少し前にSNSで「ママPAY」なるオリジナルのおこづかいシステムが話題になっていましたが、子どものお手伝いの仕組みを作っておきたいママたちのために、イマドキの〝報酬制〟おこづかいについて考えました。卒入園・卒入学シーズンを目前にお金について学ぶ良い機会にもなりそうです。
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ゲーム感覚で意外とあり?『お手伝い報酬制』
長期休みなどを利用して
お手伝いを上手く習慣化
ayamiさん
10、8、5歳の3兄弟ママ。WebShop【Mejular】を運営。インスタ投稿のパパNISAが話題に。
Instagram:@___ie.yaya___
──お手伝い報酬制を始めたきっかけを教えてください。
子どもと一緒にスーパーに行く時に、おもちゃメインの高いお菓子を欲しがって、結局買ってあげても大事にしないので、どうにかしたいなと思ったのがきっかけです。「お金ってこれぐらい頑張らないと稼げないんだよ」というところを学んで欲しくて。2022年の夏休み中にしっかりやって欲しかったので、夏休み前からスタートしました。
──Instagramでayamiさんの家のお手伝い制がすごいと話題になりましたね。パパNISAなど仕組みはどなたの考案なのですか?
子どもたちの要望も聞きつつ、メインは夫婦で考えました。主人がNISAをしていて、お金が増える仕組みについても教えてあげたいということで積み立ても追加。子どもたちに興味を持って欲しくて「パパNISA」と名付けました。パパNISAは預けた金額の5%が翌月のポイントに付与されるというルールで、預けられる期間は1カ月/3カ月/6カ月/1年から選べます。今のところ、初月に次男が楽しんで利用してくれたけど、今は絶賛募集中です(笑)。
──とても細かくお手伝い項目を設定されていますね。お手伝いの取り合いなど兄弟間でのトラブルはなかったですか?
始めてすぐはありましたが、今では声を掛け合って、上手に運用しています。茶碗洗いの量など日によって違うものは大/小に分けて、兄弟でトラブルにならないようお手伝い項目は細かく決めました。一番下の子は毎日靴並べをしてポイントを稼いでいます!
──お手伝い報酬制をしてみて実際どうでしたか?
お金目的にならないか心配はありましたが、とりあえず夏休みの期間だけでもやってみようと始めてみました。最初はポイントを稼ぎたいという気持ちが大きかったけれど、やっていくうちに明確に変わったことがあります。わが家は共働きで家で働いているので、以前から「家族はチームだから助け合っていこうね」と話しています。いつもお手伝いをしていてできることが増えたからか、「ママが疲れているからごはん炊いておくよ!」「僕は洗濯物たたむよ!」と、家の状況を見て、自ら協力してくれるようになりました。さらに、お友達の家で靴を並べて褒められたり、じいじの家で「僕茶碗洗えるよ!」とお手伝いをしたりと、わが家にとっては報酬制を取り入れたことは、メリットの方が多かったです。今も継続して続いています!
月頭
1.できるお手伝いを
自分で選ぶ
靴並べ、ごはんを炊く、茶碗洗いなど、細かく設定されたお手伝い項目の中から好きなお手伝いを選んで実行。
2.ポイント表に書き込む
毎日の加算&マイナスポイントを書き込み、1日のポイントを集計。足し算の練習にも!
月終わり
3.毎月、月末に手渡し
みんなが大好きなお給料日!月末に1カ月分を集計し、ママのコメントを添えたお給料袋に入れて手渡し。パパNISAに預けるか、使うかを決めて、残った分は木の宝箱へ。
“報酬制”にする際の注意点って?
「稼ぐ」がメインにならないよう
家族の一員としての役割も伝えて
キッズ・マネー・ステーション代表
八木陽子さん
ファイナンシャルプランナー。お金教育・キャリア教育を普及する活動を行う。著書や監修本、メディア出演多数。
──ずばり、お手伝い報酬制についてどう思われますか?
セミナーや講演会をしていると、おこづかいのあげ方について悩まれている方が多い印象です。家で試しにやってみたけど上手くいかなかった、周りに報酬制はしない方がいいと否定されたなど、混乱しているお母さんが多いのも事実。いつも私がセミナーでお伝えしているのは、「伝え方をきちんとしていけばお手伝いを報酬制にしても上手くいく」ということ。お手伝い=お金目的となりにくくするために、報酬制を取り入れる前に必ず「お金がもらえないからといって何もしないのは違う」「家族の一員なんだから、家事をしたり、誰かが困っている時にお手伝いするのは当たり前」ということを、きちんと伝えておくことが大切です。そのうえで、家事のいくつかをお仕事として認め、その仕事をした時には報酬を渡すという方法をおすすめしています。
──お手伝いを継続・習慣化させるコツは?
わが家では子どもたちが小学生の頃、各々の性格に合わせて、おこづかいを報酬制と定額制で分けていました。お手伝いが習慣化していない長男にはお風呂掃除を仕事として任命。「やれない時はやらなくていいけど、仕事だから責任を持ってやってね」と続けることの大切さも伝えていました。一方、お手伝い好きの長女は定額制に。どちらも契約書を交わし、親子でお手伝いの内容を明確にしていました。契約書は半年に1回は内容を見直し、常に実行可能なものにすることも、お手伝いが持続する大事なポイント。初めは報酬制でも、お手伝いが習慣化してきたら、定額制にするなどと変えていくのもいいのではないでしょうか。
POINT
1.子どもの年齢に合わせた
お手伝いを考える
子どもの年齢や性格に合わせて、お手伝い項目の内容や個数を決めるのがおすすめ。兄弟がいるなら、それぞれに合ったお手伝いを考えてあげてください。
2.お手伝いの内容は
できるだけ細かく決める
例えば洗濯だけでも、洗濯機を回す/洗濯物を干す/たたむ/取り込む/しまうなど、項目がたくさん。子どもが動きやすいよう細かく設定してみてください。
3.ルールは子どもと相談し、
契約書を交わす
どのお手伝いをして報酬はいくらなのかなど、契約書をベースに親子でルールを決める場を設けてから導入することで、「働く」という意識づけができます。
おこづかい帳はアプリがおすすめ!
デジタルネイティブ世代の
子どもたちにアプリで金融教育
(株)MEME 代表取締役
齋藤 舞さん
「子どもとお金」の課題を解決するサービスを提供。2022年manimoをリリース。6歳男子、4歳女子の2児のママ。
──「manimo」アプリを作ったきっかけは?
私自身、子どもが生まれるまでは毎月いくら使っているか把握しておらず、子育てが始まってから教育資金が足りないと焦っていました。同時期に企画・運営を行ったママ向けの投資セミナーでも同じ課題を持っている方に多く出会い、そもそも子どもの頃からお金と向き合うことを習慣化していくことが大事だったんだと気づかされました。そこで、親子でコミュニケーションを取りながら、一緒にお金について学べるアプリ「manimo」を開発しました。あえてデジタル化して、自動で支出入を記録し可視化することで、日々のお手伝いが習慣化しやすくなるよう工夫しました。
──実際にアプリを使ったママたちの反応は?
お手伝いタスクを記入し、お手伝い完了後に送金依頼をする機能が一番使われています。また「ミッションをクリアしたらお金がもらえるから、ゲームのリアル体験ができて楽しい!」という子どもたちの声も。家事だけでなくマッサージなど、子どもたちの発想力次第で、いろいろな仕事が生まれているのも面白いです。
──お手伝いのモチベーションを持続させるために大事なことは?
今何が欲しくて何をしたいのか、そのためにはいくら稼ぐ必要があるのか、一方的な要望にならずにお手伝いをする目標をきちんと立てていくことが何より大事です。例えば、クリスマス前は発売されるゲームが多いからその月は特に頑張るなど、毎月同じように稼ぐのではなく、目標に合わせておこづかいを設定していくのもいいですね。そういった意味でお手伝い計画は、ライフプランニングの練習にもつながると思っています。
\manimoアプリって?/
取材・文/はなむらあや 編集/太田彩子
*VERY2023年1月号「おこづかいに報酬制はあり?なし?」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。