from Doctor
不調を感じても子どもがなかなか訴えないのが“目”。健康診断でそのサインを受け取って!
教える人…
坪田一男先生
慶應義塾大学医学部眼科学教室教授
角膜治療の第一人者。レーシックなどの視力の治療とともに、近視予防の研究でも著名。著書に「あなたのこども、そのままだと近視になります。」(ディスカヴァー携書)など多数。
純さん(以下敬称略)我が家は小学生の子どもが二人。私も主人も目がいいし、いまのところ子どもたちも健康診断で近視の兆候はありませんが、視力って普段はなかなか変化に気づきにくそうですよね…。スマホやTVゲームに触れることも多いし、ある年に突然悪くなっていそうで心配です。坪田先生(以下名前省略)近視は遺伝だけでなく環境因子もあるので、日々の生活習慣も大切です。中でもいま近視の予防によいと注目されている習慣が、1日2時間、外で遊ぶことなんですよ。純え〜!視力と外遊びが関係しているんですか?我が家はスキーやアウトドアも大好きで外遊びを比較的よくする方かもしれません。先生そう、外で浴びる太陽光が重要なんです。大陽光はいろいろな種類の光から成り立っていて、例えば紫外線は、皮膚にはダメージになるけれど骨を丈夫にするためには必要だったり、最近話題のブルーライトも、体内時計を司る重要な光と認識されていますよね。
聞く人…
佐藤 純さん
VERYモデル
小学5年生の長男、2年生の長女の母。自身もご主人も視力が良く、現在子どもたちの視力低下指摘はないものの、日々スマホやTVゲームに触れる時間が長いのが心配の種。
純たしかに、ブルーライトをカットするメガネって、最近よく聞きますよね。先生さらに、最近の研究では、ブルーライトよりもさらに紫外線に近い紫色の波長光〝バイオレットライト〞が目の健康に役立つ可能性があることがわかってきたんです。純なるほど、それで、〝外で2時間遊ぶ〞なのですね?平日はなかなか2時間確保できないこともありそうだけど、日中部屋の中で日向にいるのではダメなんですか?先生窓ガラスは〝バイオレットライト〞を遮断してしまうので、窓を閉めているのはNG。また、一般的なメガネも紫外線とともにバイオレットライトがカットされてしまうので、バイオレットライトを透過するレンズのメガネを着用するか、もしくは裸眼で太陽の光をあびるのが良いといえます。純親としても家の中でゲームをしているよりは、外で遊んでほしいけれど、それが目にもいいとは知らなかったです!他に目の健康のためにできることって何かありますか?
先生やはり、いま注意したいのは、電子機器に触れるとき。子どももそれらと接触することが多くなっていますが、夜間の使用は体内時計を狂わすのでよくありません。また本やタブレットを見るときは、30㎝以上離して、良い姿勢を心がけて。純30㎝!子どもたちって、いつもスマホを結構近い距離で見ますよね。先生夢中になるほど近づいて見てしまう傾向もあるので、注意が必要です。またテレビを近づいて見るようになったら、視力低下のサインかもしれません。純なるほど……。健診って1年に一度しかないから、日頃から親が気づいてあげられると良いですよね。先生近視もほかの病気と同様に、早期発見が大切です。いまは生活習慣の見直しとともに、点眼などの治療も臨床研究でスタートしています。また目が悪くなってしまった場合、いまのお子さんにきちんと合う度数とサイズのメガネを使うことが重要なんです。純たしかに人のメガネをかけるのはとても良くないって昔から言われましたが……度数やサイズも本人に合っていることがとても大事なのですね。
眼科では目の緊張を解く点眼を行い、正しい目の状態から正確な度数を調べます。眼科でもらった処方箋を持ってメガネ屋さんに行きましょう。バッグ¥3,490(アメリカンホリック/アメリカンホリック プレスルーム)
先生あとは食生活。これはお母さんの心がけが特に大事ですね。私たちの研究室では栄養素と近視の研究もしていますが、まずは、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など、バランスのよい食事が大切です。純つまりは偏らずに……ということですね!先生はい。もし、健康診断で視力の低下がみられたら、とにかく一日2時間太陽の下で過ごすなど、日常の中で予防のために工夫する習慣が大切です。ぜひ焦らずに試してみてくださいね。純意外なところから始められる健康習慣、ぜひ子どもたちにもつけさせてあげたいです!