性教育は小さい頃からはじめるべき。そんな話をよく聞きますが、私たちは家庭での性教育経験が少ない世代。でも、子どもの成長とともに向き合わなくちゃいけないことも増えるのが「性」のこと。今回は、夫婦で性教育ユニットとして活動する『アクロストン』のおふたりに、0歳からできる日常生活の中での性教育について伺いました。
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子どもには
「人と人との間には境界があって、
そこに入るには同意が必要」から
親に対しても、友達に対しても
同意はもちろん必要
人と人の間にある境界線を越えるときには、相手が誰であれ同意を取る必要があります。それは親でも友達でも同じ。「手を繋いでいい?」「ギューしていい?」などを相手に尋ねることは「そのおもちゃ貸して」と同じなんです。逆に、同意を求められたとき、自分が嫌だなと感じたら「イヤ!」と答えていい。〝境界〟と〝同意〟の習慣を徹底して。
0歳からは「心地よいタッチを
教えてあげる」ことを
まずはオムツを替えるときには、「オムツを替えようね。お尻をキレイにしようね」など、声をかけてからにしましょう。これだけで、〝同意をきちんと取る〟という性教育をしていると言えます。また、触れ合いを数多くすることもポイントです。心地よいタッチがどんなものなのか、というのを知る経験をたくさんさせてください。
子どもの性の疑問には
あいまいに答えないこと
性の話は恥ずかしいもの・隠すものと捉えず、サイエンスと考えて、ごまかさずに教えてあげましょう。「赤ちゃんはどうやってできるの?」と聞かれたら「赤ちゃんのもと同士がくっつくと赤ちゃんになるんだよ」とか。すぐに話すのが難しい場合は、「わかりやすく伝えたいから週末まで待ってね」などと時間をもらって、整理するのも◎。
男女の違いより
「その子がその子らしくいられるか」
3歳くらいで自分の体に興味を持ち始めたら、お風呂に入っているときに、パーツを口に出して教えてあげましょう。自分で洗えるようになったら、ケアの仕方も教えられますね。無理に男女の違いを教えることはありません。それぞれみんな違う、みんなそれぞれ素敵なんだよ、と自分らしさを誇れる基盤を作ってあげることが重要です。
子どもが「嫌なことを嫌と言える」、
それを受け入れてもらえる体験を
特に2歳前後からはじまるイヤイヤ期に大切なのが、イヤイヤを尊重してあげること。嫌と言えることって本当に重要なんです。なんでもかんでもイヤイヤされると親もゲンナリしてしまうのもわかりますが、できる限り「嫌なんだね」といったん受け入れてあげて。頭ごなしにしてばかりだと、嫌と言うことが無力に感じてしまうように。
\パパには/
まずは子どもの体の
ケアに関わることから
子育てをママと一緒に頑張っているというパパでも、細かい体のケアまでやっている人って案外少ないもの。たとえば、お風呂に一緒に入ったとしてもお風呂あがりにクリームを塗ったり、爪を切ったり……、細々したことはママがやってはいませんか? 体に触ることが多ければ、性教育って自然と巻き込まれるものなんです。椅子に座って話すことではなく、日々の生活の中でコツコツ伝えていくもの。まずは巻き込まれることからはじめてください。
\夫婦の性教育ユニットに聞きました/
アクロストン
夫婦ともに医師として働きながら、性教育を広げるユニット〝アクロストン〟としても活躍。『10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック』(ほるぷ出版)など、著作も多数。https://acrosstone.jimdofree.com/
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撮影/須藤敬一(人物)、五十嵐 洋(静物) 取材・文/矢﨑 彩 編集/井上智明
*VERY2024年1月号「夫婦一緒にはじめる「0歳からの性教育」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。