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乳がんに気付いたのはヨガの最中。乳房全摘の年、結婚相手に出会って……

 

 夫のコトバ……
「病気のこと、僕は気にしないよ」

 

抗がん剤治療中のような吐き気やだるさは治まっていたものの、体全体からしたらごく一部を取っただけなのに、術後って想像以上に体が動かないんです。大半の時間を過ごすベッドの上でもスマホなら操作でき、お会いしたい方をチェック(笑)。体はまだドン底なのに、気持ちだけは前向きだったのは今でも不思議です。でもがんの手術を受けたばかりの体ということは自分で言う勇気はなくて、事前に仲人さんに伝えてもらいました。それが理由で、何人かの方にはお会いすることをお断りされました。

夫は元々、健康にストイックな人なので、私の健康管理も助かっています。

 

手術から5カ月後、その結婚相談所を経営する友人が会わせたい人がいると言うのです。なぜ友人がそこまで薦めるのかもよくわからないまま、初めてのお見合いをしました。胸がなくなってから初めて会う男性。髪もなく、薬の副作用でむくみと体重増で、自信がありませんでしたが、会ってみた彼とは、日常的なことやお仕事の話などで盛り上がり、私ががんのことを切り出すと穏やかに話を聞いてくれました。

 

相談所の決まりで、初回はお茶のみ。そのお代は男性が支払うことになっているのですが、私がそのお礼にと持参した手土産に、そういう気遣いができる人なんだと夫が感心してくれたことを後から聞きました。私は初めてのお茶で、デザートをオーダーするときに自然と二人で1つのケーキを分け合えたことに運命を感じました。お互いどれを食べたいか擦り合わせながら選べる感覚に、この人となら結婚して1つの家庭を築いていけそうだなと思いました。

 

お付き合いが始まれば、当然、ウィッグを取った姿、手術後の胸を彼に晒さなくてはいけない日が来ます。彼の反応が不安でしたが、結婚を前提にお付き合いしているのだから、いつかは通らなければいけないこと。彼に「やっぱり無理だ」と言われても、彼を責めることはできない、仕方がないことだと思いました。しかし、彼の反応は、本当に自然なものでした。それはもしかしたらそう見せてくれた彼の優しさだったのかもしれません。「僕は気にしないよ」というコトバは、私がまた1つ病気の殻を脱ぎ捨てられたきっかけになりました。少しずつ生えてきた髪は金髪に染めて極薄ベリーショートのヘアスタイルを楽しみました。

 

≫≫手術から一年後に入籍。それから。

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