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【ブギウギに出演中】菊地凛子さんが人生で2回もハマった<推し>とは?


母になり生活リズムや優先順位が変わっても、ずっと大切にしている好きなことについてインタビューする連載「オトナになっても好きなこと」。本誌10月号には、俳優・菊地凛子さんが登場。幼少期から心酔する「香り」ついて伺いました。ウェブでは、日常のファッションやメイク、“推し”のこと、そして40代の現在地について語ってくれました。

40代。あとどれくらい役を演じられるだろう

― 映画『658km、陽子の旅』、素晴らしかったです。熊切監督との対談の中で、「自分の人生もパートナーを得て、子どもをもっていろんな風に変化しているのに、仕事のあり方は変化が来なかった。その矢先のオファーだったので、迷わず陽子の役を受けた」とおっしゃっていましたね。
40代は色んなことがわかってきて、上手に力も抜けるようになって、女性として一番面白い時期だと自分では思っているのですが、“役柄としては”少なくなっていくんですね。あとどれくらい“さまざまな役”を演じられるんだろう、と考えていた時期だったんです。そんな時にいただいた陽子の役は、前も後ろも向けない、ただ立ち止まってどうにもできない日常を生きている43歳の女性でした。一見特異な人に思えるんですけど全然そんなことはなく、身動きが取れなくなる瞬間は多かれ少なかれ誰にでもあると思います。もちろん私にも。多種多様な人、生き方が受け入れられる社会を願っているし、私自身属性にとらわれないさまざまな役を演じられたらと思っている中で、陽子に出会えたことは嬉しかったです。
 
 
― 映画を拝見して思ったのは、何歳になっても人は変わっていけるということでした。
陽子の立場で言うと、人生で1番向き合いたくないショッキングなことと向き合って、少しずつ再生の道に入っていくんですよね。本誌でもお話ししたように、辛い経験、苦しい経験が人を変えることもあるのだと思います。自分の実人生も、悔しい経験とか恥ずかしい思いをしたことで、“自分にはこれしかできないな”とか“自分はこんな人間なんだな”って受け止めて、少しずつ前を向いてきたんだなと思い返しました。
 
 
― 女性は年齢で“節目”を語ることが多いと感じるのですが、菊地さんはどう思われますか?
年齢にとらわれているわけではないけれども、節々で考えなきゃいけないタイミングはやってくるなとは思います。インタビューでも“40代になりましたが〜”と前置きされることも増えて、その度に考える機会が訪れるので(笑)。とらわれてはいないけれど、体力的にどうしても大変なことはあります。以前は大丈夫だったスケジュールが、たまにしんどくなったりして。
 
 
― 日頃、オン・オフは意識されていますか?
よく聞かれるのですが、オン・オフがほとんどないんです、私。無理に線引きをせず、ずーっとそのまま流れていく感覚が自分には合っていて。 “合間に”台本を覚える、“合間に”洗濯物を終わらせて夕飯の下ごしらえしちゃおうみたいに、子どもと向き合う時間の“合間”をうまく使って、一つ一つをこなしています。ちょっとした切り替えになっているとしたら、やっぱり「香り」かな。車で子どもを送って降ろしたあと、一人になった車内にシュッとするのが気分転換になっています。
 
 

選ぶのは“お母さんとしても着られる服”

 
― 子育てをしていると、「時短」や「上手に手を抜く」という言葉に触れることが多いのですが、菊地さんが生活の中でこれらを思い浮かべることはありますか?
プライオリティは子どもなので、自分のことはやっぱり時短型になりますね。丁寧にスキンケアをして髪を整えて……という時間が十分には取れないから、手軽にチューニングできる香りがもっと好きになったのかもしれません。バタバタする朝は日焼け止めを塗るのが限界。日焼け止めを塗って、お気に入りのメガネをかけて、子どもを送りに行きます。あとは、いつだってジュエリーです。服もとにかくシンプルになりました。
 
 
― 今日のファッションもとても素敵です。現時点でたどり着いた定番のスタイルは?
全身白か全身黒、たまにジーンズ…かなあ。ブランドだと「ATON(エイトン)」が好きですね。生地にも形にもしっかりとこだわりが感じられるのに、いい意味で邪魔をしない。バッグはかわいいものを持ちたいので毎日楽しみに選んでいるのですが、エイトンの服はどんなユニークなバッグも受け止めてくれます。そのまま公園にも行けて、自分で適度に洗えて、管理ができる服。 お母さんとして着てもいいし、普段着として着てもいい、その着地点はいつも狙っているかもしれないです。
 
 

人生で2回もときめかせてくれるなんてすごい

 
― ひとりの時間ができたときは、何をして過ごされますか?
最近は、出張先で“ひとりグルメ”をするのにハマっています。連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)の撮影で大阪へ出張に行っているのですが、夜にひとりで中華屋さんを訪れて、餃子をおつまみに冷たいビールを飲んだのが、いい気分転換になりました。独身のときは、ひとりでご飯を食べに行くなんて寂しくてできなかったから、家族ができて初めてわかった楽しみ方かも。
 
 
― 連載のテーマ“オトナになっても好きなこと”として、「読書」も挙げてくださいましたね。
本を読むのが大好きなんです。でも最近のことを思い返すと、子どもが寝たあとに本を読もうとしても3、4ページを読んで寝てしまうこと日がほとんどなので、自分のハードルを上げてしまうな、と(笑)。昔はどんなに分厚い本もリュックに入れて持ち歩いていたのに、子どもの荷物が多いから、どんどん減らす努力をしてしまいますね。本を読む時間、映画を観る時間を確保するのは大変だなあと日々思います。
 
 
― 映画を見るとしたらどんな作品を?
とくに海外作品を観るときは仕事モードになってしまうので、バケーションのときにだけ観ることにしているんです。でも、トム様は別です。トム・クルーズ様です(笑)。小学生の頃に『トップガン』で心を奪われ、第一次トム様ブーム。それからヨーロッパ映画などにはまり20年以上心から去っていたのですが、先日またブームが到来しました。“推し”ですね。きっとみなさんあると思うんです、ブームが来ることって。でも2回は来なくないですか?トム様は2回もときめかせてくれたんです、そこに驚いています。
作品に気持ちが引きずられることもある、それも作品として素晴らしいのですが、トム様の作品は爽快で、いつ観ても元気が出る。そういう作品に救われることがあります。
 

菊地凛子さん

俳優。映画『バベル』(2006)で第79回アカデミー賞にノミネートされて以降、様々な海外作品に出演。『658km、陽子の旅』では主役の陽子を演じ、上海国際映画祭で最優秀女優賞に輝いた。10月から始まった連続テレビ小説『ブギウギ』では、淡谷のり子がモデルとなった歌手を演じている。二児の母。

トップス¥64,000(ジア ストゥディオス)オールインワン¥30,800(セピエ)/ともにガリャルダガランテ青山店

撮影/佐藤航嗣 スタイリング/小嶋智子 ヘア/北田大貴 メイク/中村了太<3rd>
取材・文/藤井そのこ デザイン/Permanent Yellow Orange 編集/城田繭子

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