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『情熱大陸』出演のランジェリーデザイナーが妊娠して気づいたことは?

イェガー千代乃・アン 「Chiyono Anne(チヨノ・アン)」

アメリカ人の父と日本人の母を持ち、5〜23歳までロンドンとニューヨークで過ごしたというイェガー千代乃・アンさん。2014年に立ち上げた自身のランジェリーブランド「Chiyono Anne(チヨノ・アン)」は、ひとりひとりの身体に沿ったビスポークというスタイルで千差万別とも言える女性の身体に喜びと美しさを授けてきました。繊細なランジェリーに込められた女性の強さは、いま妊娠8カ月を迎え、新しい命を宿した彼女の実体験を映し出しています。

 

 自分にぴったり合うランジェリーは[自己肯定]につながるほど大きい影響がある!?

 

———ビスポークランジェリーのブランドを立ち上げようと思ったキッカケは、どんなことだったのですか?

私はロンドンで育ったのですが、まわりの友達に比べて背が低くて細かったんです。イギリス人体型ではなかったんですね。思春期になって、友達とブラを買いに行ったりもするけれど、私のサイズはどこにもなくて、子どもっぽい自分の身体にいつも自信がなかったんです。「この身体は間違ってる、大人じゃない」って、残念で悲しい気持ちになったこともありました。

当時ロンドンで、ロイヤルバレエ団に所属しバレエに打ち込んでいました。バレエのパフォーマンスのときは、全員分の役の衣装を専属の縫製職人が作ってくれていました。それは全部採寸され、身体にぴったりと合う衣装でした。どんなに動いても浮いたりずれず身体に寄り添い美しく見せてくれるから、自信が湧いて何にも邪魔されずに踊れるんですね。それが当時の私にとって喜びだったんです。でも普通の服に着替えたら、ずれたり浮いたりとフィットせず。自分に合わない服やランジェリーに気を取られていると、本当の自分を出しにくくなったり、きっとやりたいことにも集中できなかったり、自信を持てないはずですよね。

一方、ロンドン大学では日本語の勉強と共に、女性の権利についても学んでいました。そのときに、改めてランジェリーが繋ぐ女性のポジティブな動きを感じたんです。ランジェリーは外から見えないからこそ、本当の自分を込めることができるんだと思ったんです。本当の自分があるかないかによって、その女性の「軸」がぶれなくなる。芯を持てたらもっと楽な人生、もっとその人らしい生き方ができるんじゃないかという思いから、ビスポークランジェリーを作りたいと思いました。

イェガー千代乃・アン

閑静な住宅街に佇むアトリエで顧客のリクエストを聞くところから、デザイン・縫製までを自らの手で仕上げていくイェガー千代乃・アンさん。身体に沿った「TW(トゥ)」のシースルーニットは、作業の時などに愛用。

 

 人の身体ってフレキシブルでとっても強い!

 

———ランジェリーデザイナーとして、妊娠されてから刻々と変化していくご自身の身体をどういう風に受け止めていますか?

人の身体はものすごく強いと思ってきたことが、確信に変わりました。フレキシビリティ、回復の力、耐える力。10ヶ月もの間重みを支えつづける力、そしてメンタル力。そのすべてが、どれだけ強いのかと実感しています。

私は子どものころから健康でアクティブに育ち、喜ばしいことにこれまで身体の不自由さを感じたことはありませんでした。そのおかげで仕事もバリバリできたわけです。でも、妊娠中期のときに切迫早産のリスクがあるということが分かり緊急手術を受けたんです。それは、私が初めてぶつかった壁で、自分ではまったくコントロールできないこともあるのだと思い知らされました。とてもやりきれない気持ちでしたが、乗り越えた先には新しい発見もありました。何事もあたり前じゃないこと、妊娠は自分ではコントロールできない出来事なのだと分かったんです。

イェガー千代乃・アン

ランジェリーに使われる肌触りのいいシルクは、すべて英国から取り寄せている。今シーズンのコレクションは、伸縮性に加え淡く絶妙なカラーリングにもこだわった。

 

 産後すぐの育休は夫が取ることにしています

 

———妊娠時期に予定外の入院で仕事に影響があったと思います。働くママとして、産後は仕事と育児をどう両立していくかなど、心に決めていることはあったりしますか?

出産するのは女性だけれど、子どもを作るのはひとりでできることではないし、すべてが女性だけの仕事だと思っていないので夫婦のコーオペレーション(協力)を大事にしたいと思っています。うちは、夫婦で話し合って出産直後から夫が3ヶ月の育休を取得してくれることになったんです。夫の会社で育休を取得するのは珍しいことだったようで、部下からは「おかげ様でその後に続けられます!」と、感謝されたと言っていましたよ。

———働くママのロールモデルっていますか?

母です。私には妹と弟がいて、弟が1歳のときに家族でイギリスに引っ越したんです。当時、日本の外資系会社に勤めていた母は、その会社にヨーロッパ支店がなかったので、我が家の引っ越しに合わせてロンドン支店を作ったそうです。たったひとりで現地の会社を回し、しかも新しい国で、片言の英語で、90年代の不便なイギリスで、本当によくやったなと思います。子どもたちにとっては全面的に頼れる母でいてもくれ、素直に「ママかっこいいな」って思っていました。そんな母をお手本に、仕事も子育てもチャレンジ精神旺盛に取り組んでいきたいと思っています。

◆記事後半は、妊婦さんや乳幼児ママにとって気になるランジェリーについてイェガー千代乃・アンさんに語っていただきます。→こちらからチェック!

イェガー千代乃・アン

イェガー千代乃・アン

アメリカ人の父、日本人の母のもと東京で生まれ、ロンドンとニューヨークで育つ。ロンドン大学SOASで日本語の学位を取得したあと、早稲田大学へ留学。在学中に、明治維新の女性の下着の変遷が、女性の服装一般及び女性の精神的解放にもたらした影響を研究。らに英国のデ・モントフォート大学院で、着る人へ精神的、感情的な影響をあたえるような「ビスポーク」によるランジェリーデザインの研究で修士号を取得。2014年にビスポークランジェリーブランド「Chiyono Anne」(チヨノ・アン)を立ち上げる。

イェガー千代乃・アンさんがデザインするランジェリーChiyono Anneはこちらでチェック。

※〈Chiyono Anne “Celebration”Lineオーダー受注会〉

下記の日程で一般の方もオーダフィッティングができます。この機会にぜひ体験を!

2022年7月16日(土)&17日(日)ともに12:00−19:00、7月18日(月)12:00-17:00

@WHITE ROOM DAIKANYAMA

東京都渋谷区恵比寿西1-32-4パームヒルズ代官山1F

オーダーフィティングは予約制になっております。<予約はこちらのリンクから>

撮影/HAL KUZUYA 取材・文/須賀美季

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