞きますが、これは出産のために骨盤が緩んだのが原因。もちろん緩みっぱなしではなく、骨盤は産後3~4カ月かけてゆっくり閉じていき、半年程度で固定されると言われています。
でも、その半年の間に骨盤を正しい位置に戻すサポートやインナーマッスルのトレーニングを怠ると、おなかぽっこりや尿モレ、冷え性などを引き起こすことに。骨盤を正しい位置に戻すサポートを促してくれるのは、骨盤ベルトや産褥ニッパー、リフォームショーツ。いろんな種類が発売されているので、ライフスタイルに合ったものをセレクトして、毎日続けるようにしてみてください。
編集部オススメ骨盤ケアボトムス
1.ギュッと締めてとことん細見え!
ウエスト、おなか、お尻をしっかりシェイプしてくれる理想のガードル。もちろん骨盤サポート機能も搭載しているので、大好きな服を素敵に着こなしながら、同時にケアができます。シェイプマミーガードル BL ¥18,700(ワコール)
2.帝王切開ママでも安心して使える
普通のガードルやニッパーだと帝王切開で切った傷が痛む・・・というママに推したいのがコレ。1枚ばきで使える骨盤サポート付きパンツ。あらゆるたるみも心地よく引き上げてくれるので、快適さもズバ抜けています。SUHADA 肌リフト-産後- BL ¥7,480(ワコール)
3.散歩やエクササイズのカロリー消費も増える!
なんと、骨盤ケアをしながら消費カロリーをUP*&脂肪燃焼までサポートしてくれる、という凄腕。チュニックにこれ1枚で部屋着としても使えるから、おうちで賢く引き締めを狙うなら買わない手はナシ! スリムウォーク Beau-Acty 燃焼シェイプレギンス※オープン価格(ピップ)
*呼気ガス分析装置により、市販の非着圧レギンスとの比較において、ランニング時および歩行時で、エネルギー消費量増加を確認した。(n=11、平均年齢21.8歳)
4.寝ている間も賢く骨盤ケア+美脚ケア
大事な時期こそ無駄なくケアをしたいもの。寝ている時間も有効活用できる1本を使えば、朝のすっきり感も違います。足首までカバーしてくれるので、夜の冷えケアもできるところも嬉しい。メディキュット ボディシェイプ 寝ながらスパッツ 骨盤サポート付き オープン価格(メディキュット)
産後ダイエットにオススメ!トレーニングメソッド3選
【骨盤底筋群トレーニング】YumiCoreBodyの「膣締め」
骨盤ケアと同時に欠かせないのがインナーマッスルのトレーニング。産後、一番キモとなるのが骨盤底筋群。出産と同時にこの筋肉は引き伸ばされていて、収縮力が落ちています。ここを地道にしっかり鍛えることで、尿モレを始め、痩せやすい体作りをすることができます。
オススメはVERYでもおなじみ、くびれ母ちゃんこと村田友美子先生の”膣締め”。▼【くびれ母ちゃん】村田友美子さん直伝「膣が締まる」ポーズ教えます に詳しく載っているので、ぜひ参考にしてみてください。
【ストレッチ】ほぐし&筋膜リリースは優秀アイテムが頼れる!
VERYモデルの原田夏希さんがリアルに産後やっていた効率的なほぐしケアをご紹介します。優秀アイテムを使って行うのがポイントです。
1.“ホグッシー”でポイントほぐし
インナーマッスルケアでご紹介した村田友美子先生に教えてもらったほぐしを毎日欠かさずしている原田さん。「お尻や肩甲骨周りなど、自分では手が届かない場所もピンポイントでほぐせるのがホグッシー。かなり痛いですが、体型の戻りが早くなります」
2.“グリッド フォームローラー”で前面も隙間なくほぐす!
「骨盤まわりや前ももをローラーでほぐすことで、体の動きもスムーズになります。エクササイズの前後に取り入れることで、エクササイズの効果も上がりますよ」
3.長距離移動時はMAKISPORTSの“ストレッチリング”を愛用
「新幹線での移動が多かったので、このストレッチリングが大活躍! 椅子の背中の背面に置いて、丸まった背中や肩甲骨を広げていました。赤ちゃんのいる生活はどうしても猫背になりやすいので、本当に助かりました」
【筋トレ】つむらみおさんの6分朝トレで産後の運動習慣を再開
大人気のダイエット系YouTubeチャンネル「みおの女子トレ部」主宰のつむらみおさんに、以前VERYwebでも取材させてもらいました。第2子出産後になかなか体形が戻らなかった経験から、産後のママにおすすめしてくれたのが、朝起きたらすぐ行うトレーニングでした。
「子育てに忙しくて時間がない中でも、朝の6分だけと決めてしっかり動くことで、動きやすい体を手っ取り早く作ることができます」とつむらさん。スッキリとした気持ちで1日をスタートできるメリットも!
トレーニング動画はこちらの記事へ
ダイエットコーチEICOさんの“ラクする”産後痩せの極意
2人の男の子ママであり、−20㎏ダイエットの経験からダイエット関連の書籍を計19冊出版しているダイエットコーチEICOさん。ご自身の産後ダイエットで心掛けていたのは、無理せずに「ラク痩せ」することだったそう。VERY2022年6月号で紹介してくれた内容を一部抜粋してご紹介します。
極意その①「食事編」
普段の食事を少し心がけるだけで違いが出ます。
- 毎日1食はキノコともずくやわかめなど海藻類に
- 甘いものが食べたくなったらフレーバーティーを飲む
- 子どもの残り物を食べない、夫と同じ食事量を摂らない
極意その②「キレイな姿勢を意識」
「授乳中や抱っこなど、つい背もたれに寄りかかりがちですが、寄りかからずキレイな姿勢を意識しましょう」
極意その③「ツールに頼る」
育児疲れで体を動かす気になれなくても、賢いツールやお取り寄せの食などの力を借りればラク痩せが叶うそう。
撮影/蓮見 徹 取材・文/立花あゆ 編集/井上智明
*VERY2022年6月号「VERY的早耳BEAUTY Third season」より。
VERYモデル&先輩ママの産後ダイエット成功エピソード
撮影/有馬秀星〈MOUSTACHE〉
産後ダイエットの最後の「3kgの壁」が厚かったという近藤千尋さんと、体重は戻っても体型が戻らなかったという原田夏希さん。おふたりとも産後ダイエットのラストスパートは、ほぐしやむくみ対策だったそうです。
さらに、VERY読者15人の「あと3kg」ダイエット成功エピソードも。食事のコントロールや赤ちゃんとの暮らしでできるエクササイズのほか、行動学や心理学をもとにメンタルから“痩せモード”になるという手段まで。合計15名のリアルな成功体験から、真似できるものを選んで挑戦してみて。
撮影/有馬秀星〈MOUSTACHE〉
子育てしながら産後ダイエットを継続するコツ
隙間時間に正しい姿勢と呼吸法を
最後にご紹介するのは、産後のエクササイズ方法。まずは、正しい姿勢と呼吸法を覚えてください。体に1本の軸が入っているように、一直線になるのが正しい姿勢。鏡を横に置いて見るとわかりやすいのですが、骨盤が床と垂直になっているかも確認して。反っている場合、肛門を下に向けるように少し腰を丸めてみると垂直になりやすいです。また呼吸法は、息を吸ってお腹に空気を入れ、内臓を持ち上げるような感覚で口から息を吐いてみましょう。この呼吸法だけでも、インナーマッスルも鍛えられるのでオススメです。
赤ちゃんと一緒の時間をエクササイズに
体を動かせるようになったら、赤ちゃんと一緒に外気浴を兼ねてお散歩を。ベビーカーでおでかけするときは、腕だけで押したり、猫背にならないように気を付けて。そもそも歩くことは全身運動で、一番痩せるのに手っ取り早い運動なんです。赤ちゃんとお気に入りの散歩コースを探すのも後々、いい思い出になりますよ。
「抱っこで息子をあやしているときは、そのままスクワットを。動いていると息子も楽しそうだったので、一石二鳥でした。かなりハードですが、そのぶん効いているのもわかります」宮部 遥さん(36歳・1歳の男の子ママ)
「犬の散歩と息子の散歩で1日合計2時間ウォーキング。変に筋肉がついてしまうような痩せ方もしないので、産後ママにはベストだと思います」千布菜実さん(28歳・1歳の男の子ママ)
■まとめ
いかがでしたか? 赤ちゃんありきの生活の中でのダイエットは、なかなか思うように進まないこともたくさんあります。“前と同じ体型”に戻ろうとストイックになるのではなく、“小さいことの積み重ね”がすべてと言っても過言ではありません。ライフスタイルが変わったからこそ、ダイエットのやり方も柔軟に変えて、ママとしてHAPPYな生活を送りながら理想の体を手に入れてくださいね。
取材・文/矢﨑 彩
※本記事は過去掲載記事を元に再編成したものです。掲載商品はすでに販売終了している場合がございます。
公開日:2020.12.01
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よくある質問
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産後ダイエットはいつからスタートするのが正解?
産後4〜6週間は控え、1カ月健診で問題ないとされてからにしましょう。本格的にダイエットをするのは赤ちゃんとの生活に慣れてきた2〜3ヶ月後からがおすすめです。
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産後ダイエットはいつまでが勝負?
「産後6カ月までが勝負」と聞きますが、そんなことはありません。1カ月に1〜2kgダウンというペースで、心と体に必要な栄養をしっかり摂って、無理のないダイエットをしましょう。
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産後開いてしまった骨盤は戻るの?
一般的に産後3~4カ月かけてゆっくり閉じていき、半年程度で固定されると言われています。その半年の間に骨盤を正しい位置に戻すサポートやインナーマッスルのトレーニングを怠ると、ぽっこりお腹や尿モレ、冷え性などを引き起こすことに。
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産後ダイエット中、食事で気をつけた方がいいことは?
和食中心に高タンパク低カロリーを心掛けましょう。汁物→野菜→肉・魚などのタンパク質→炭水化物という順番を意識すると、血糖値が急激に上がりにくく、太りにくくなります。
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ストレッチの継続がなかなかできません。
痩せるのに手っ取り早い運動は全身運動である「ウォーキング」。ぜひ赤ちゃんと一緒に外気浴を兼ねてお散歩を。ベビーカーでおでかけするときは、腕だけで押したり、猫背にならないように気を付けるのもポイント。