昨今の子育てにおいて〝子どもの自己肯定感を育む〟ことに関する情報が溢れる中、結果がすぐ出るわけでもなく、正解の見えないこのテーマは親として迷うところばかりです。決してブレず、気負うわけでもなく、子ども本来の姿を見守りながら「あなたはあなたのままでいい」を貫いてきたMattさんの母・桑田真紀さんの子育て法をお聞きしました。
※掲載中の内容はVERY2021年9月号(8/7発売)取材時のものです。
桑田真紀さん
ジェンダーレスや個性重視を具現化したような存在として話題を呼び、現在タレントして活躍中のMattさんの母であり、現在は彼のマネージャーも務める。夫は元プロ野球選手の桑田真澄さん。著書に自らの子育てについて語った『あなたはあなたのままでいい』(講談社)。
アーティスティックなメイク、デジタルを使った〝Matt化〟など、Mattさんの登場には誰もが驚かされました。自由奔放な彼の父親が、元プロ野球選手の桑田真澄さんであることも大きな話題となった反面、メディアに現れた頃はバッシングもかなり受けたそう。そんな状況下にもかかわらず、自分のやりたいことへポジティブに突き進むMattさんの姿は、むしろ清々しいとさえ感じてしまうほど。「特別な子育てをしてきたわけでは本当にないんです」。ご本人はそう言いますが、子どもと向き合うことを怠らず、口を出さずに、いつだって我が子の応援団長でいることって簡単なようで難しいことですよね。そんな桑田真紀さんのお話から見えた9つの心得とは?
1
ひとつのことを無理にやり通させない
「ひとつのことをやり通すことは美談と思われがちですが、もし、子どもが嫌々やっているとわかったら、親が才能を感じたとしても潔くやめることも大切。高校時代、吹奏楽部に所属していたMattの場合、顧問の先生に注意されるほど、楽器を替えたいという彼のリクエストに応じてきましたが、その結果出会えた楽器が今も続けているサックス。無理に続けさせるより、まわり道しても好きなことを見つけてあげる方が有効だと思うんです」
2
気持ちは言っても意見は言わない
(口を出さない)
「日常生活の中でも『大丈夫かな?』と思う場面はいくらでもありますが、子どもの考えや行動に〝口を出す〟のではなく〝口に出す〟。親だって人間、すべてが正解を言えるわけではないので、不安な気持ちを〝口に出して〟子どもと一緒に考えてみることをしてきました」
3
先回りしない
「子育てを通して実感したことは〝先回りは遠回り〟。大人の経験値から先回りして、つい答えを出してしまいがちですが、そうすることで本来するはずの失敗や経験がすっぽり抜けてしまうし、考えるチャンスを失ってしまう。結果、子どもの成長機会を奪ってしまうことにもなるんです。つい先回りして手助けしてしまう親心は痛いほどわかりますが、ぐっと我慢して陰から見守ることが、子どもの成長に大切なことです」
4
親が答えを出してあげない
「答えって親の欲ですよね。悩んでいる子どもの不安を聞いて導く作業は手間がかかりますが、〝自分で決めた〟という体験をさせてあげないと親のせいにしがち。子どもって自分で決断したことには歯をくいしばって頑張れる。自分で決める力を育むことで、責任感や強さも生まれます」
5
「頑張れ!」と言わない
「子どもと親はあくまでも別人格。ましてや所有物ではないので、『こう生きてほしい』と親が考える理想を押し付けることは親のエゴだと思うんです。親が思う方向に進まないことで、ストレスを向けることがいちばん注意したいこと。強制的な『頑張れ!』ほど、子どもの重荷になることはありません。子どもが何に興味があるか観察しながら見守り、子どもが必要とした時に必要な形でサポートをする。ヤキモキすることだらけですが、子育てって本当に忍耐が求められるものと感じます」