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「お母さん漫画家」になる方法!編集者が教えるヒット作の視点と描き方

子育てコミックエッセイの
キモは「共感力」です

育児の「ルーティン」を
いかに独自の目線で描けるか

そうしてフォロワーさんが増えてくると、皆さん自然と「もっと上手くなりたい」と思われるようで、絵のスキルに磨きがかかっていくんですね。育児コミックエッセイのフォロワーさんは温かい方が多いので、そういった方たちとの交流も励みになるようです。

記録として自分のためにやっていた投稿が、フォロワーさんとのコミュニケーションが盛んになるうちに、「うちの子全然離乳食が進まなくて……」といった悩み相談の場になることも。フォロワーの方も「漫画家」というより、「自分と同じ子育てを頑張っているお母さん」という感じで見てくださっているのではないでしょうか。

私はコミックエッセイで一番大切なことは「共感力」だと思っています。特に育児というジャンルの場合、生活者としての目線がとても重要です。たとえば「おむつ替え」や「哺乳瓶の洗浄」といった、子育ての中で日々行われる「当たり前のルーティン」を、いかにその人独自の目線や絵柄で伝えるか、ということが面白さにつながっていきます。

描く·発表する敷居が低くなったことで子育てコミックエッセイが活況を呈している今、「育児あるある」だけではヒットが難しくなってきているとも言えます。差別化という意味でも、出来事を一般化(育児あるある化)してならしてしまうのではなく、ご自身の思いを大事にしながら表現していただくことが、フォロワーの獲得や商業デビューといった道にも通ずるのかなと思います。

──ではコミックエッセイ編集者の皆さんは次のヒット作を生み出すべく、TwitterやInstagramを日々〝パトロール〟している?

因田 毎日SNSをチェックして、編集部内で面白い方の情報は逐一、共有していますね(笑)。先ほど申し上げた通り、かなり作品が多くなってきている今、共感性だけでなく、その人独自のものが求められています。

そんな中で私がピンとくるのは、「時代性」を感じる人でしょうか。ツルリンゴスターさん※4を見かけた時はまさに「今だ!」と思い、お声がけさせてもらいました。子育ての様子を描いているんですが、ツルリンゴスターさんの作品は育児コミックエッセイとは言いづらいほど大人っぽい。「お母さんの前に〝自分〟だよね」と言われているような気がするというか、お子さんが主役であっても、「私は私のエッセイを描いているんだ」というスタイルに「今」を感じています。

ツルリンゴスター『いってらっしゃいのその後で』より

※4
ツルリンゴスター

『いってらっしゃいのその後で』で単行本デビュー。3児の母でありながらスタイリッシュな作風は、「育児」ジャンルを超える魅力が。
『いってらっしゃいのその後で』(税込1,210円)

 

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