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【養子縁組について聞きました】ある漫画家夫妻の『うちの子になりなよ』からの7年

8歳の男の子と4歳の女の子、2人の子どもがいる吉泉家は毎日とても賑やか。血縁のある親子と何ら変わりない、とても幸せで満ち足りた日常がそこにはあります。ただ、養子縁組と聞くと、制度面でも気持ちの面でも、ハードルが高い印象があります。『うちの子になりなよ』から7年、「子育てへの理想は特になかった」という吉泉さん夫婦に、養子を迎えるまでの経緯や思い、多様な親子のあり方をうかがいました。

※掲載中の内容はVERY 2023年1月号誌面掲載時のものです。

■吉泉知彦さんファミリーのプロフィール

吉泉知彦さん(パパ)

漫画家。ヤングマガジンちばてつや大賞を受賞後、数々の作品を発表する傍ら、自身の養子縁組体験をテーマにした『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』が話題に。東京新聞「子育て日記」、ESSE online、ポッドキャスト「本と雑談ラジオ」などで連載・配信中。

ママ

パートタイムで働きながら、家事育児に奮闘中。趣味は映画鑑賞と読書。うーちゃんがご飯をたくさん食べてくれるようになって喜んでいるが、逆にぽん子ちゃんがお菓子ばかりになって、毎食手を焼いている。

おばあちゃん(吉泉さんの実母)

吉泉家の子育てリーダー的な頼もしい存在。はじめは里子に不安を抱えていたが、すぐにメロメロに。子どもたちと一緒にお菓子を買いに行ったりおうちで遊んだりと大活躍。うーちゃんの寝かしつけも担当。

うーちゃん(長男)

8歳。生後5カ月で吉泉家に里子としてやってきて、3歳で特別養子縁組が成立して正式に吉泉家の子どもに。小さい頃は体が弱かったけどすっかり元気になり、最近は野球に熱中。ちょっとひねくれものの頑張り屋さん。

ぽん子ちゃん(長女)

4歳。生後1カ月で吉泉家に里子としてやってきて、今年夏に特別養子縁組が成立。元気すぎるのがちょっと心配なくらい陽気な女の子。吉泉家の可愛いムードメーカー。今はバレエに夢中。

6年間の不妊治療の末、
養子を迎えることに

──2人のお子さんを養子として迎えるまでにはどんな経緯があったのでしょうか。

吉泉さん(以下、敬称略) ずっと不妊治療をしていたのですが、「次こそは」と沼にどんどんハマって時間もお金もものすごいことになっていて、気づけば6年間で600万以上費やしていました。ちょうどその頃にテレビで養子を迎える家庭のドキュメンタリーを観て、「なんだ、これでいいじゃないか」とハッと思ったんですよね。

 私が29歳の時に一度授かったのですが、すぐに流産してしまって。産婦人科の先生には「またすぐにできるよ」と言われたので、そんなものかなと思って自然に任せていたら3年以上経ってしまいました。そこで33歳から治療を始めて人工授精を繰り返したのですが、年齢のためかその先を勧められることがなくて。自分で体外受精をしたいと希望して仕事も辞めて、その後クリニックを移って治療に専念しましたが、結局授かりませんでした。

──不妊治療の末に養子を検討し始めたとのことで、夫婦の間で意見はすんなり一致したのでしょうか。

吉泉 僕は子どもが欲しくて欲しくて仕方なかったんです。このまま治療を続けてもいつになるかわからないし、そもそも授かるかもわからない。それなら、里子や養子を迎えて一日でも早く一緒に暮らせる方がいいと。不妊治療は妻の望むように協力していたので、養子に関しては僕の意見を聞いてほしいと頼みました。ただ、里親申請をしながら治療も並行していたので、スパッと切り替えたわけではないです。

※民間の養子縁組団体の中には、里親登録後の不妊治療を禁止しているところもあります。

 私も関心はあってテレビで番組をやっていると必ず録画して観ていましたが、自分で産むと思っていたので、夫から提案された時は「産めない」と決められたようでショックはありました。はじめは自分の子ができないからしょうがないんだという気持ちで説明会に行ったんです。そしたら里親さんの体験談で、8歳の男の子にお年玉をあげたら、お年玉なんて初めてもらったと喜んで、お年玉袋をずっと大事にアルバムに挟んでいるという話を聞いて。親になるというよりは、そういう子どもたちが少しでも減ったらいいなという気持ちが芽生えました。

子どもが欲しくて仕方ない
その意外なきっかけ

──子どもがどうしても欲しいという気持ちは、割と女性の方が強いのかなと思うのですが、吉泉さんが子どもを切望した理由は何かあるんですか。

吉泉 実は、僕には数回しか会ったことがない息子がいます。その子が2歳の頃に初めて会った時に、雷に打たれたような衝撃があったんです。今まで誰かを愛しているつもりだったけど、人を愛するとはこういうことかと。自分の子どもを愛する、子どもが自分を求めて抱きついてくれることが天地がひっくり返るような出来事だったんですね。その感情が忘れられなかった。息子と会わなかったら養子を迎えようとは思わなかったかもしれないので、すごく感謝の気持ちがありますね。

──養子を迎える上で不安はなかったですか。愛情を注げるかなとか。

吉泉 僕は全くなかったです。里親研修の時に養護施設に行ったら小学校低学年の子たちがワーッと寄ってきて、おじさんは絵が上手なんだよといろいろ模写してあげたらすごく喜んでくれて。それだけで可愛いなぁと。血縁がなくてもこんなに可愛いから、血縁があったらどうなっちゃうだろうと思いますね。毎日一緒に暮らして「パパ、パパ」と言ってくれる子どもはめちゃくちゃ可愛いですよ。

──お子さんたちには養子のことは伝えているのですか。

吉泉 上の子には5歳の頃に伝えました。小学校入る頃までに一度は真実告知をするように児童相談所からも言われています。思春期に知ると、ただでさえ不安定な時期で心がついていけなくなってしまうので、小さいうちから少しずつ伝えるというスタンスですね。僕と2人で車に乗っていた時に「僕はどこから生まれてきたのかな?」みたいな話を始めたんですよね。これはタイミングだと思って、「実はね、うーちゃん(長男)はママから生まれたんじゃないんだよ」と。その時はまだよくわからないかなと思いつつ、繰り返し伝えることが大事だと思って話したら、どうやら理解したみたいで。その後、自分からママに「他にも産んだママがいるの?」って。

 「僕を産んだママはどんな人だったのかなぁ」と言われました。「ママも会ったことないけど、きっと素敵な人だったと思うよ」って。

吉泉 下の子は4歳ですがまだ話していません。上の子よりも少し幼いので、そういう話が出た時にタイミングでと思っています。

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