性犯罪被害のリスクは、
実は男女で同じ!?
のじま 『変質者の罠から子どもを守る法』(キャロル・S. コープ他著)によると小児性愛の性犯罪者1人が生涯のうちにいたずらする数は、200人以上というデータがあり、男女のリスクは同じ。しかも加害者が身近な場合も多く、勇気を出して親に言っても「あの人がそんなことするわけない」と否定してしまったり…。子供はもう二度と言えず、その後、精通や生理がきたときにパンツを隠したりする。
シェリー もっと辛いことがあったときも親に言えなくなってしまうと思う。男の子って、ペニスをふざけて見せたりしているから、大人に触られても被害者意識を持っていない子が多いと聞きました。
のじま 『アナと雪の女王』のハンスのように、いい人に見えても悪い人だっているんだよと伝えないと。それが、いざというときに身を守るセンサーになる。
シェリー でも保育園でもカンチョウしたり、キスしたり、遊びの延長でやっていますよね。
のじま ママは子供かわいさのあまり「いいじゃんキスくらい」と思う場合も。ママの胸を普段から揉んでいるから、先生のも揉んでしまう、これは「うっかり加害者」。性教育は被害者にも加害者にもさせないための教育です。
シェリー うちは「No means No」で、嫌よ嫌よも好きのうちじゃない、やめてと言ったらすぐやめることを厳しく教えています。3歳半の長女が1歳半の次女を抱っこしようとしたとき、「やーよ!」と言われたらやめようと。徹底していれば、うっかり加害者にならずに済むと思うし、性的同意の話にもつながるはず。あと大人ってよく子供をくすぐって、嫌だと言ってもやり続けることにモヤモヤして。笑っているからかわいいけど、相手が1歳だろうが35歳だろうが、嫌だと言ったらやめてあげる。やり続けるのはいじめでもセクハラでもパワハラでもあります。小さなことかもしれないけど、NOを尊重してあげることで、私のNOは効果があるんだと自信をつけられると思うんです。
のじま そうして育てば、NOを受け入れやすくなりますね。大きくなってセックスを拒否されても、「自分が拒否された」ではなく「今日はしたくないんだ」と受け入れられる。
鶴田 私もこちょこちょよくしちゃうけど、気をつけよう。
シェリー もう一回と言われたらやればいいと思う。「お顔見て、嫌そうな顔してたらやめて」とも教えています。年齢や性格によって、あと障害がある子は嫌だと思ってても言えないことがあるから。顔色を見るというのも大事なコミュニケーションツールだし、日本人が得意なことですよね。
鶴田 「性的同意」も、言葉が堅いですよね。日本は性教育に関しての語彙が少ないなと感じます。性的同意の話をするのはヨーロッパでも高学年だけど、そこまでコミュニケーションを積み重ねていて、差を感じています。たとえばデンマークでは、5歳の子供同士が喧嘩しても、大人が介入せずディスカッションで妥協点を探すように導く。性教育はコミュニケーションの教育でもあるので、こうした土台があるとすんなり入っていくし、特別なものと思われないんだとわかりました。相手を大切にする、尊重するということは徹底しています。