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【夏休みの毎日学童】にモヤつくママたちに、ぬまっち先生がアドバイス!「元気に始業式に登校できたら満点」

夏休みに入り、「毎日学童で大丈夫かな」「もっと一緒に過ごしてあげた方がいいのかな」「せっかくの夏休みなのに……」普段は気にならないのに、長い休みになると途端に顔を出す罪悪感。働くママでもあるVERYモデルの笹川さんと一緒に、放課後NPOアフタースクール代表理事・平岩国泰さん、東京学芸大学附属小学校教諭・ぬまっち先生にモヤモヤをぶつけてみました。

そう思ってしまう自分にモヤつく!
「夏休みの毎日学童」って
かわいそう?

綱渡りはいつものことだけど(笑)夏休みになると、“働く母”である私と“専業主婦”だった母を比べてしまったり、「あれこれ体験させないと!」と焦っちゃう

笹川友里さん

この夏休みの過ごし方が“小1の壁”になる⁉
VERYモデル
笹川友里さん
(7歳女の子と、2歳の男の子を育てる働くママ)
フリーアナウンサー、会社経営者。小学校1年生の長女と保育園に通う次女の母。今年は長女が小学生となり、初めて迎える夏休み。実母のサポート、ママ友との助け合いも頼りながら、仕事も子育ても無理なく回せる方法を模索中。

子育て世代の働き方に社会の仕組みが対応しきれていない今は、“夏休みの過渡期” 真っただ中。モヤモヤするのはお母さんのせいではないんです

放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰さん

安全で豊かな放課後の場づくりに奔走中
特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクール
代表理事
平岩国泰さん
放課後NPOアフタースクール代表理事。長女の誕生を機に「放課後を子どもたちのゴールデンタイムにしたい」と活動をスタート。全国の放課後の居場所づくりや子どもの体験格差解消に取り組む、日本の“放課後”の第一人者。学校法人新渡戸文化学園理事長、2 児の父。

笹川:
夏休みになると
我が家の「余白のなさ」が
浮き彫りになる気がします

編集 “働くお母さん”が一つの選択肢となる中で、夏休みの子どもの居場所を考えて葛藤する様子も見受けられます。学童の現場にいる平岩さんも「夏休みも毎日学童はかわいそう」という声を感じることはありますか?
平岩 もちろんありますが、その背景にはいくつかの感情が混ざっているように思います。昔は学童に通う子どもは少数派で、「夏休みも毎日行かせるなんてかわいそう」と感じる親御さんも多かった。でも、放課後児童クラブ(学童)を利用する子どもの数は、この20年で4倍に増加。今では150万人を超える子どもたちが利用しています。学童は「働く親のため」の預け先であると同時に、「子どものため」の居場所。実際、子どもたちは楽しんでいるんですよ。「学童ばかりでかわいそう」とは思わなくても良い、と僕は思っています。
笹川 普段はそこまで気にしていないんです。でも、長い休みになると、ふと「別の過ごし方があるのでは」と思ってしまう。今の子どもって本当に忙しい。小1の長女も帰宅したら寝るまで、ほとんど分刻みのスケジュール。私が子どもの頃は、夏休みにぼーっとしていた記憶があるんです。蟬の声を聞きながらソファでゴロゴロしたり。そう考えると、「学童に行かせること」自体より、子どもに余白のない毎日を送らせている気がして申し訳ないのかもしれません。
平岩 そうなんです。小学校入学後、多くの家庭が直面するといわれる「小1の壁」。保育園では長時間預かりが当たり前だったのに、小学校に入ると下校時間は早くなる。地域によっては夏休みは40日以上ある。まだ一人で留守番させるには不安だけど、親は働かなければならない。低学年の子の親にとっては、どうしても負担が集中しやすい仕組みになっています。だから本当は「学童でかわいそう」ではなくて、「もっと余裕を持って子どもと過ごしたいのに、それが難しい」という葛藤のように思えます。
編集 子どもは夏休み、親は通常運転。仕事と家庭の板挟みになりがちです。
平岩 子育て家庭だけを特別扱いすればいいという話ではありません。ただ、子どもは社会全体で育てていく存在でもあるはず。子どもの問題を家庭だけに押しつけるのではなく、もう少し子どもを真ん中にした社会であってほしい。企業の働き方も含めて、子どもが小さい時期をみんなで支える視点があってもいいと思っています。

笹川友里さん

モヤモヤの正体は「もっと余裕を持って一緒に過ごしたい」という葛藤だったのかも

放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰さん

案外子どもは楽しんでいるので『今日どうだった?』と話を聞いてあげるだけで十分

平岩:
小学校低学年の時期に親が働き方を
アレンジできる社会デザインが
これから必要不可欠なはず

編集 そもそも、長い夏休みという制度自体、今の時代に合っているのでしょうか。
平岩 夏休みという制度は、基本的には昭和から大きく変わっていません。一方で、子どもを取り巻く環境は大きく変わりました。共働き家庭は増え、猛暑も深刻。もともと夏休みは暑さ対策やリフレッシュのために設けられた制度で、諸外国でも同様の仕組みがあります。近年は「もう少し短くしてもいいのでは」という議論も。実際に短縮する自治体も出てきています。今の社会や家庭のあり方に合わせて、夏休みのあり方そのものを考え直す時期に来ているのかも。
編集 一方で、親自身も「夏休みを特別なものにしなきゃ」とプレッシャーを感じている気がします。
笹川 SNSでサマーキャンプや体験ツアーの広告が目に入り、「こういうことをさせた方がいいのかな」と検索したり。
平岩 もちろん、旅行に行くのも、長い休みを利用して普段できない体験をするのも、夏休みの醍醐味です。でも、共働き家庭では、むしろ「学童弁当」作りに追われたり、いつもより余裕がなくなることもある。だから、必ずしも特別なことでなくていいんです。スーパーに一緒に買物に行くとか、帰りにアイスを食べるとか。そんなことで十分。もっと言えば、何もしなくてもいい。子どもたちは純粋に、自分の話を聞いてほしいと思っています。今日誰と遊んだのか。何が楽しかったのか。それを肯定的に聞いてもらいたいんです。誰かと比べずに、「そうなんだ」「楽しかったんだね」とおうちの方に聞いてもらえるだけで、十分満たされます。
笹川 聞くだけなら、特別な準備はいらないですよね、親の心の余裕さえあれば…。
平岩 だから「毎日学童でかわいそう」なんて自分を責めないで。友達と過ごす時間や、家庭や学校とは異なる、指導員や異学年との“斜めの関係”を楽しんでいるし、子どもたち自身で夏祭りを準備・開催するなど、時間をかけて取り組む夏休みならではの活動の工夫がある施設も多いんです。自信を持って、笑顔でご家庭から学童に送り出してほしいと思います。

笹川友里さん

夏休みはSNSを見ないくらいマイペースを貫いて(笑)自己採点をゆる〜くするのが目標

放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰さん

学童の夏は成長の機会!夏休みだからこそ取り組めるプログラムもあるからモヤつかずに送り出して

学校の先生は長い夏休みの過ごし方に何を求めているんですか?と聞いてみたら…
その「かわいそう」の
主語、本当に子どもですか?

「かわいそう」って思い込みからまず親が卒業しませんか?
「もっと一緒にいてあげられたら」と思うかもしれません。でも、その“かわいそう”は、親自身の理想の夏休みと比べているだけではないでしょうか。あとは余裕がない自分自身が“かわいそう”なのかも。自分たちの子ども時代と同じ夏休みを求めても仕方がありません。それに、子どもは親が思うほど「構ってもらえないこと」を気にしていません。むしろ親の目が届かない場で友達とぶつかったり、思い通りにならなかったりする経験こそ成長の糧になるんです。親はつい先回りしてしまいますが、転ばぬ先の杖にならないことも大切です。

先生が願っているのは、元気に始業式を迎えることだけ!
これを言ってしまうと身も蓋もないですが、親が張り切って旅行に連れ出しても、毎日学童で過ごしても、それだけで夏休み明けの子どもが大きく変わることはあまりないんです(笑)。先生としては、病気や大きな怪我をせず、元気に始業日に登校できたら満点。あれこれ頑張ろうとせず、「普段よりちょっと特別なことをしてみる」くらいで十分です。いつもより少し夜更かししたっていい。ただし、朝はちゃんと起きること、提出物の期限は守ること。この2つだけは大切に。夏休みはその土台を守るサポートをしてあげてください。

東京学芸大学附属小学校教諭ぬまっち先生

ぬまっち先生(沼田晶弘さん)
東京学芸大学附属小学校教諭。「子どもはもっと自分で育つ」を信条に、子どもの自主性を伸ばす型破りな授業で知られる。著書『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』をはじめ、子育てや教育に関する著書多数。

写真素材/山岡大志、渡辺謙太郎 取材・文/増田奈津子 編集/鈴木貴子
*VERY2026年8月号「夏休みの毎日学童ってかわいそう?」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。
*本特集では、放課後の子どもの居場所全般を便宜上「学童」と表現しています。

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