大学受験事情
2015年くらいの時点では、「2020年度の大学入試改革で、日本の受験制度は大きく変わる」と喧伝されていました。しかし結論をいえば、2020年度の時点では、センター試験が大学入学共通テストにマイナーチェンジしただけでした。
ただし、大学入試改革の狙いはセンター試験の改変だけではありません。個別の大学における入試を、「脱ペーパーテスト」の方向に変えていこうという大きな狙いがあります。いわゆる「AO(アドミッションオフィスの略)入試」の枠を増やしていこうという方向性です。
ただしAO入試には、「学力不問」「受験生の早期囲い込み」のような後ろ向きなイメージもついてしまっているので、2020年度から、それまでのAO入試に相当する入試形式を「総合型選抜」と呼ぶことになりました。それにあわせて、従来の推薦入試を「学校推薦型選抜」、一般入試を「一般選抜」と呼ぶようになりました。
2016年から東大と京大が戦後初となる推薦入試を開始したのには、この流れを先取りする意図があると考えられています。2015年、国立大学協会は、2021年度までに入学定員の30%を推薦入試、AO入試、国際バカロレア入試(国際基準の大学入学者資格を利用する方法)などにあてるという目標を掲げました。
実際の2021年度の入試では、総合型選抜と学校推薦型選抜の定員割合は、2割弱にとどまっていますが、2016年以降、その割合が増えていることは間違いありません。今後もその傾向は続くでしょう。
私立大学においてはもともと2015年度の時点で、AO入試と推薦入試による入学者の割合が5割を超えていましたが、2020年度の時点ではすでに総合型選抜と学校推薦型選抜の定員の合計の割合が6割弱にまで伸びています。
有名私立大学が積極的に系属校を増やす動きがあるほか、私立大学と私立中高一貫校が個別に提携し、内部進学的な制度を設けるなどの動きもあります。地方では、国立大学とそのお膝元にある公立高校が教育連携を進める動きもあります。
しかし難関大学への進学を希望するなら、やはり塾での対策が必要になるのが現実です。
大手予備校としては、「駿台」「河合塾」「代々木ゼミナール(代ゼミ)」「東進」「お茶の水ゼミナール」などが有名です。
中高一貫校の生徒たちが御用達にしている知るひとぞ知る難関大学対策塾もあります。
東京都の代々木に本部を構える「鉄緑会」は、東大および国公立大学医学部に驚異的な合格率を誇ります。日本の受験システムの最難関である東大理Ⅲ(医学部系)の合格者の半分以上は例年鉄緑会出身者で占められています。
渋谷にある「平岡塾」は老舗の英語専門塾。新宿に本部を構える「SEG」は数学専門塾として始まり、いまでは英語の多読授業も人気になっています。
中高一貫校生を対象にした塾としては、「グノーブル」にも勢いがあります。予備校系では河合塾の「河合塾MEPLO」、代ゼミの「Y‐SAPIX」があります。関西では「研伸館」が有名です。
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構成/おおたとしまさ