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ジェーン・スーさん 女性の管理職は「優秀で能力が高い人、じゃなくて全然いい」

ジェーンスー ドラマ 対談 申真衣 

 

——コラムニストのジェーン・スーさんは新刊エッセイ『きれいになりたい気がしてきた』の中でこんな話をしています。

「私は常々、正しい理屈より目が慣れることのほうが重要だと思っています」

「特別優秀な女性だから」ではなくて、どんな人にも働き続けるチャンスや昇進の機会があれば見える世界が変わってくるし、世の中の「これが当たり前」という常識だって変化するはず。変化の只中にある今できることは何か。VERYモデルの申真衣さんとジェーン・スーさんが語り合いました。(全4回連載)

 

 「目を慣らす」ことで「女性/男性だから」の魔法は解けるはず

 

ジェーン・スーさん(以下、スー):私の子どもの頃って、お父さんが朝、ゴミ出しをしていたら「男の人にあんなことさせて」って後ろ指さされるような時代でした。今は、そんなの当たり前になって、むしろ「ゴミ捨てだけで家事をやってるつもりなの?」って言われます。一方で、男性が平日の昼間に一人で住宅街を歩いていたら、それだけで通報されるなんてこともあるとか。真っ当な男の人なら、その時間帯は会社で仕事をしているのが当たり前だと思っている人がまだまだ多いのでしょう。この性別で仕分けられた「役割」って、いまだに世の中の人の意識が強く反映されるので、その境目をどんどんなくしていこうよと。申さんたちはもう、そのあたりの意識はだいぶ変わってきている世代ですよね。

 

申真衣さん(以下、申)働く女性の数だけでいえば増えてきているとしても、ロールモデルがなかなか見つからないということはあると思います。私より上の世代で管理職や経営者となって活躍している女性は、男性と同等の働きを見せることが強く求められてきたから、結婚や出産を選ばなかった人も多いんです。私たちの世代はもっと欲張りになってきていて、仕事と家庭のどちらも諦めたくはない。でも両方叶えている先輩がそんなにたくさんはいないから実例を多く知らないというジレンマがあります。本の中でも仰っていた「目を慣らす」というのはすごくいいことですよね。私自身もクオータ制には賛成なのですが、男女限らず反対の声も根強いじゃないですか。数合わせで採用したり、大して能力もないのに昇進させたりするのはどうなんだという意見。これについてはどう思われますか。

 

スー「目さえ慣れてしまえばいい」ことって如実にあるのでまずは数を増やすことが重要だと思っています。「優秀な人しか昇進できない」という思い込みがあると、「私には能力がないから」と尻込みしてしまったり、成果を自分の実力だとは信じられないインポスター症候群に陥りがちな女性を、結局は排除してしまう結果になりがちなので。最初は、男女関係なく、できる上司もできない上司もいるという玉石混淆になってもいい。まずは、性別に関係なく仕事をしたり、出世したりするケースを増やして、下の世代に「自分でもできる」と思ってもらうことが大事だと思いますね。

 

 「ねえ、これおかしくない?」と口に出して言ってみるのが大事 

 

:「目が慣れる」という効果がいかに大きいかという話でいうと逆のパターンなのですが、本当に小さい頃から性別ごとの役割の刷り込みって始まっていますよね。この前、保育園にお迎えに行ったら、男の子だけ車のおもちゃで遊んでいたんですよ。0歳児はまだ自分で好きなおもちゃを選べないから、保育士さんが選んでくれているのだと思うけれど、別に男の子=みんな車が好きなわけではないし、女の子で車が好きな子もいますよね。例えば、おしりたんていやゾロリなど 子どもたちに大人気の作品も主人公は男の子が多いです。それでドラゴンにつかまって「キャー、助けて」と言っているのは女の子。女性は、もともとの性質がサポートする職業に向いているんだ、という人もいるけれど、0歳の頃から手を変え品を変え繰り返し刷り込まれたら、そういう風に育つんじゃないかと思ってしまうのです。多様な選択肢にみんなが慣れて、性別にとらわれず、自分の特性に目を向けられる社会になってほしいな、と思いますね。

 

スー:私たちが「見えている」と思っている世界には、もともと社会の刷り込みがあるかもしれないことを多くの人に知ってもらう。その魔法を解いていく作業がこれからの時代はもっと必要になると思います。

 

:私は、育児中に気になるときはいちいち立ち止まっています。娘と見ていたアニメの中に「ドラゴンを倒したらプリンセスと結婚していい」と王様が言うシーンがありました。そういうときは「ねぇこれ、おかしくない?」ってつい言っちゃいますね。「親が勝手に結婚決めるなんておかしくない? お母さんそんなのいやだなぁ」って。娘はまだ5歳なので「ふうん」みたいな感じですけどね。男らしさ、女らしさについて考えるような子ども向けの本もあるじゃないですか。すごく良いと思うのですが「男女は、平等じゃないんです」という現実から書かれていたりするので、小さな子に話すのはけっこう難しいんですよ。でも、社会に出たときには、偏見だけで物事を見てくる人もいるから、どこかでは、そういうふうに見られる可能性もあることは教えないといけないなと思います。その塩梅が難しいですよね。

 

スー:そんなふうに一つひとつ考えながら育児をしているなら大丈夫だと思いますよ。それ(偏見を持つ人たち)が正しくはないけど、無菌状態で育てすぎて、偏見を受けたときに過剰に影響を受けたりすることもあるので話しておくのも大事。でもこれって個人的な問題ではなくて、社会が新しい価値観を受け入れる土壌をもっと作ればいいだけの話なんですけどね。

後編に続く

 

Profile

ジェーン・スーさん

1973年、東京生まれ東京育ち。作詞家、コラムニスト。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」、ポッドキャスト番組「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」のパーソナリティとしても活躍。

 

申真衣(シンマイ)さん

1984年生まれ。大阪府出身。VERY専属モデル。株式会社GENDA代表取締役社長。

きれいになりたい 気がしてきた

『きれいになりたい気がしてきた』

 

『美ST』連載が待望の書籍化!“効かせ甲斐のあるお年頃”を迎えて改めて考える、美の楽しみ方と向き合い方とは。「どうせ生きるなら、好きな自分で生きていきたい」「誰に遠慮する人生じゃなし、自分のための美ですもの」「四十代も終わりかけになって、ようやく女が楽しくなってきた」。これから40代を迎える方も、いままさに同年代という方も、お年頃セカンドシーズンが楽しくなるエッセイ44本!(光文社刊)

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ジェーン・スーさん衣装
シャツワンピース¥31,900(ティッカ)ピアス¥10,000(メラキ/フラッパーズ)ネックレス¥69,300(ウノアエレ/ウノアエレ ジャパン)

問い合わせ先
ウノアエレ ジャパン 0120-009-488
フラッパーズ 03-5456-6866
ティッカ http://ticca.jp/

撮影/イマキイレカオリ(ジェーン・スーさん分) 西崎博哉<MOUSTACHE>【申真衣さん分】 取材・文/髙田翔子 スタイリング/村瀬萌子(ジェーン・スーさん分)

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