東京からそこまで離れていない土地で、子育て移住にトライする家族が増えています。今回は、VERYモデルの原田夏希さんをはじめ移住したママたちにお話を伺いました。
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都心から完全には切り離さないくらいがちょうどいい。
我が家はただいま、
子育て移住トライ中!
昨年の3月から静岡に移住。
送迎祭りの日々から
シンプルな生活へシフト
東京→静岡
俳優 原田夏希さん(7歳、5歳、3歳のママ)の場合
夫の働き方に変化が生じてきた頃、子育ての環境や今後を見直すいい機会だと思い、夫婦で話すようになりました。3人の子どもたちの、パズルのようにはめ込まれた習い事のスケジュール、それに伴う送迎や移動の多さに疲れていたのも事実で…。その上、受けられる教育や習い事は質の高いものを探せばキリがなく、常に迷っていたんです。そんな時、夫から「もっとシンプルに考えられたらいいのかもね」と言われ、ハッとしました。そこから、「もっとのびのびやれる方法があるんじゃないか」と考えるように。それまでは地方で暮らすという選択肢はなかったけれど、夫もどこでも仕事ができる状況になり、いつか地方で暮らしたいと話していたこともあってトントン拍子に話が進み、私の地元、静岡に移住することになりました。
当初は子どもたちがお友達と離れ寂しく思わないか?すぐに慣れるだろうか?などと心配していましたが、毎日学校や幼稚園から早く帰ってくるため細かな様子を見られて安心しました。静岡に来てからは「今いる環境を活かそう!」をテーマに、習い事もあれこれ詰め込まず、送迎や移動も短く、限りなくシンプルにと心がけています。最低限のことをやれば、あとは遊んで暮らせばいいのだと、私自身がゆとりを持って考えられるようになりました。その分家族の時間が増え、自然の中でのびのびと充実した日々を過ごせています。静岡は川や海が近くて、公園や運動施設も広大。そしてどこも空いていることが多いのが嬉しい。昼間、末っ子と川や公園で遊んでからお姉ちゃんたちのお迎えに行く、というように過ごしています。
夫もこちらでの生活がすごくマッチしているようで、新たな発見でした。不便なことと言えば…愛用していたフードデリバリーがない(笑)! なので、食材のストックを欠かさないことが最重要事項。スーパーに行く頻度は多くなったと思います。私はというと、仕事はセーブしながらも変わらず続けられていて、月に2、3回は新幹線で都内に向かいます。新幹線に乗ったら気持ちを切り替え仕事に専念。合間には友人に会ったり、ヘッドスパや美容室など予定を詰め込みます。おかげで、美容やお買物は変わらず好きなところに通えています。「だめだったら東京に戻ろう」と手探りで始めた移住ですが、今はこの生活が心地よく、我が家にフィットしていると感じます。時間にも余白が生まれて楽になったし、なにより子どもとゆっくり過ごす家族時間が増えたことが、私たち夫婦の大きな収穫です。
程よく都会で海が目の前、
街全体が家族のよう。
息子はサーフィンを教わっています
東京→鎌倉
主婦・小郷梢さん(4歳男の子ママ)の場合
息子が生まれてから、「いつか空が広い水辺に住みたいね」と夫と話していました。そこで試しに物件を探してみたところ、奇跡的に海から徒歩1分の物件を見つけて一目惚れ。内覧もせずに決めました。ちょうどコロナで夫がリモート勤務が増えたのも、大きなきっかけでした。鎌倉に住み始めて早3年、あれよあれよと友達ができ、近所の人はみんな顔見知り。子連れで公園で出会ったらもう友達、というオープンマインドな人たちが多く、とても楽しい場所です。
幼稚園のお迎え後は海や公園、自宅で子どもと一緒になって遊んでいます。また、海辺では子どもを自由に解き放って遊ばせてあげられるのも嬉しいです。夫とは、息子が興味を持ったものを一緒にやりたいと話していて。最近はサーフィンやスケボーを近所の得意な人に教えてもらったり、とにかく自由にたくさん遊ばせることが一番大切だと感じています。鎌倉に来て驚いたことは、ゴミの分別が細かく決まっていること。多少不便ではあるけれど、ゴミを減らす生活や意識が芽生え、豊かな暮らしに繋がっています。
また、リサイクル文化が根付いているので、定期的にバザーが開催され、不要なものを必要な人にまわし、循環させている。ゆったりと流れる自由な時間と、美しい景色、親しみやすい人が魅力で、住めば住むほどよさを実感しています。移住をしてみたいけれど躊躇している方に伝えたいのは、しない理由を考えるとたくさん出てくるもの。とりあえず動いちゃうのが吉!難しいと感じたら戻ればいい、くらいで考えてみるのがおすすめです。
夫は毎週新幹線通勤。
ワンオペは増えたけど“ご機嫌ママ”
になれて、子どもも楽しそう
東京→軽井沢
会社員・古山茉莉乃さん
(4歳と2歳男の子ママ)の場合
私自身、自然が大好きで、都内で暮らしていた頃も公園の目の前に住み、仕事や子育てのリフレッシュに散歩をする日々を送っていました。ただ、どこか物足りなさや窮屈さを感じていて。「心も体も豊かに過ごせる場所がもっと他にあるかも?」「子どもたちには感性の土台を作る幼児期こそ、のびのびと過ごしてほしい」そんなことを夫と何度も話し合っていた頃、軽井沢の森の中にある幼稚園にご縁があって入園できたことが、移住の後押しになりました。
独身時代から「いつか子どもができたら通わせたい」と思っていた幼稚園だったので、迷わず引っ越しを決意。唯一気がかりだったのは、夫の出社と私のワンオペ。夫は週2回の在宅勤務を除き、基本的には出社しているため、私は週3日、完全にワンオペになりました。ただ、蓋を開けてみれば同じ園に通う家庭の8割以上が移住者で、親同士で助け合いの文化が既にできていたのです!ママ友がお迎えに行ってくれてそのままお風呂に入れてくれていたり、一緒に食事をとることも。みんな近しい教育意識を持っているから、価値観が合いやすくすぐに仲良くなれました。
大人になって本当に仲の良い友達と呼べる人ができるなんて想定外でした。軽井沢駅の方に行けば、雰囲気の良いレストランや施設も多くあるため、都内が恋しくなることもあまりありません。肝心の子どもたちは本当に楽しそうで。毎日が夏休みのようだと言ってくれています。大雪の日でも外で遊ぶ姿は逞しく、風邪もひきにくくなりました。私も美しい自然の中でゆったり過ごせているため、いつも笑顔で過ごせています。
都心まで1時間の距離感もちょうどいい。
人生初のご近所づきあいを楽しんでいます
都心→東京郊外
栄養士・吉田朋子さん(6歳男の子ママ)の場合
我が家の場合、今も東京在住なのは変わりないのですが、息子の転園を機に都心と都心から1時間ほどの郊外との2拠点生活を始め、その後本格的にこちらに引っ越しました。もともと、幼少期からずっと都心で過ごすってどうなんだろうと疑問を感じていて。そんな時に出合ったのが、今の幼稚園。自然豊かで国際的、広大な敷地が素晴らしく、「ここだ!」と思ったんです。夫は出社があるため都心暮らしのまま、息子と私は園の近くに仮住まいし、土日のみ1時間かけて夫のいる家に戻る生活をしていました。仮住まいをしてみると、自然が豊かで周囲の目を気にせず遊べる環境がありました。その後大型犬を飼ったこともきっかけとなり、仮住まいをやめ一軒家生活をスタート。
最初は漠然と不安でした。孤独になるのでは、友達もいないしと。ただ住んでみたら、ご近所の方々の優しさに触れ、人生初の“ご近所づきあい”を楽しんでいます。ご飯をお裾分けしてくれたり、畑仕事をお手伝いしたり、庭でカブトムシを捕らせてもらったり、経験できなかったことがたくさん。以前は「危ないからやめて」と注意することが多かったのですが、笑顔が増え、家族の結束も強くなりました。やや離れたスーパーに行けば大量に買い込むので、夫についてきてもらったり。今は現状が最適解だと思っていますが、今後もいいと思った方向に柔軟に変えていくつもりです。
撮影/上村透生(原田さん)、五十嵐洋〈静物〉 取材・文/島田有香 編集/本間万里子
*VERY2025年2月号「我が家はただいま子育て移住トライ中!」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。