推薦者・谷尻直子さん
『いのちを呼びさますもの -ひとのこころとからだ-』稲葉俊郎

“「私一人が頑張っている」と感じていた時、その気持ちの怒りに任せない伝え方を知った”
心臓の専門医である稲葉先生は、患者の体だけではなく、心や命そのものとも向き合っています。『いのちを呼びさますもの』のなかの、〝感受性の高さは脆さや弱さにもなるけれど、どう捉えるかで対応が大きく変わる〟という言葉から始まる一節が、息子が1歳半になった頃の私にズシンと響きました。当時、仕事も子育ても家事も〝全部一人で頑張っている〟という感覚に陥っていた時に、憤りをただ怒りの感情として夫に〝ぶつける〟のではなく、自分で原因や感情をちゃんと咀嚼してから、理解してもらえるように〝伝える〟という考え方をこの本から学び、心がスッと軽くなりました。ただがむしゃらに無鉄砲に頑張らない、まずは相手にわかってもらうことを頑張ってみる。そんな〝頑張りどころ〟の正しい場所を示してくれたのです。
谷尻直子
料理家。渋谷区富ヶ谷で毎週金曜日だけ営む予約制レストラン「ヒトテマ」を主宰。近著にそこでのレシピを収めた『HITOTEMAのひとてま』(主婦の友社)がある。長男は4歳。