夫の東京勤務に伴いワンオペ育児の始まり
長男が誕生してすぐに、NHK本社のポジションが春に空くと連絡が入りました。夫はすぐにオーディションを受け、東京勤務が決定。念願だった全国へ気象情報を届ける夢が叶うことになりました。当時は私も育休中だったので、東京生活のスタートを共に過ごしたのですが育休終了で熊本に戻り、6年間の別居婚がスタートしたのです。熊本県内外のまちづくりに携わることができる研究室での仕事はとても有意義で、自分のキャリアを諦めることは考えませんでした。
次男が生まれてからはほぼ毎週末、熊本に夫が帰ってくる生活。仕事では責任も増し充実していましたが、自分はどんどん疲弊していきました。母の姿を見ていたので、すべて一人で普通にこなすものだと思っていましたし、それなりにできます。ワンオペの日々の忙しさは当然で、仕事、家事、育児というタスクをこなすことを考える日々に余白時間は全くありません。可愛い育ち盛りの子供たちですら、可愛いと思う暇もなく常にパツパツの生活……でも、なんとかなるもの……。そして2014年、40歳の時に急性胃炎で倒れました。
夫のコトバ……
「今までの経験も糧になるよ」
本棚にはお互いの歴史に関連する書物が並びます。夫婦だけの時間を持つ努力もしているそう。
夫が即座に東京から駆けつけてくれ、福岡の義父母にも頼って子供たちをお願いし、静養。そこから別居婚の限界を考えるようになりました。
東京へ移るための受け入れ先になる大学は容易には見つからず、キャリアを諦めることを考えると絶望的になり、自然と涙が溢れてきて鬱のような症状が出ました。
そんな時に夫が「キャリアは中断してもなくならない。経験したことは新しいチャレンジの糧になるよ」と言ってく
れたのです。夫もテレビ局勤務から気象予報士へキャリア変更をした経験があったからこそ、心に沁みた言葉でした。2015年にはコーチングの資格を取得、翌年に大学を辞め、子供と共に東京に移りました。
母のコトバ……
「あなたが良いと思ったことが一番良い」
女性の自立を願い、私が積み上げてきたキャリアを見て応援してきてくれた母から大学を辞めることへの反対があるかと思ったのですが、「あなたが良いと思ったことが一番いいはず」と言ってくれ、大きく見守っていてくれると安心しました。
一緒に住んでくれている母に今も助けられています。