とにかく自由! 開成生のファッション
──開成には厳しい校則がなく、髪型や服装も比較的自由なようです。
ぎん太 学年で「スマホの使い方のルールを決めよう」と話し合うようなことはあるのですが、校則自体はとても少なくて「制服を着なさい」「外出するときは届けを出しなさい」といった程度です。髪を染めてはいけないなどといった厳しい校則はまったくありません。着替えが面倒らしく、制服の下にパジャマを着てくる奴もいます。朝起きたらパジャマの上に制服を羽織ってそのまま出てくるらしいです。制服はありますが、上にパーカを着てくる人もいるし、本当に自由ですね。
校長 詰襟に黒ボタンの制服に誇りを持っている生徒が多いから、なかなか制服をなくそうという話にはならないんだよね。
ぎん太 体操着も指定がなくて、白を基調にしていればいいという程度の決まりなのでユニクロで買えば十分という人が多いです。だから服装にはお金があまりかからなかったですね。運動会のときはチームカラーのTシャツを作ります。運動会後、先輩たちが後輩に着ていたTシャツをくれることが多いんですよ。運動会は8チームに分かれて闘います。運動会後の体育ではみんなそれぞれ先輩にもらったチームカラーのTシャツを着ていて、体育の授業風景がやたらとカラフルになります。
柳沢 学校ではみんなのびのびと過ごしているから、牧場の放牧みたいな感じで、気が付くと外に出ようとする生徒も多くて。柵を乗り越えそうなやつはちゃんと中に戻すんだけど……。避難訓練の時など、点呼して誰かがいないとなると大変だから、「外出してもいいから届けは出しなさい」と口を酸っぱくして言ってるんですけどね……。
男子校の恋愛事情は……?
──ぎん太さん、目が泳いでいるのはなぜですか(笑)。開成の恋愛事情も気になっています。
ぎん太 どうなんですかね。高校入試で入ってくる場合、塾や中学で出会いがあるみたいで、彼女がいる子も一定数いるんです。それ以外は本当に出会いがほとんどない。それでもあきらめずに相手を探す子もいますが、「別に興味ない。大学入ってからでいいや」と諦めている子が大半かもしれないです。
柳沢 どうしてもガールフレンドが欲しいというなら、自分で探せばいい。高校から入ってくる生徒に紹介してもらったり、文化祭に行ったり自分でつてを探せば方法はいくらでもあるよね。
自分の進路は自分で決める
──開成の生徒は、将来の進路についてはどのように考えているのでしょうか。
柳沢 進路指導で聞くのは本人の志望校だけです。開成の生徒ってものすごくあまのじゃくです。教師が「君はこの学校を受けなさい」なんて言ったら、それと全く反対のことをしてやろうと思うかもしれない。生徒たちの多くは皆、自分で最終的な進路を決めます。こちらが何も言わなくても、あるクラスでなぜか、東大の理Ⅲを志望する生徒が続出したという年もありました。
──学校によっては「君は理系に行け」「この大学を受けろ」と言われることがあると聞きますが……。
ぎん太 それはないですね。仲間内で「お前は文系。そっちは理系だな」なんて話すことはありますが、親や先生から、この学校を目指せと言われたことは全くないです。先輩とのつながりが強いので、卒業した先輩たちの進路もよく話題に上りますし、実際にOBのいる大学を見に行く機会も多いんです。僕自身もそうやって「あの大学に行きたい」と志望校を決めたところです。クラスの仲間同士、普段の行事や部活、生徒会活動などに全力投球しながら、だんだんと受験に向けて盛り上がっていく。そんな雰囲気になっています。
(後編はこちらから)
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偏差値40台から開成合格! 自ら学ぶ子に育つ おうち遊び勉強法
(ぎん太・著)講談社
開成学園に通う現役高校生が、実体験をマンガで描いた、今までにない斬新な教育本!WEBサイトにて、累計600万PV超の大人気連載、待望の書籍化!!
作者のぎん太君は、小さいころから落ち着きがなく、人に迷惑をかけてばかりの問題児。将来に不安を感じたお母さんが編み出した、「遊びながら自然と学べる独自の教育法」で、メキメキと才能を伸ばし、ほとんど塾に行かずに自宅学習で開成中学に合格!
ぎん太君のお母さんの「勉強法」とは、「なるべく机に向かう時間を短く!」「なるべく楽しい方法で!」という信念の元、しりとり、カルタ、パズル、歌など、楽しい遊びのなかに、知的好奇心を刺激されるような、工夫や仕掛けを施すもの。幼少期から、中学受験まで、年齢問わずアレンジしながらずっと使えるテクニック満載の一冊です。
ぎん太さん
開成高校在学中の現役高校生。家庭での学習法や塾にほとんど行かずに中学受験した経験を公開し話題に。現在、with online(講談社)にて「賢さ控えめ開成ボーイぎん太の家族とおうち勉強法」を連載中。公式ブログ「ぎん太の家族と、おうち勉強法と開成生活」
柳沢幸雄先生
東京大学名誉教授。北鎌倉女子学園学園長、前・開成中学校・高等学校校長。開成高等学校、東京大学工学部卒業後、日本ユニバック(現日本ユニセス)勤務を経て、東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻修士・博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、併任教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て、2011年から開成中学校・高等学校校長を9年間務めた後、2020年より現職。
取材・文/髙田翔子