推薦者・申 真衣さん
『食べ物連載 くいいじ』安野モヨコ
“大変な時こそ、笑いに変えようと思えた一冊”
娘を産んですぐの頃、ご飯を食べるのもままならず、台所で卵かけご飯を立ち食いし(笑)、そのまま倒れて寝る、という生活を送っていた時に、昔読んだ『食べ物連載 くいいじ』を引っ張り出しました。その中の「超!時間がない時の非常食」という、たった1ページのコラムを思い出したのです。漫画家である著者が締切りに追われ、ご飯も食べる時間がない最中に編み出したのは、とにかく〝そのまま食べる〟という手段。ゆで卵立ち食いin台所、豆腐に塩、ミニトマトやバナナをそのまま頬張る……。ご飯も椅子に座って食べられない日々に落胆していましたが、〝こんな毎日もあり!〟と笑いに変えてくれたこの本に当時とても救われました。歯切れのいい言葉と軽快なリズムの中にも、くだらない日常をきちんと愛でている文章に触れたくなり、今もよく読み返しています。
申 真衣
会社役員、VERY読者。本誌6月号の特集で大々的に登場して以来、読者から〝もっと見たい!〟の声が続出。大学卒業後、外資系金融会社を経てベンチャー企業の役員を務める。長女は3歳。