話しづらいからと先送りにせず、元気なうちに生前整理をはじめるからこそ明るく前向きに向き合えるはず。お金の整理について、専門家からアドバイスをいただきました。

❝一番必要になるもの。
まずは〝何かあったとき〟用に
100万～200万円用意できるように❞

認知症などで財産管理能力を喪失した場合、弁護士や司法書士などが後見人となり、代わりに財産管理などをする制度。ですが、「子どもでも親の預金を引き出せない」「本人のためでも自由にお金を使えない」「途中キャンセルできない」など、多くの不満の声があがっています。

「お金」のことを自分だけこっそり相談すると、親から警戒されたり、きょうだい間のトラブルの原因になることも。財産狙いではなく、「何かあったときに、お父さん、お母さんをしっかりサポートしたいから」ときょうだい全員で話し合い、気持ちを伝えることが大切です。

病気や事故など命に関わることは、待ったなしなので、慌ただしく、気持ちも焦って、いろんなことを決めなければと思うかもしれません。しかし、すぐに成年後見人の手続きをしないようにしましょう。状態が落ち着き、成年後見人をつける必要がなくなる場合もあります。

突然何か病気や事故があったとき、親の資産が凍結され、家族が引き出すのが難しくなる可能性があります。親の財産を子どもが使える準備が必要。銀行によっては家族が代理で使える「代理人カード」「家族カード」を作ってもらえます。通帳の届出印も確認して。

親のお金が引き出せない、足りないとなれば、最終的に子どもが費用を負担することに。だからこそ、親には「子どもに負担がかかるかもしれない」と伝えておくことが大切です。親孝行の気持ちを込めて、上から目線にならず、食事やお酒を楽しみながら、リラックスした雰囲気で少しずつ。一度で決めようとせず、時間がかかる前提でゆっくりと話し合いましょう。

子どもが親の介護をすると、肉体的な負担や金銭的な負担がかかってきます。介護費用は、在宅(家族が介護する場合と、ヘルパーに依頼するのとでは金額が変わってきますが)で月1万円〜、民間施設なら月15万円〜、都内なら月25万円〜です。民間施設の入所期間を5年、月15万〜25万円で計算すると、合計900万〜1,500万円に。親子で情報を共有して、費用をどうするか相談しておきたいところです。