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【不登校】もし、子どもが「学校に行きたくない」と言ったら?

不登校児のためのフリースクールとして長い歴史を持つ「東京シューレ」代表の奥地圭子さん。「不登校児を取り巻く現状は?」「親はどう寄り添えばいい?」「子どものための居場所は?」「進路は?」。不登校児を取り巻く環境の変化についてお聞きしました。

 

 

政府は「不登校は
問題行動ではない」と通知

--VERY世代が子どもの頃と今で変化はあるのでしょうか?

 かつては、不登校の原因は親が甘いからだ、と家庭のせいにされたり、基礎学力や社会性は家庭では身につけられないだろうと言われ、子どもを早く学校に戻そうとすることが多くありました。しかし、不登校の児童・生徒の数は現在も右肩上がりで増えています。政府は不登校をめぐる政策を見直す必要にせまられ、無理に学校に戻ることにこだわらなくてもいいというスタンスに変化しています。大きなきっかけは教育機会確保法が制定されたことです。政府は「不登校は問題行動ではない」と全国通知しました。学校復帰を促す政策から学校に行かなくても社会的自立を目指せる政策へと方向が変わってきています。

--子どもたちはどんな理由で不登校になるのでしょうか

 昔も今も、原因として多いのはいじめの問題ですね。長期休み明けの自殺が話題になっていますが、いじめでつらいから不登校になるのは当たり前のことで、無理に登校すると自殺する子も出てしまう。いじめはもちろんないほうがいいけれど、根絶するのは難しい。いじめのある学校に通い続けるよりも他の選択肢を探したほうがいいという方向にシフトしています。
また「理由のない不登校」というのもよくあること。人間関係もうまくいっているのに行けない。今の学校は部活の朝練、放課後も部活と長時間拘束され、さらに宿題や塾と詰め込まれるので、疲れてしまう子が多いことも原因の一つです。発達障害で、という話もありますが、発達障害が即不登校につながるわけではない。今の公教育はみんなでいっせいに何かをやらせるのがスタンダードなので、いろいろな特性をもつ子どもにとっては、合わせてもらえず、つらいところになりがちなのです。

 

ネットにより情報へのアクセスが
容易になった、が……

--今のお母さんたちは情報をつかむのも早いですね

 今はインターネットがあるので親が不登校について相談できる場所やフリースクールの情報にはすぐにたどりつけるようになりました。それはとてもよいことですがマイナスの面もあるのです。学校でつらいことがあって不登校になった子どもは自信や気力を回復させるまで時間がかかります。学校を休み始めてすぐに「こんな場所があるから行きましょう」と無理やり連れだすのは逆効果。学校にいけない自分はダメなんだとますます自信をなくしてしまいます。「学校に行きたくない」と言われたら、「今まで頑張ってきたんだから休んでもいいんじゃない」とお休みすることを認めてあげることが大事です。「お腹が痛い」「頭が痛い」といって休みたがることもあるでしょう。そういう身体症状が出るというのはかなり強いサインで、休んでいいとなるとホッとして、体調がよくなるケースが多いのです。そこであせって「もう治ったから行けるよね?」と迫るとまたぶり返すということもあります。

--学校の教室以外に通うにはどんな選択肢がありますか

 適応指導教室(支援センターなど名称は様々)やフリースクールなど多様な学びの場があります。今はフリースクールに通った日数も学校長の判断で出席日数として認められますし、通学定期券も出ます。日本は国が決める学習指導要領一本ですが、海外では、モンテッソーリやシュタイナー教育に代表されるような多様な学び方を選択できる国もたくさんあります。実際、その子に合った学び方をえらべるほうが長所や個性を伸ばしやすいのではないでしょうか。
子どもが学校に行かないと、自立できるのだろうか、このまま引きこもりになるのではないかと不安になると思いますが、いろいろな学びの方法があるという実例を知っていれば、方法は一つでないと気がつくはず。シューレのホームページでも各界で活躍している卒業生のインタビューを掲載しています。あれほど学校嫌いだったのに、スクールカウンセラーになって毎日のように学校に通っているという人もいれば、いじめでつらい思いをしたから、自分は弱い立場の人を助けられる人になりたいと大学院卒業後国連で難民の支援をしている卒業生もいます。

 

少子化の今、
大学進学の門戸も広がった?

--今後の進路についても不安が。受験に不利になりますか

 少子化で高校、特に私立受験の実情も変わってきています。以前は、出席日数を重視し不登校児を敬遠する私立校も多かったのですが、少子化の今、各校は生徒の確保に必死です。一部の人気進学校などを除きかなり門戸が広がっていますから心配はいりません。通信制の学校や不登校でも入学しやすい都立高校のチャレンジスクールも増えていますから、高校卒業資格を得たいということなら、まず問題はないでしょう。通信制なんて、という方もいますが、通信制は少ないスクーリングと決められたレポートを書けば単位の取れる科目も多く、最短の労力で高卒認定が得られるのがメリット。趣味の時間を確保したいから、とあえて通信制を選ぶ子も。勉強が嫌いだったのに、将来の夢のために進学したいと自ら大学進学を目指すようになる子も多いのです。不登校になってから、昼夜逆転の生活でゲームばかりと心配になる親御さんもいます。今ではバリバリ働いている人の中にも、不登校期間には引きこもってゲーム漬けだった人は多いです。不安になるお気持ちはよくわかりますが、疲れた心を休ませる期間をしっかり取り、お子さんの学びたいという意欲の回復を待つのが一番の近道ですよ。

 

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■学校に戻る、他の居場所へ……。「解決」への選択もいろいろ

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