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いよいよ最終章!話題のドラマ『銀河の一票』プロデューサーに聞く“女性と政治”を描いた理由

関西テレビドラマプロデューサー佐野亜裕美さん

回を重ねるごとに話題となっているドラマ『銀河の一票』。数々の話題作を手掛けてきた佐野亜裕美さんが、お子さんを産んでから初めての作品は、都知事選当選を目指す女性たちが主人公。撮影中の多忙な中、インタビューに伺いました。

人気プロデューサー
佐野亜裕美さんに聞く
今、女性と政治を
ドラマ化したい理由

放送後、投票率を0.1%でも上げたい
回り道のようでも、
政治の話をもっと身近に。
そんな想いでドラマを作っています

関西テレビドラマプロデューサー佐野亜裕美さん

ーー4月からの新ドラマで、都知事選に挑戦する女性を描かれています。佐野さんが企画書に書かれたという「政治は生活」という言葉。この言葉に出会った印象的な出来事があったそうですね。

2020年にロサンゼルス郊外に留学してホームステイしていました。ドイツ系移民の母親と中高生の息子が2人というごく普通の家庭にお世話になったのですが、食事時に自然に政治の話をするんですね。「選挙が近いから?」と聞いたら「普通に政治は生活だから、ただ話してるだけ。なんでそんな質問してくるの?」と。えっ、自分が高校生の頃に親と政治の話をしたことがあったかな?と思ってびっくりしたんです。同時期に、台湾に住む知人が「選挙だから母国に帰国する」と言っていてそれにもまたびっくりして。日本の政治リテラシーや関心の低さは実感していたけれど、こういうふうに身をもって感じると余計に印象的でした。

そもそも、政治や選挙の話は友人との話題としても避けられるし、飲みの場でも避けられる。テレビドラマのテーマとしてもあまりやる人がいない気がします。やる人がいないということは、そこに何かアンタッチャブルなものがあるということ。でも大体アンタッチャブルなものって、触れたら面白いじゃないですか。それで調べてみようと思い、勤務時間外にいろんな選挙活動にボランティアとしてビラ配りに行き始めました。すると、選挙に関わる人たちがすごく面白かった。さらに選挙のことも知らないことだらけ。知らなかった世界を知るのがエンターテインメントの面白さでもあります。選挙はドラマにできる!と思いました。

 

ーー政治や選挙がテーマのドラマはあまりやる人がいない、ということでしたが、テーマとしてリスクがあるなど反対はされなかったのでしょうか。

カンテレが懐の深い、色々と面白がってくれる社風なので。それに、リスクを意識して萎縮した結果、結局毒にも薬にもならないドラマになるのが一番嫌でした。

 

ーーそのなかでもなぜ「都知事選」だったのでしょう?

なんとなく政治や選挙に対する世間の興味関心が上がってきた空気があるなか、前回の2024年の都知事選が結構エンタメ的でしたよね。実際に選挙期間中、ある候補者のSlackに入れてもらい、動きを見せてもらって。早朝から深夜までチームで動き続け、本当に手作り感があってお祭りみたいで、ドラマ作りに少し似ているなと感じたんです。あの盛り上がりを見たのは非常に大きかったです。

 

ーーお子さんが生まれたことで、ドラマ作りへの影響はありますか?

この先、子どもが生きる日本がどうなるかを考えるようになりました。我が子が日本で生まれている以上、この国がこれ以上悪くなってほしくない。投票は10年後の未来のためにするものだと思うから、真剣に向き合うようになりましたね。

関西テレビドラマプロデューサー佐野亜裕美さん

ーー作品内で「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という言葉も出てきます。

脚本家の蛭田直美さんにオファーした時に、政治にも選挙にも興味がないと仰っていて、果たして自分が書けるかどうか…という期間がありました。でも蛭田さんは宮沢賢治が好きで、この言葉をテーマにできるなら書けるかもしれない、と。そこで生きる人たちを幸福にするために存在するのが政治。この言葉を軸に、皆で同じところを向いていけるはず、とオファーを受けていただきました。

 

ーードラマはまさに放映中ですが、見どころは?

5話で、子どもを育てながら政治家を務める大変さについて描きました。小1の壁についても触れています。「お子さんが小学生になったら、政治活動はもっとできますよね?」という主人公(黒木華さん)の台詞があるのですが、黒木さんご自身からも「この台詞、ちょっと冷たいですよね?」と質問があったり。子育てと仕事の両立のエピソードは、自分の生活実感から生まれたものでもあります。子育てしながら仕事をするというのは、大変とはちょっと違う、“面倒なこと”がたくさんあることとか。いっぽうで子育てから力をもらうことも多々あります。私も今、子がいなかったらできない早起きをして、自分の分も含めてお弁当を作っています。ただ、子育てしながらプロデューサーをしている女性は決して多くない。せっかくそういう立場になったので当事者だからこそ実感できることも描けたらいいなと思っています。

 

ーー子育てしながらのプロデューサー業も半年経ちます。

撮影場所も時間もまちまちだし、平気で2、3時間押したりするので大変ではありますね。ただ、プロデューサーは現場にいなくても「今日はお迎えが」と帰ることもできる。いっぽうでカメラマン、監督など必ず現場にいなければならない人は親のヘルプやシッターさんにお願いしている場合が多いです。今の私はなんとか夫と回しています。いずれにせよ、後輩に「出産してもなんとかなるんだな」と思ってもらえる現場作りはしていきたいです。

 

ーー今はどんなスケジュールなのでしょうか。

一度撮影に入ると遠洋漁業に出たようなもので、休みは基本ありません。このまま6月末までどうにか走り抜けます。親は遠方なので、同業の夫となんとかやりくりをするしかありません。その代わり、7月は1カ月休むと宣言しています。

 

ーー「政治ドラマ」が流行ることで、政治の話題が身近になるでしょうか。

以前は私も政治に全く興味がなかったから、上から目線に何か言うつもりはありません。「日本はこのままだとまずいから、海外脱出できるようにしなきゃ」とすら思っているくらいでした。でも自分一人だったらあと数十年逃げ切れればよくても、子どもは逃げ切れない可能性の方が高い。だからこそ、この国で生き延びていくために少しでも環境を良くしたい、社会を良くしたい気持ちがあります。手遅れだなと思うこともたくさんありますが、でも結局その手遅れを放置した結果、今があるわけです。少しでも今からできることをやりたいと思っています。そのためにも、政治を語るハードルがちょっとでも下がればいいと思っています。

 

PROFILE

佐野亜裕美さん
1982年生まれ。ドラマプロデューサー。東京大学卒業後、TBSを経て関西テレビへ。『エルピス-希望、あるいは災い-』『大豆田とわ子と三人の元夫』『カルテット』など話題作を手掛ける。2歳女の子のママ。

スマホに映った佐野さんの娘さん

「普段は夫と協力して何とか回していますが、そんな夫が3月末に海外出張予定(インタビューは2月末)。撮影も宣伝も佳境の頃なので、正直どうなるか…。ただ、子どもはごはんがあれば基本ハッピーな人。とても救われています」

Information

ドラマ「銀河の一票」のビジュアル

『銀河の一票』月曜夜10時~、カンテレ・フジテレビ系全国ネットで放送中。TVerでも配信。政治家の不正告発をきっかけにすべてを失った秘書(黒木華)が、政治素人のスナックママ(野呂佳代)を都知事候補に担ぎ出す。選挙の裏側と人間模様を描く政治エンタメ。

撮影/吉澤健太 ヘア・メイク/Hitomi〈Chrysanthemum〉 取材・文/有馬美穂 編集/中台麻理恵
*VERY2026年6月号「今、女性と政治をドラマ化したい理由」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のもので、変更になっている場合や商品は販売終了している場合がございます。

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